「それじゃあ…暗くなるのが早いから、気をつけて帰りましょうね」
文菜先生は女神のような憧れの存在だった。
やや幼い顔立ちながらの豊満なバストに引き締まったウエスト、形のよい丸みを帯びたヒップ。
ここが小学校という聖域でさえなければ、よからぬ企みをもった輩が何度となく声を掛けてくることだろう。
担当する6年生クラスでの人気はもちろん、下級生やその保護者に至るまで「美人の先生がいるらしい」と噂が立つほどの評判であった。
「そうだ、宿題を忘れた人はまだ帰っちゃ駄目よ」
「ええー」
「当たり前でしょう?勝手に帰ったら、おウチに電話するから」
男女で特別扱いをせず、いけないことをきっぱり叱るのも人気の理由だった。
見た目とのギャップもあるのだろう。
ませた男子など、わざと叱られるようなことをして気を引こうとする者も少なくなかった。
普段は目立つのが嫌いで、クラスでずっと大人しくしている小心者の僕でさえ、その光景には憧れる。
先生に、小言をもらっている子が。
先生に、気をつけの姿勢で立たされている子が。
先生に、前に呼ばれてお尻をぶたれている子が。
ただ羨ましく、その身が僕自身ならと何度も妄想しては唇を噛む日々。
ある放課後、それはついに爆発してしまった。
クラスの男子が叱られるのを見た直後である。
ちょうど下校しようとランドセルに手をのばしたところで、文菜先生の声が聞こえてきた。
「後でお尻ぶってあげるから、みんなが帰るまで待ってて」
瞬間、全身を巡る血液がゾワッと高熱を発したように感じた。
錯覚なのだろうか、指先の感覚が鈍い。
気づけば股間の小さなモノがはち切れんばかりに勃起していた。
(え…?)
理解不能。
勃起など普段生活する上で何度も経験している生理現象で、取り立てて騒ぐほどのことでもない。
しかし、今回のは違う。
熱くて、奥の方が締まっているような…とにかく、いつもと違う。
直感した僕は教室にランドセルを残し、近くに扉があった給食配膳室へ飛び込んだ。
とにかく身を隠したい一心である。
配膳室は食器の片づけが済む昼休みまでにはその役目を終えているため、隠れるには好都合だった。
(とりあえず、ズボンの膨らみをどうにかしないと)
音を立てないよう、慎重にチャックを下ろす。
ぽろん、と飛び出た小さなモノは、短いながら何かを欲するように反り返っている。
(落ち着け、頼むから…)
動物でも撫でるように、静かに指を添え、這わせてみる。
くすぐったいような気持ちいいような、おかしな手触り。
股間の方も、自分で触っているとは思えないほど未知の快感であった。
(なんだ、これ……)
ドピュッ。
勃起していたモノから何か液体のようなものが溢れ、扉近くの壁にかかってしまった。
(え?え?え?)
精子の存在くらいは知っているのだが、出たのがそれだとは夢にも思わない。
漏らした?
直感的にそう感じた僕は、廊下にかけてある雑巾を取りに行くことを思いついた。
その瞬間である。
「誰か居るの?」
配膳室の扉を開けたのは、文菜先生だった。
「ちょっ…え、……ええっ!?」
驚きに満ちた叫び方が示しているとおり、ただ純粋に、状況が整理できない様子だった。
教え子が股間を丸出しにした状態で学校に、それも脱ぐ必要の全くない場所である。
さすがに充満した精液の臭いで、僕がしたことは理解したようだった。
「こ…、ここで何をしていたの!!」
普段聞いたことのない大声は、文菜先生も取り乱すことがあるのだと逆に僕を冷静にさせた。
ませた悪ガキでなく、僕のような子供がこのような行動を起こすのは想定外だったようである。
「コホン、…ま、待っていなさい」
声をあげたのを失態と感じたのか、先生は赤面しながら扉を閉める。
近くの廊下を何度も往復して歩く音が聞こえた。
しばらくして戻ってくると、手には雑巾が2枚とトイレットペーパーが1ロール。
「とにかく…、話は拭き取ってからね」
手際よく、壁にべったりついた精液を雑巾で拭き取り、トイレットペーパーで拭う。
僕はすっかり小さくなったモノを放り出したまま、しゃがんで掃除をする先生の姿を見つめていた。
タイトスカートのお尻が上下している。
まずいと思った僕は首をぶんぶんと振り、邪な気持ちを何とか振り払うことに成功した。
この状況で勃起したらしゃれにならない。
「よし、…っと」
清掃が終わり、雑巾を片づけに行った文菜先生は1分ほどで帰ってきた。
言い分のため与えられたにしては短すぎる時間である。
先生からは言いたいことが山ほどあるのだろう。
僕からはほとんど言えない秘密ばかりなのに。
「さてと、怒る前に」
その前置きだけで、僕には十分すぎるほどのご褒美になった。
小言をもらうだけでも憧れだった文菜先生に叱ってもらえるかもしれない。
お尻をぶってもらえるかもしれない。
その程度の、ある意味で健全な妄想を1つ飛び越え、文菜先生は言った。
「先に、残ってるもの出しちゃおうか」
(え…?)
先生はトイレットペーパーを手に取ると、包帯のように右手にぐるぐると巻き始めた。
「せ、先生…?」
「はい、おちんちん見せてね」
(え、ええーっ…!?)
文菜先生の言うとおりに僕はズボンを脱いだまま正座し、そのまま体を後ろに反らせるような姿勢をとった。
股間は丸見えである。
体は柔らかい方できつくはないが、これから何をされるかという不安と期待で胸がドキドキしていた。
「ここの中に出していいから、我慢しちゃ駄目よ?」
文菜先生はトイレットペーパーで白くなった右手で性器の先端を覆い隠すようにして、左手で優しく撫でてくれた。
憧れの先生が、いま自分の性器に触れている。
それだけでさっきまでしょぼくれていた小さなモノは、少し前と同じようにそそり勃っていた。
「ちゃんと出せる?」
「え、えっと……」
「しょうがない子ね」
先生は右手からトイレットペーパーを抜き取り、左手で勃起したモノの先端に覆い被せると、右手で紙の上から上下に擦り始めた。
「あっ……!?」
自分でする時とは別の快感に、僕はまたあの瞬間の感覚を思い出しあっさりイッてしまった。
「はい、1つ目終わり」
文菜先生は事務作業でも完了したようにトイレットペーパーを丸めて後ろに置いた。
続けて、再びしょぼくれたモノについていた精液を拭き取ってくれる。
「さ、本題ね…どうして、こんな場所でしちゃったかな?」
「え…?」
「分かってる、男のコだもんね…あってもいいと思うけどさ、よりによって…こんなとこで」
どうやら文菜先生は、僕が1人でオナニーをしていたと思っているようだ。
いや、あの状況なら誰が見たってそう思うだろう。
だが考えてみてほしい、ここでどう言い訳をすればいい?
先生が、クラスの子にお尻をぶつと言ったのを聞いてしまい発射した?
それこそ軽蔑されてしまう。
「ごめんなさい…」
僕はとりあえず、認めて謝るのが最善と判断した。
しかし文菜先生の怒りはおさまらない。
「駄目です、お尻ぺんぺんの刑、…100回か、200回か、わかんないけど…今日はもう遅いし、明日にする?」
「え…そ、それは…」
明日以降になるのはまずい。
文菜先生はお尻を叩くときに、たったの3回でも1分以上の時間をかけて罰を与える人なのだ。
休み時間に捕まった他クラスの子なんかは次の授業時間に遅れて、余計に怒られたりすると聞く。
「今日が、いいです」
「え…、どうして?」
「え、えっと…」
「ま、いいわ…、とにかく下校時間までお仕置きしましょうか」
べちん、とお尻にまず1つ平手打ちをもらった。
忘れていたが、既に丸出しなのである。
先生からすれば叩きやすいことこの上ないだろう。
「さっき見てきたけど、廊下に人いなかったし大丈夫だと思う」
ばちん、ばちんと大きな音が配膳室に響く。
食器を運ぶ荷物用エレベーターが設置されており、騒音は漏れにくい構造をしているらしいのだが。
そんなことは知らないし、扉に施錠さえしていないこの状況は僕にとって未知のものと言えた。
誰かが入ってきたらどうしよう。
そうなったら、文菜先生にお尻をぶたれている姿を見られてしまう。
(あぁっ、僕もう……)
ドピュッ。
「……えっ?」
3度目の射精。
それも、文菜先生にお尻を叩かれながら。
これはもう…弁解のできるような状況ではなかった。
「……そうなんだ、…へぇ、そういうこと…」
「せ、先生…」
「こっちのが、好みなんだ?」
パァン、と文菜先生の力強い平手打ちが飛ぶ。
お尻の肉が痺れ、僕は反射的に「はい」と答えてしまった。
くすくすと笑い、先生は嬉しそうにお尻を撫でる。
「ふぅん、6年生でかぁ……あっはっは、全然気づかなかった」
完全に軽蔑された、と思った。
しかし先生の態度は全く逆で、それどころかクラスの誰にも見せたことのないような妖艶な笑みを浮かべ、僕を見ている。
「明日、みんなの前で叩こうと思ったけど…、また勃っちゃったら困るかなー……」
こちらが困るのを楽しんでいる風にも見えた。
「先生、みんなの前でだけは…」
「んん…、どうしよっかな」
こんな文菜先生、僕は知らない。
まるで舌なめずりでもするように僕を焦らして、楽しんでいる。
本当は先生になら何をされてもいいと、心の奥底では思っているのかな。
「じゃあ、交換条件…いい子で先生の言うこと、何でも聞ける?」
「え…な、何でも…?」
「そ、もしできなかったら、みんなの前でお尻叩くの…ぺんぺんって」
「そんな…」
「…聞けるの、聞けないの?」
わかっている、誰の前だとしても、僕は文菜先生にお尻をぶたれて勃起してしまうだろう。
質問というよりこれは命令のようなものだ。
何でも言うことを聞きなさいという、文菜先生から僕への。
従わないわけにはいかなかった。
「いいわ、明日からね…もし忘れたらお尻よ」
この日を境にして、僕は大人しい小心者として学校生活を送ることはできなくなってしまったのだ。
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