この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ
そのためには恋心を捨てなくてはいけないけど、出来るだろうか・・・?
じっと考えていた時、別室から、「嫌あ、やめてえ」という加奈さんの声が聞こえたので思わず立ち上がった。
声はそれきりしなくなり、又静寂に包まれた。何か悪い夢を見たんだろう。
僕は、今度こそ眠らなくては、ともう一回トイレに行った。
居間の灯りはすでに消えていて両親の声もしない。
暗くひっそりしている家の中は怖く、その場から逃げ出したいのを我慢しなが目をこらして、壁伝いに足音を立てないようにゆっくりトイレに向かった。
ようやくトイレまで行くと灯りを付け、そうっと戸を開け閉めした。
少しほっとする。
やがて用を足して水を流したが、戸を開けた時、目の前に母さんが立っているのを見て驚愕した。
「まだ起きとるのかい?」
「いや、もう寝る」
僕は母さんから逃げるように階段を上がって行った。
翌朝目を覚まして別室を見たら、加奈さんは掛布団から胸まで出した格好でまだ眠っている。
口を開けてのその顔は白痴美人という印象だが、ピンクのブラジャーに包まれた乳房は何とも魅惑的で、そこから目が離せなかった。
まるで、純粋になろうとしている僕に挑むかのようで、私の体に勝てるわけがないと言わんばかりだ。
僕はカーテンを開け、日の光を入れた。
それが眩しいのか加奈さんは顔をしかめ、しばらくして目を覚ました。
「おはよう」
挨拶しても加奈さんはぼんやりしていたが、僕に気付くと笑みを浮かべた。
そして、そのまま見下ろしている僕に向かい、両手を差し伸べた。
僕は手を掴んで起こしてあげた。
「あー」
安堵とも嬉しさとも取れる声を出した。
乱れた髪とブラジャー姿。
それが朝日を浴びて一段と性的魅力を増しており、布団をめくってパンティまでさらすとたまらない。
「ああ・・」
僕は加奈さんの脚を撫でた。
「うふふ」
『この体・・・』
しばらくしてブラジャーを外したくなったが、両親を思って何とかやめ、靴下を自分で履かせる。
僕は自室に戻って普段着に替え始めた。
何事も無いかのように加奈さんと階下へ下りて行った。
日曜日なので、テレビの掛かっている居間で父さんが新聞を読んでいる。
「母さんは?」
「ちょっとな」
父さんは事情を知っているのに隠している口ぶりで、加奈さんが居間に入ってくると嫌な顔でじっと見た。
僕はそんな態度が面白くない為、二人分のパンと牛乳を盆に載せると、それを持って自室へ上がって行った。
「ここで食べよう」
盆を床の上に置き、あぐらをかいた。
加奈さんは僕と向かい合って脚を崩して座り、牛乳を飲む。
今日一日する予定は無かったが、ずっと部屋にこもっているのは気が引ける。
加奈さんのためもあり、きのう知り合った智子さんや芳美さんと連絡でもしよう、と後から電話をする事にした。
つづき「狂女33」へ
コメント