狂女31_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

ホームページ 戻る 

狂女31

15-06-14 09:11

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ

ここで寝るように何度も言い聞かせた末ようやく、下着姿のまま不満気に布団の中に入った。
僕は豆電球の灯りだけを残して部屋を暗くし、自室に戻った。
すでに十一時を過ぎている。

「俺も寝るか」
階段を下りてトイレに向かった。
階下では居間から明かりが洩れており、両親の声が聞こえる。
何となく気になって近くまで行き、聞き耳を立てた。
「それは本当なのか?」
「まさかと思うけど・・・」
「もし本当ならえらい事だぞ」
「うん。だけど、直接聞くわけにも行かないし・・・」
僕は鼓動を感じた。
尚も耳をそばだてていると、
「あいつがいつまでも結婚しないのをおかしいと思ってたんだ」
「勝は昔から加奈が好きだったから」
「しかし、いくらなんでも実の妹をなあ・・・」
僕の事ではないとわかっても、両親が自分たちの弟と妹の肉体関係について話しているのを耳にして緊張した。
僕は、その内に叔母との性的関係も知られてしまうんじゃないかとひどく不安になり、足音を立てないように居間から離れて行った。
トイレから自室に戻り、電灯を消してベッドに入った。
しかし、さっき盗み聞きしていた両親の話が気になってとても眠れない。
まさか僕と叔母の関係まで疑われているんじゃないだろうか・・・?
その内に、別室で寝ている叔母の事まで気になり始めた。
何も聞こえず、もう眠っているらしい。
「はあ・・・」
両手を頭の後ろに組んで、今日の公園内の出来事を思い出した。
『色々あったなあ・・・』
桜、見世物、お化け屋敷、それに加奈さんの高校時代の友達二人・・・。
『あ、そうだ。友里恵さんもいた。これから俺はどうなるんだろう・・・』
妙に頭が冴えていつまでも眠れず、起き上がり、電灯を点けて椅子に掛けた。
不気味なくらいの静けさの中で加奈さんの事を思っていた。
自然に手がペニスを握っていた。
欲しい・・・。
しかし実行してはいけない。
僕は情欲から逃れようと又せわしなく自慰をして果てた。
冷静になり、加奈さんの事を考えた。
愛していると言っても所詮自分の欲望を満たすだけじゃないか。
自分も勝叔父同様、あの人の不幸に付け込んでいる。
加奈さんのあの昔の親友たちのように純粋でなくては・・・。

つづき「狂女32」へ

   


コメント
お名前:
気持ち:

コード:

お知らせ

なし

小説を検索