狂女19_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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狂女19

15-06-14 09:13

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ

僕たちは言葉少なくテレビを見ていた。
「ラーメンでも食うか?」
叔父さんに聞かれ、「はい」と答える。

「ラーメン、ラーメン」
加奈さんは無邪気に言ってにこにこしている。
二人だけになり、加奈さんを抱いて顔中にキスの雨を降らせた。
加奈さんは目を閉じておとなしくしていた。
「好きだ!」
唇に激しいキスをする。
狂人だろうが何だろうが関係無い。
胸に燃え盛っている炎の勢いのままに、愛しい人と愛し合っていたい。
「ユウイチ、好き。好き」
叔母は相手が甥だとわからないまま自身の愛欲に身を委ねており、それを良い事に僕も愛欲に任せている。
いや、本当はこの人を弄んでいる・・・。
「もっとお」
加奈さんは両腕を僕の首に回し、大きく見開いた目で見詰めて催促した。
数瞬でもその表情が正常な女に見えた時ははっとなった。
まさかこの人は・・・。
「ユウイチ」
叔母はさらなるキスを求めている。
僕は緊張して叔母を見詰めたまま、「加奈さん・・・」と呟いた。
いきなり強くキスをされ、しばらくキスを続けた。
それから唇を離した。
「ユウイチ、好き」
叔母は以前には言わなかった僕の名前を今日何度も口にしており、もしかして正気に戻り掛けているのでは・・・と疑った。
しかし、ラーメンを盆に載せて居間に戻った叔父さんにその事を聞いても相手にされなかった。
「ばかを言うな。昔あんなに治療しても治らなかったんだ。今頃元に戻るわけない」
「・・・」
「さあ、食ってくれ」
叔父さんは湯気の立っているラーメンを二杯それぞれ僕と加奈さんの前に置き、続いて自分の分と、水の入ったコップも盆に載せて台所から運んで来、炬燵に入って食べ始めた。空腹に暖いラーメンは実にうまい。
加奈さんも一心に食べている。
「しかし、もし元に戻ったらえらい事だぞ」
叔父さんは僕たちの方は見ずに真顔で言った。
僕は彼を一瞥した。
本気で言ったわけではないにせよ、ぐるになって加奈という女性を食い物にしている思いのある僕と叔父は、彼女に正常に戻られたら拙い。
「そんな事あるわけないですよ」
僕は一抹の不安を打ち消すように笑って言った。
「そうだな」と、叔父さんも笑った。
ラーメンを食べ終え、三人でテレビを見ていた時に僕の携帯電話が鳴った。
着信を見れば、友里恵さんからだ。
『何だよお・・・』
仕方なく出た。
<もしもし。今、何やってる?>
「テレビを見とるよ」
<正月の前に会えない?>
「んー・・・」
その時、加奈さんにいきなりズボン越しにペニスを掴まれ、思わず「ん!」と呻いてしまった。
<何?>
「いや別に」
「ふふふふ」
加奈さんが笑った。
<誰かそこにいるの?>
「いや」
気付かれるのを恐れて電話を切った。

つづき「狂女20」へ


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