狂女17_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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狂女17

15-06-14 09:13

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ

肉欲に溺れた翌日には同級生と清いデートをする・・・まるで両刀使いみたいだが、加奈さんとは裏の面だと割り切ってその日の朝から友里恵さんと名古屋のデパートや地下街で遊んだ。彼女は僕を真面目な同級生だと相変わらず思い込んでおり、その仮面が剥がれないように努めた。

薄っすらとした化粧に、ピンク色のセーターと青いパンツという格好は少女らしくて可愛く、快活なお喋りは加奈さんとはまるで違う陽気さを感じさせて好ましかった。
加奈さんが月なら友里恵さんは太陽だな、なんて勝手に二人を比べては楽しんだ。
喫茶店で向かい合っている時、友里恵さんは同じクラスの男子や女子の噂話をしたり、お正月にはどこへ行こうか、などと僕を誘っている。
そんな、僕を全く疑っておらず、これからのデートが楽しみで仕方がない様子の友里恵さんを前にしていると、加奈さんとの関係を隠しているのが何だか申し訳なくなった。
しかし、勿論事実を打ち明けるわけには行かず、「そうだなあ。熱田神宮へ行って・・・」などと答えるのだった。
友里恵さんが、「温泉は?」と冗談っぽく聞き、僕が「ばーか」と笑って答えると、友里恵さんも笑った。
自分たちはまだ高校生だという意味合いを交わしたものの、その実僕はもう大人の女を抱いてしまっている。
スプーンでコーヒーをゆっくり掻き回しながら僕は、『友里恵の奴、本当は俺と温泉へ行きたがっているのかもしれんな・・・。
俺がその気になれば二人の女を・・・』と思い、顔を上げて友里恵さんを見た。
彼女は僕の視線にちらっとこちらを見た後、少し恥ずかしそうに眼を逸らしてコーヒーを飲んだ。
僕の目が邪悪に光った。
陰と陽、どろどろした濁流とさわやかな清流という対照的な二人の女性を手玉に取る・・・彼女らを知って黒い欲望が渦を巻き始めた。
はっきりした計画は何も無いが、これからの事を想像するだけで興奮した。
女性という存在がこんなにも夢中にさせるのか。
その時になって僕は初めて、女性にまつわる男たちの不道徳や犯罪が心から理解出来たのだった。
不倫やハーレム、さらに強姦や痴漢など、頭ではわかっているつもりだったが、そうした非道な行為が後を絶たないのは当然だと思った。
加奈さんを強姦した男、さらに、初めは深く同情しながらもいつしかその妹を犯した勝叔父の許されない行為も十分にわかるのだ。

夜、自室で学校の勉強をしていると、母さんが時々お茶やケーキを運んでくれる。
こうして机に向かっている僕は勉強熱心で真面目だと思っているだろう。
その仮面を被りながら、友里恵と加奈という二人の女への黒い欲望を持ち続けるのだった。

つづき「狂女18」へ


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