狂女12_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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狂女12

15-06-14 09:13

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ

僕は時々迷いながらも何とか、目指す勝叔父さんの家にたどり着くとインターフョンを押した。
中々出ないので二度、三度押したらようやく出た。
「雄一ですが」
<おお入れや>

僕は玄関戸を開けて中に足を踏み入れた。
狭いコンクリートの土間には男物と女物の靴が乱雑に置かれ、その近くには週刊誌の束が積んであり、傘が二本立て掛けてある。
どうしようか迷っていると叔父さんが現れた。
「よお来てくれたな。上がれや」
彼はにこにこしている。
僕は少し緊張して上がり、叔父さんの後に従って居間に入った。
六畳のそこにはテレビやホーム炬燵があり、加奈さんが中に入ってみかんを食べている。
「あー!」
彼女は僕を見て歓声を上げた。
「お客なんてめったに来ないからな」
それから叔父さんは僕にも炬燵に入るように言い、自分も中に入った。
部屋にはエアコンの暖房も効いているので僕はオーバーを脱ぎ、叔父に言われるまま加奈さんと向かい合いの場所に座った。
「簡単に来れたか?」
「いえ、結構迷いました」
「そうか」
「食べな、食べな」と、加奈さんがみかんを勧めてくれる。
「遠慮せんでもいいぞ」
「はあ、じゃあ」
僕は加奈さんからみかんを受け取り、皮を剥き始めた。

つづき「狂女13」へ


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