出会いの街角(六話)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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出会いの街角(六話)

15-06-14 09:15

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「出会いの街角(一話)」へ

ひとまず二人は車で移動をはじめる。

まだラブホテルには行かないということは示し合わせてある。

「バイブで何かやってみる?」

「えー」

「ディルドーもあるけど」

「うーん」

「縛ってみようか?」

「どうしよう」

彼女は迷っているように見えて、じつはこのまったりした時間を楽しんでいるのだ。

「出し惜しみしないでさあ、自分から言っちゃいなよ」

シンジに促され、ミサが照れながら告白する。

「あたし、オナニーがしたい……」

その瞬間、シンジの胸がきゅんきゅんと音を立てて疼いた。

聞いてはいけないフレーズを聞いてしまったような、それでいて欲求が満たされたような、なんとも歯痒い感覚である。

「ミサはオナニーが好きなのかい?」

「エッチより、一人エッチが好き……」

「あ、ずるい、言い方を変えてるし」

「だって恥ずかしいから……」

「オナニーが好きなら、オナニーって言えばいいじゃん」

「いやだ」

埒が明かないので、この件についてはシンジのほうが折れてやることにした。

その代わり、ミサのことを徹底的に凌辱してやりたくなった。

彼女の人権は尊重しつつ、絶え間ないアクメによって性に依存させてやるのだ。

数分後、シンジの車はレンタルビデオ店の駐車場にあった。

入店するなり二人は別行動を取る。

邦画コーナーに女子高生の姿があった。

こんな夜遅くにどうして女子高生が、などと思ったが、シンジは妄想の中でその少女を犯しながら、ミサが無事に帰ってくるのを待つことにした。

一方のミサは、ひとりでアダルトコーナーに向かった。

『18禁』と書かれたのれんをくぐり、心細さを顔に浮かべて、誰とも目を合わさないようにしながら奥へと踏み込む。

そこには女の知らない世界が広がっていた。

目を覆いたくなるような下品なタイトルが所狭しと並んでいる。

ふと誰かの視線を感じ、ミサの被害妄想がはじまる。

たちまち彼女の体の一部分が潤いを帯びてくる。

それを受け止めるための下着がないので、熱いしずくはすぐに太ももをつたい、人目につくところにまで流れていく。

仕方なくそのままアダルトコーナーを巡り、ほかの客の視線をびりびりと感じながらタイトルを眺める。

盗撮、人妻、同性愛、近親相姦などなど、以前のミサなら蕁麻疹が出るほどそれらを敬遠していたはずだが、今ではすっかり性のマーケットに敏感な女性に成長していた。

そこにきてシンジのような男性に出会えたのは、たとえそれが偶然の産物だとしても、運命的なものを感じずにはいられなかった。

彼はどこか自分とおなじ匂いがする、ミサはそう思う。

四方をアダルトDVDに囲まれた一画でミサは立ち止まる。

きょろきょろとまわりをうかがい、バッグの口を開ける。

手を差し込むとシリコンの感触をおぼえた。

もう一度まわりを見て、ほかの客から死角になっていることを確認すると、ディルドーを取り出してその先端にキスをした。

誰かが来る気配があったので、ミサは玩具をバッグに戻して素知らぬ顔をする。

あぶないところだった。

けれどもこのスリルが堪らない。

ふたたび誰もいないところに移動して、同じことを繰り返す。

ディルドーを使って疑似フェラチオをするのである。

何度かやっているうちに脳が痺れるような感覚をつかみはじめる。

ミサは陳列棚に向かってしゃがみ込み、大胆にもディルドーを床にくっつけた。

お尻をバッグで隠して死角をつくり、ショートパンツに隙間を開けると、そのままディルドーにまたがった。

それは膣口押し広げながら、するすると中に入ってくる。

公共の場で自慰行為に耽っているという現実が、あっという間にミサの理性を奪っていく。

もうどうなってもいいと思いはじめていた。

ミサはゆっくりと腰を落とし、とうとうディルドーを根元まで飲み込んでしまう。

「んっ……んんん」

声を出すわけにはいかず、ミサは唇を噛んで快感に堪える。

意識して腰に回転運動を加えてやれば、膣に馴染んだシリコンの質感が穴の隅々にまで行き渡る。

くちゅり、くちゅり、という音はミサにしか聞こえないほど小さい。

男性客らが踏みしめたであろう床の上に、はしたない液がとろりと流れる。

つづき「出会いの街角(七話)」へ


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