この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ
カラオケ大会はずっと続き、それに飽きたのか叔父さんが僕に、「他へ行くか、雄一君?」と誘ったので、「はい」と応じた。
社殿前の両側ではかがり火が赤々と燃え盛っていて周囲は明るい上に暖かく、僕たちはその前に立った。
加奈さんを見ると、その横顔がかがり火に映えていて妖しいまでに美しい・・・。
それにしてもこの人が母さんの妹だなんて・・・あまりの違いに、二人は本当に姉妹か?と疑うくらいだった。
僕はふと、母さんは妹の加奈の美しさに嫉妬しているんじゃないか、と思った。
鼻が低くてとても美人とは言えない母さんは同性として実の妹に敵意を抱いている・・・。
そして妹の気が狂ったせいで軽蔑心も加わってその存在を認めようとはしない・・・。
いつしか陰鬱な気分になっていたが、加奈さんが腕を僕の体に回して頬を押し付けたのでそれも吹き飛んだ。
「おいおい、人が見とるぞ」と叔父さんが他人の視線を気にして注意した。
しかし加奈さんは構わず僕に体を密着させている。
そんな態度に腹を立てたのか、叔父さんは僕たちを見ていた後、黙ってカラオケ会場の方へ行ってしまった。
加奈さんと二人きりになり、僕も彼女を片腕に抱いた。
言いようの無い心地良さに包まれていた。
かがり火の炎と、立ち昇る煙・・・。
「行きましょう」
僕は彼女の耳元で言ってかかがり火から離れ、社殿右横の奥へ一緒に行った。
草地のそこは人気が無く、不気味ですらある。
カラオケの音楽と歌声も会場前より小さく聞こえる。
僕は女性との初めての経験の為緊張していた。
加奈さんは、「怖い」と暗闇を恐れた。
「大丈夫です」
「怖い怖い」
僕の胸に顔を埋めた。
その加奈さんを両腕に抱き締めた。
この人が母親の妹だと思うと妙な気持ちになった。
まるでうぶな女学生のよう・・・。
強姦されたショックで精神が狂ってしまった事を憐れんだが、今こうして僕の腕の中で怯えているのが何ともいじらしく、正常に戻らなくてもいい気さえしていた。
加奈さんの乳房が僕の胸に感じられ、ペニスは固く鋭く上向いている。
思い切ってその唇にキスをした。
闇を通して、笑顔で首を傾けた様子がわかる。
二十歳近く年上の、濃い血縁関係の女性を恋人のように扱った事に、背徳感を伴った甘く妖しい気持ちが胸いっぱいに広がり、まるで麻薬のようにそれから抜け出せなくなるのでは・・・と不安がちくりと胸を刺した。
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