誤算_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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誤算

15-06-14 09:17

「今度はいつ会える?」
まだ震えが治まらない汗だくの背中に
あの優しいキスを何度もしながら、
彼女はようやく終焉を告げる質問を口にした。
「はあ~、はあ~、はあ~」
今、一番訊かれたくなかった問い掛けに
息を整える振りをして黙っている。

こんなつもりではなかった。
ほんのちょっとした好奇心。
今まで夫しか知らない自分が、
このままではつまらない女に
なってしまいそうで、
堪らなく不安な日々から試みた
初めての衝動的な浮気だった。
浮気と言ってもいきなり知らない男性に
抱かれる勇気はなかった。
そんな時に知ったレズビアンサイト。
好奇心で見ていた折に知り合った
保奈美という24歳の女性。
本名かどうか知らないが自分も安奈と偽名を使い、
結婚していることも伏せていた。
年齢も本当は30だがサバをよんで27歳と語っていた。
ちょっとエッチな会話にドキドキ感を楽しみながら、
女性となら恥ずかしいけれども怖がらず
エッチを楽しめるかもしれないと思うようになっていった。
誘ったのは自分からだった。
「保奈美さん、今度の月曜の夜会えないかしら?」
幸い夫は単身赴任中で週末にしか帰ってこない。
適当な理由をつけていれば自由になる時間はすぐできる。
「いいですよ。安奈さんに会えるのがすごく楽しみです」
この時点では自分の素性は何も相手に知られていない。
家庭を壊すつもりもない。
一度きりの冒険。
それだけで満足できるはずだった。

「ねえ、安奈」
「わから・・・ないわ、まだ」
「そう。私は今プーだからいつでも空いてるからまた連絡して」
(どうしよう。こんなに感じてしまうなんて。
女同士がこんなにいいものだったなんて・・・知らなかった)
もう何年も付き合っている恋人のように
どこをどうすれば気持ちいいのか彼女は
わかっていた。
夫とのSEXでは決して味わえなかった快感に翻弄されっぱなしで、
普段はあげないような卑猥な喘ぎ声も叫び続けながら
気づけば朝方になっていた。
自分の中で何かが変わってしまった一夜を後悔しても、
すでに手遅れだった。

本名 安藤奈々子 30歳 専業主婦。
優しい二つ上の夫と恋愛の末、結婚して丸6年。
子供はまだいない。
その美貌とは裏腹に、昔から奥手の上に
生真面目さが重なって男性経験は夫一人。
公務員の夫は1年前から単身赴任中で、
週末に帰ってきては日曜日に出かけていくという
日々が続いていた。
一人で過ごす一週間の何と長いことか。
そんな寂しさからつい魔が差し、
人生で二人目の経験の相手に
選んだのは女性だった。

如月保奈美と名乗るその女性は、
ジーンズ姿が凛々しい
まるでモデルの様なスタイルの女性だった。
奈々子が憧れるような風になびく長く巻いた茶髪は、
その住む世界の違いを如実に感じさせた。

つづき「誤算 2」へ


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