この話はつづきです。はじめから読まれる方は「誤算」へ
奈々子の目尻から一筋の涙が零れ落ちる。
「ヒィーッ」
もう何度イカされたのかもわからない。
どこまで深く堕ちていくのかもわからない。
夫しか知らない彼女はその涙の意味を
まだ理解できないでいた。
(怖い。助けて!体がバラバラになる。
これ以上は無理。これ以上はきっと
戻れなくなっちゃう!)
一瞬、優しい夫の顔が浮かんだ。
帰る場所に当たり前のように帰る。
そんな光景が遠ざかっていくような不安が、
保奈美の腕を制するように掴んだ。
「ん?どうしたの?」
「もう・・・」
奈々子は訴えるように頭を振る。
しかし保奈美はにっこり微笑むと舌で
奈々子の涙を掬い取るように頬を舐めた。
「大丈夫。怖がらないで。
力を抜いて私に任せて」
そう言うや否や、あの魔法のような指が
奈々子の中で再び蠢きだす。
「ハアア~」
最初から抗う術など無かったのだ。
一度は働きかけた奈々子のリミッターも
容易にこの指は外してしまう。
浴室で最初に感じた感覚は
間違いではなかった。
まるで女を悦ばせることに特化したような
魔法の指。
それとも女を熟知しているレズの女性は皆、
こんな武器を隠し持っているのだろうか?
浮気をし、罪悪感が無いわけではない。
愛する夫に申し訳ないと思いながらも、
更にそのSEXを比較してしまうのは
奈々子の経験の無さからだろうか?
(ああ、スゴイ!!どうして?
夫のペニスよりこんなに細くて頼りないのに、
夫のモノでガンガン突かれているときより
何倍も、いえ何十倍も感じてしまう。
ダメよ。いけないわ。忘れられなくなりそう)
奈々子の葛藤を知ってか知らずか、
保奈美は指を2本に増やし、高速ピストンで
彼女を弾けさせた。
「ああ~、ダメェ~、キックゥうう~、
イイ~、もうムチャクチャにしてええ~」
奈々子は全てを忘れ、金切り声で
保奈美の腕に爪を立ててしがみつくのだった。
「あ~あ、跡ついちゃった。
すぐ消えるかしら」
赤くミミズ腫れのようのなった右腕をさすりながら奈々子を可愛く睨み付けた。
「ご、ご免なさい。私ったらこんなこと・・」
「いいよ。引っかきながら、死ぬー、死ぬー
って泣きわめく顔が可愛かったから。
特別に許してあげる」
奈々子は顔を真っ赤にして先程の醜態を
恥ずかしがった。
「安奈はいつもこんなに乱れるの?」
「いえ、違います。こんな風になったのは・・
保奈美がすごく上手だから・・・と思います」
「・・・そ、ありがと。最高のほめ言葉ね」
奈々子は正直な感想だった。
と同時に今後、夫婦生活に支障がないか
一抹の不安を抱えていた。
早く夫に抱き締めてもらいたい気持ちが
高まっていった。
「女性との経験は初めてだったよね?
どう?何か変わった?」
「んん~、わからないわ。
特に何も変わらないような」
嘘をついた。
この場はそう答えるのがいいように思えた。
「ふ~ん、私だけかな?
女の欲望には底がないと思っているのは」
「えっ?」
保奈美がいきなりキスをしてきた。
「私はまだまだ足んない。
レッスン2。女同士には終わりがないのよ。
生まれたばかりの貴女の欲望をもっと
引き出してあげる」
つづき「誤算 6」へ
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