この話はつづきです。はじめから読まれる方は「誤算」へ
「はあっ・・・ああっ」
流れ続けるシャワーの音を時折
寸断するかのように、バスルームに響き渡る
艶かしい声は、主の戸惑いを置き去りに
その声量を増していく。
(ちょっ、ちょっと、これ、ヤバイかも。
何?感じすぎちゃう)
夫以外に見せたことのなかった全裸も
同性だからという気があったからなのか、
恥ずかしさも軽減できた。
いや、それ以上に紳士的にも写る保奈美の
手慣れたエスコートに導かれ、恋人気分を
味わうように気持ちが大きくなっていた。
保奈美に促されるまま二人でシャワーを
浴びるところまでは不安以上に期待が
勝っていた。
奈々子は立つこともままならぬまま
浴室の壁に寄りかかるようにへたれこみ、
左右の乳首を指と舌で同時に愛撫され、
味わったことのない快感に身を委ねていた。
「フフ、感じやすいのね」
「あ~ん、やだあ、どうしてえ~」
経験人数2人目という奈々子は、
年下とはいえ女性の体を熟知した保奈美の
テクニックに翻弄されていた。
「あら、感度がいいのはとっても
素晴らしいことだわ」
「あっ!」
保奈美の左手がいつの間にか奈々子の
薄い毛で覆われた女性自身に到達していた。
保奈美は奈々子の耳元で口づけするように
囁いた。
「フフ、ここだけお湯がヌルヌルしている。
どうしてかしら?
安奈はこうやって女性にココ
触られるのは初めて?
自分でするのとは全然違うでしょ」
「やんっ、はああっ、いやっ、やめっ!」
「止めて欲しいの?本当に?」
保奈美の人差し指がスッと
クリトリスを掃いた。
「ヒャン!」
「その妖艶な口から
意外と可愛い声を出すのね。
今夜は楽しみ。
私も本気で貴女のことが知りたくなって
きちゃったわ。
たっぷり時間をかけてね」 保奈美は左手をスッと引くと、
奈々子に口づけをして立ち上がった。
そして本番は別の場所でとばかりに、
妖しく微笑むとそのままバスルームを
出ていってしまった。
奈々子は恥ずかしさと初めて経験する
同性の愛撫の衝撃に戸惑っていた。
(どうしよう?
あんな繊細で優しいタッチ初めて。
快感で全身に衝撃が走ってしまった。
もう、これ以上は踏み込まない方が
いいような気がする。
自分が変わってしまいそうで。
でも、もう一人の私がこの先を望んでいる。
30年間私が知らなかった世界に、
この身を投じてみたいと。
たとえ全てを犠牲にしようとも)
一人浴室に取り残された奈々子は、
ギュッと膝を抱え込むようにして、
これから繰り広げられるであろう
ベッドでの快楽に乱れ狂う自身を想像し、
覚悟を決めた。
つづき「誤算 4」へ
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