Once upon a summer time - ある夏の出来事2_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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Once upon a summer time - ある夏の出来事2

15-06-14 09:20

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「Once upon a summer time - ある夏の出来事」へ

『第2楽章 - 仮面舞踏会』

  ピアノと楽譜の画像に話題を絞って会話のきっかけを作ったのは成功だった。

  聖子のプロフィールのアルバムには、メールで送られたものと異なるアングルの後ろ姿の画像が追加されると、伝言板のコメントが更に増えていった。

『後ろ姿がセクシーで、こちらに向かせたくなります』

『壁の時計を見ると、今撮りですね。リクエストしていいですか?』

『今、メールをしたので読んで貰えますか?』

  聖子がメールを転送しているとすれば、携帯電話なりスマートフォンが鳴りっぱなしなのは容易に想像出来た。そして、聖子のメールにも、そのことが触れられていた。

『子犬のワルツは気に入っていただけたかしら?でも、あなたの言葉にのせられてしまったせいで、メールの受信が止まらないわ。でも、つまらないメールが多くて転送機能を停止した方がいいかしら?』

  つまらないと言うメールの内容は伺い知れないが、伝言板に寄せられるコメントに気分を良くしているのは間違いないだろう。せっかくの機会だから、もう少し刺激を与え、聖子の反応を楽しみ素性を探ってやることにした。

『ショパンの子犬のワルツもいいけど、気分はハチャトリアンの仮面舞踏会なんじゃないのかな?伝言板のコメントを読んで蜜を溢れさせているんじゃないかな?スカーフか何かで顔を隠して、少しだけ横向きになったら?

メールの転送機能を停止するなら、このアドレスにメールをして欲しい』

  プロフィールには多少気取った態度と言葉遣いが伺えたせいか、伝言板にはM性を持った男たちのコメントも目に付き始めていた。

『女王様のハイヒールで踏まれたい』

『M字開脚のまま顔面騎乗されたい』

  返信を待つ間にも、伝言板のコメントは増え続けていた。大半は聖子が貼り付けている画像への感想や、新たな画像やとって欲しいポーズに終始していた。

  程無くスマートフォンがメールの着信を知らせたが、それが誰からのものかはSNSのメール転送機能とは異なる着信音から理解出来た。

『聖子です。わたしが業者かネカマかも知れないと思わなかったのかしら?女であることの証明よ、気に入っていただけるかしら?あなた用は正面から、アルバム用は横向きなの。

あなたのプロフィールも読ませていただいたけど不思議な人ね、あなたみたいなタイプはこのサイトでは珍しいわ』

  添付された画像は、腕を伸ばしスマートフォンで撮ったのだろう、ピアノの鍵盤にもたれ掛かり、もう一方の腕で乳房を抱え込むように谷間を強調したものだった。スカーフか何かで顔を隠しているが、それは仮面舞踏会の雰囲気よりも、むしろ目隠しされた牝奴隷のように見えた。

  アルバムの画像を確認しても
横向きの仮面舞踏会はアップロードされていなかった。メールのリプライまでのタイムラグ、撮影したばかりの画像を真っ先に送付してくることから、聖子の意識を自身に集中させたことを確信した。

『素敵な画像を独り占め出来るとは光栄って言えそうだね?スカーフなのかな?目隠しされた牝奴隷に見えてしまうのは、自身の願望を押し付け過ぎかも知れないね

それにしても、目隠しで撮ったとは思えないくらい自分をセンターに素晴らしい構図だ。視覚を奪われたことで感性や感覚が研ぎ澄まされたんだろう。

シャッター音だけで溢れさせているなら、ファンたちが待ち焦がれている小道具を使ってみたら?』

  リプライを送信して暫しアルバムを覗いてみると、スカーフで目隠しした横向きの姿がアップロードされていた。

  伝言板のコメントが更に賑わう中、聖子自身がコメントを残しているのが目についた。

『皆さまからの沢山のメールは嬉しいのですが、お写真の感想は伝言板で読ませていただきたいわ。お礼に今夜最後のお写真を今から撮りますね。お楽しみに。聖子』

  聖子自身のコメントに対しても多数のコメントが寄せられたが、自身の存在感を示したいのか『ワクワク』『オナニーさせてもらう』などのくだらなものが多かった。

『聖子です。メールの言葉遣いが少しずつ変わっていると感じるのは、わたしの気のせいかしら?S的なあなたの本性が滲み出てるわ。でも、決して不快に感じないのはわたしのM性かしら?

あなたの指示に従って、小道具を使っているの』

  メールには2枚の画像が貼り付けてあった。1枚目は、ブラウスの生地を透かしながら突起した乳首に押し当てられた卵形のローターが主役だった。そして2枚目の画像は、目隠ししたままバイブを口に咥えているものだった。  

  聖子のアルバムを飾る最後の2枚の画像は、大きな反響を読び伝言板のコメント欄は次々に更新され、ざっと数えるだけでも両手では数え切れないIDが確認出来た。画像の使い回しではなく、現在進行形で撮影された画像が金曜日の深夜、いや土曜日の未明に暇を持て余す男たちの心を鷲掴みにしたのだった。

  コメントは留まることなく増え続け、聖子自身が書き込んだコメントが埋もれてしまったせいでメールの転送機能を停止したことや今夜最後の写真であることは過去の告知になってしまった。

メールを送ったので読んでください』

『写真最高です。リクエストしていいですか?』

『明日会えませんか?』

  伝言板のコメントを一通り読み終えるとメールのリプライを打ち始めた。伝言板もようやくピークを越え、鎮まり出したことで聖子も読み終えた筈だ。

『M性を持ち合わせてることを認めてしまうのか?ファンの中には女王様と呼び掛けている男もいただろ?

それにしても凄まじい人気だな?それも納得出来る素晴らしい画像だね。フレームワークにセンスを感じるし、時計を写し込んで現在進行形を共有したのは中々のアイディアだったね。

でも、ローターやバイブを本当に使いたくなってるんじゃないか?リプライは後でいいから、たっぷりと感じておいで』

  予想に反して、聖子からのリプライは早かった。このタイムラグでは小道具を使っての自慰行為など出来るものではないと思った。

『担当している役員のひとりがスイス人でカメラ好きなの。だから、色々アドバイスしてくれるのよ。

タイトスカートとハイヒールのせいかしら?女王様と言われて笑ってしまったわ。今度、女王様キャラを楽しんでみようかしら。

実はローターとバイブは一番弱いモードで使ってるの。それにしても、意識する間もなくあなたの指示に従わされてしまった感じよ、ご主人様』

  メールの添付画像を開くとローターにより膨らんだ淡いピンクの下着が写っていた。

つづき「Once upon a summer time - ある夏の出来事3」へ


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