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最終話『Incomplete Beginnings - 未完の始まり』
圧し殺した恥ずかしさに混じり、しっかり言葉にして告白を終えた安堵の表情が由紀には浮かんでいた。
「オシッコ、玲様のオシッコを由紀に浴びせてくださいませんか?」
ビジネスライクな口調でもなく、甘えた口調でもない消え入りそうなか細い声で由紀は言った。
「オシッコ?」
玲が聞き返したことを否定の意味に捉えた由紀は抑揚の無いトーンで独り言のように呟いた。
「やっぱり、軽蔑しますよね。。。」
「何を勝手に煮詰まってんだ由紀は。。。喜んでやってやるよ。ある意味、おれの変態のルーツだからな」
呆気に取られた表情でふたりの会話を黙って聞いていた実可子が『ルーツ』という言葉に興味を示した。
「何ですかルーツって?」
「たいした話じゃ無いんだけど、小学生の時に悪ガキが公園とかで立ちションするだろ?で、誰がいちばん遠くまで飛ばすとか高く飛ばすか競争になるんだよな」
「はい」
「公園だから、女子もいるだろ?影からこっそり見てたから、お前らも見せろってことになるよな当然?」
「当然ですか、それって?」
「まあいい。それで女子にオシッコさせたんだけど、ヘラヘラ笑いながらする子もいれば、恥ずかしくて泣きながらする子もいる訳だ」
「それで泣きながらする子に萌えですか?小学生の頃からS様なんですね」
実可子も由紀も、驚くとともに納得したかの様な表情を見せながら何度となく頷いた。
「軽蔑したか由紀?」
「いいえ、由紀が軽蔑されなくて良かったです」
「由紀、ここでする訳にはいかないからバスタブに行こう。実可子は変態由紀が浴びるところを見てみるか?」
実可子は想像したこともなかった世界を覗くことに戸惑いを感じた。
「由紀ちゃん、見て欲しい?それとも見られたくない?」
自身で出せない玲の質問の答を実可子は由紀に委ねた。
「実可子さん、見ててくださいますか?」
由紀が余りにもしおらしく言ったことで実可子は見ることに決めた。
「決まったな。じゃあ行こうか?」
玲は由紀の手を引きバスルームに向かうと由紀をバスタブの中に跪かせ、バスタブの対面の便座の閉じたままのトイレを指差し実可子に言った。
「そこに座って見てればいい」
言われた通りに実可子が座るのを確認すると、由紀の髪の毛を軽く撫でた。
「いいか?いくぞ」
黙って頷いた由紀は、喘ぎながらオナニーを始めた。
「ああぁん、玲様ぁ。変態由紀に玲様のオシッコをくださいませ」
バスタブの外に立ち、実可子に背を向けている玲の表情は見伺えないが、バスタブの中に跪き玲の聖水を乞う由紀の恍惚の表情は美しく思えた。
「さあ由紀、どこに掛けて欲しい」
実可子には、玲の声は優しさと冷たさの両方が混じっていると感じられた。
「あああぁん、由紀のお胸に。。。いいいぃ。。。」
玲の分身から発せられた聖水は由紀の乳房を分け隔てなく濡らしていった。
「ああぁん、玲様ぁ。。。温かいですぅ。。。いいいぃ、オマンコにも。。。ああぁん」
由紀の両手は激しく乳房をそして秘密の花園をまさぐっていた。
玲の分身から発せられた聖水のシャワーが勢いを弱め放物線に変わると、由紀は喘ぎを強めながら懇願した。
「お口に。。。」
玲が指先を動かすと聖水が作る放物線は由紀の開いた口に吸い込まれていった。
実可子は座っていられず立ち上がって玲の隣に並んだ。
由紀は、実可子の動きを視線の恥で捉えると、まるで実可子を挑発するかのように顔を玲の分身に少しずつ近付けた。
放物線の勢いの弱まりと比例し玲の分身と由紀の口の距離も縮まっていった。また、由紀の口から溢れる聖水の量も少なくなると、放物線が完全に消えてしまった。それは玲の分身は由紀の上下の唇により包み込まれてしまったためだった。
由紀は、玲の分身に手を添えることもなく自らの最も感じる部位に指先に自由を与えていた。そして、指先の動きが激しくなると、玲の分身に絡みつく由紀の舌の動きも激しさを増していった。
「由紀、気持ちいいよ。爆発しそうだ」
「んんん。。。玲様ぁ」
由紀に大きな波が押し寄せているのは、小刻みに伝わる全身の振動から明らかだった。それは玲だけでなく、玲と並んで立つ実可子にも明らかだった。
玲も実可子も由紀の絶頂は集中させてあげたいと思っていた。ふたりはアイコンタクトを交わしお互いの考えを伝え合った。
「由紀ちゃん、わたしにも」
実可子の言葉を合図に、玲は体を左に向けたことで大きく反り返った玲自身は由紀の口から跪いた実可子の口に預かられた。
その結果、由紀は自由に大きな喘ぎ声を発することが出来るようになった。
「いいいぃ。。。ああぁん、玲様ぁ。。。いくぅ。。。いくぅ」
「いいよ、由紀。。。いっていいぞ」
玲自身も、実可子の口の中で爆発が近いことを感じていた。
「ああああ。。。いいいいっ。。。いくぅ、いくぅ。。。ああああっん」
由紀の秘密の花園が痙攣しながら大量の潮を吹いたのと、玲の分身が実可子の唇に包まれながら爆発したのはほぼ同時であった。
そして、由紀が春先の公園と表現した精子を実可子は吐き出すこともなく飲み込んでしまった。
「玲様、お口でお受けしたのも飲み込んだのも初めてなんです。なんか、調教と言う言葉に刺激されてしまったのかも知れません」
実可子に張り合うかのように由紀も誇らしげに言った。
「玲ご主人様、わたくしも聖水を浴びせていただき、お口でお受けしたのも初めてでございます」
「どうした、由紀?話し方が変わってるじゃないか」
「だってぇ、大人の男性の玲ご主人様の調教をお受けするのですから」
「由紀ちゃん、玲様はきっと今のままの由紀ちゃんがお好きなんじゃないかしら?」
「本当ですか玲ご主人様?」
「参ったな、次に大高さんと顔を合わせるのが」
「玲様、お仕事の時には切り替えなさるでしょう?それに、由紀ちゃんだって大人の対応をするはずだから大丈夫です」
「そうだよな、ごめん、余計なことを考え過ぎた」
「玲様ぁ、会議に参加する時にリモコンのローターとか由紀に着けさせたいですかぁ?あぁあん、下着を着けちゃダメって命令されたらどうしましょう?」
由紀が玲をからかっているのは明らかだった。玲と実可子はお互いの顔を見ながら肩をすくめた。
「本当に小悪魔だな。本気で命令されたらどうする気だ?」
「ああぁ、玲様と実可子さん、何ですか今のアイコンタクト?何か通じ合ってるみたいで妬けちゃいますぅ」
「由紀ちゃん、わたし玲様が考えていることがなんとなく理解出来るようになったみたいなの」
実可子は、玲をからかったことで由紀をからかってみたくなったのだった。
「ええっ、それって玲ご主人様の調教の効果がもう出たってことですかぁ?なんか大人の主従関係が素敵ぃ」
「あら、由紀ちゃん本気にしたの?」
「ちょっと妬けちゃうんですけど、実可子さんって従順なM子さんの雰囲気があるんですもん。それに較べると由紀は、まだまだひよっこで」
玲は、由紀の言葉に対する実可子の反応が気になっていた。初めて会ってからの実可子は魅力に溢れていた。それはSだとかMだとか関係なく、ひとりの大人の女性としての魅力だった。玲の調教により変わっていく実可子を見守ってみたいと言う思いが強くなっていることを感じていた。
そして、由紀は頭のいい子だから、玲と実可子にきっかけを与えるように振る舞っているのだと感じ始めていた。
「由紀ちゃん、あなたには敵わないは。。。わたしが玲様の調教をお受けするように導いてくれてるでしょう?」
「驚いたな。おれも同じことを考え始めていたところなんだ」
玲の言葉に、実可子が驚きの言葉を上げた。
「えっ?玲様、本当ですか?」
「由紀には、ビジネスを通じて大高さんのDNAが受け継がれているっていっただろ?大高さんは、二つ、三つ先のことを考えられる能力があるんだ」
「そうですね、今日お目に掛かって、わたしもそう感じました」
玲と実可子の会話をニコニコ笑いながら聞いていた由紀が口を開いた。
「玲様ぁ、それって由紀のことを褒めてくださってますかぁ?」
「負けたよ、由紀が一枚上手だ。さすがSとMの両面を持ち合わせているだけのことはあるよ」
玲は、カフェ・パシフィカで由紀がやったSM診断の結果を思い出して言った。
「でも、大高さん玲様のことを同じように言ってましたよ。お互いを褒め合うなんて仲良しですね。お互いに惹かれ合って」
「その言い方じゃ、おれたちホモみたいじゃないか。尊敬出来る人なのは間違いないけど」
玲が言った『ホモ』と言う言葉に、由紀が笑い出してしまった。
「やだぁ玲様ったらぁ。ドSの玲ご主人様がホモだなんて思ってませんよ」
「由紀ちゃん、玲様ったらむきになって可愛いと思わない?なんか由紀ちゃんにもSを感じるわ」
「そうですね。実可子さんが玲様に調教されるところ見たいって思いますもん」
「もう、由紀ちゃんたらぁ。本当にいいの?わたしが玲様に調教されても?」
「はい、由紀はぁ、玲様の調教をお手伝いしながら由紀にも命令いただければ」
「ありがとう、由紀ちゃん」
玲は、今夜のことすべてが由紀に見透かされ、仕組まれていたことの様子感じられた。
「ちょっと待ってくれ。何をふたりで勝手に盛り上がって。。。おれにもカッコつけさせてくれよ」
半ば呆れながら言った玲の声は、少なからず感じているだろう実可子の心の不安を取り除く優しさを含んでいた。
「実可子、お互いの心の距離が物理的な距離の200マイルほど離れていなければ。。。おれの調教を受けてくれないか?」
少し頬を赤らめ、伏し目がちに恥ずかしそうに頷いた実可子は一瞬の間を置いて微笑みながら答えた。
「玲様、気障過ぎすぎますわ。。。でも、玲様さえ宜しければ」
「ありがとう、次はマフラーじゃなく本物の縄だぞ」
「きゃっ、実可子さんいいなぁ。。。由紀も緊縛されてみたいですぅ」
「いいよ。小悪魔が悪戯出来ないように縛ってやるよ」
「もう、玲様の意地悪ぅ」
実可子にとって、由紀は妹のようなものなのだろうかと玲は思った。由紀を見る実可子の眼差しには暖かみが感じられていたからであった。
そして、自分を見る実可子の瞳を見てみた。見つめられていることを感じた実可子は、一層少し頬を赤らめ、玲の瞳を直視することを躊躇ように自らの足元を見つめた。
「玲様、そんなに見つめられたら恥ずかしいです」
玲は、実可子の甘えた声色や態度は「未完の始まり」を感じさせるものだった。
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