麗奈は身体を震わせた。
「麗奈ちゃん、今日、遊ぼうよ」
それに気付かずに拓哉が話かけてきた。
「この前、新しいゲーム買ったんだ」
よかったら家に来なよ、と拓哉が麗奈の顔を見た。
「う…ん。ごめ…ん、用事、あるから」
「?」
途切れ途切れに麗奈は拓哉の誘いを断る。
拓哉はそんな麗奈の様子に今日の麗奈はどうしたのだろうと疑問を抱く。
「わかった、じゃ、また」
しかし、それを指摘する事を躊躇い拓哉は、分かれ道に差し掛かった所で何も聞かずに麗奈と別れる事にする。
幼稚園の頃から一緒で小学生6年生になったいまでも仲の良い異性の幼馴染み。
拓哉はいつも元気で明るい麗奈が好きだった。
拓哉にとって初恋の相手なのである。
「ん…ま、たね」
だから、本当は聞きたかった。
大丈夫なのかと。
でも、躊躇ってしまう。
好きだから、変な事は言えない。
拓哉の頭の中に昨日保健体育で習った授業内容が思い出される。
勝手にそういう事なのだろうと納得しながら。
この時に気付いていればと後悔する事となるとは知らず。
気付いていたとしても、どうにもならないと打ちのめされる事と知らず。
拓哉は麗奈と別れた。
「ああっ、も…だめぇ」
拓哉が去って姿が見えなくなる。
周りには人気はない。
麗奈は座り込み、一人、身体を震わせた。
「もしもし…麗奈、です」
震える身体で麗奈は携帯電話を取り出して、この震える身体の原因である男に連絡を取る。
「ぁああっ!?お願いします!お願いします!お願いします!早く来て、早く、あ、ああぁぅ…おじさ、ま」
麗奈は顔を歪ませて電話の相手に懇願を繰り返す。
依然として身体の震えは止まらない。
「おじさま…ねぇ、おじ、ァアツ!!イヤッ!また…」
「麗奈ちゃん、お待たせ」
「はぁっはぁっ」
地面に座り込み、両手で身体を抱き締める麗奈の後ろに男が現れる。
醜く肥えた男だ。
「あ…おじさま」
その男を目で見付けるなり麗奈は小さく笑みを浮かべる。
まるで、恋をする乙女の様に。
「ホテルに行こうか?」
そんな麗奈に男は醜く歪んだ笑顔を見せて、少女である麗奈に馬鹿な問い掛けをする。
「はい」
しかし、麗奈は素直に返事をした。
それは、麗奈にとっても望む事であったから。
「ほら、立って」
男が麗奈の腕を掴み、足を立たせる。
立たされた麗奈の足を透明で艶やかな滴が伝い、足元に落ちていった。
つづき「少女の純心を喰う2」へ
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