目が覚めたら何故かデブオヤジになってた_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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目が覚めたら何故かデブオヤジになってた

15-06-14 09:23

宇田川剛久と名刺に書いてある。今の俺の名前。見た目は脂ぎったデブオヤジ。禿げてはないが薄い髪の毛。顔も体も無駄な肉ばかりで泣けてくる。救いは宇田川剛久が結構な金持ちであること。しかし、人望はない。親戚連中からも嫌われている。最低な性格だったのが分かる。

20歳そこそこの童貞。容姿は平凡。趣味は無し。学力は中の下ぐらい。特殊技能無し。資格は運転免許くらいか。交際歴無し。モテないモブ男。。
それが、宇田川剛久になる前の俺。名前は既に分からない。宇田川剛久になった時点で記憶に無くて思い出せないのだ。ただ漠然と自分が元々は宇田川剛久ではない何者かであった事だけが頭の中にあった。平凡な男だったという情報と共に。
ある日、朝起きて洗面所の鏡を見て、自分が宇田川剛久になった事に気が付いた。そして、どんな奴であったのかという情報がその時に頭の中に浮かんできた。もちろん、漠然とした曖昧な情報だけ。
結局、何も分からないまま俺は第二人生を宇田川剛久として生きる事になった。将来ある若者から旬の過ぎたオヤジにクラスチェンジ。
俺は何か悪い事をしたのだろうか。
正直、宇田川剛久になってへこんだ。何故なんだと叫んだ。神様を呪った。自分を振り返って原因を探した。だが、分からなかった。そして、諦めてこの皆から嫌われる最低なデブオヤジとして生きる事にした。
本当は死にたかった。皆の宇田川剛久を目が尋常ではないくらいに酷いのだ。その癖、無駄に権力のある宇田川剛久に逆らえないから陰でコソコソと悪態を吐く。毎日毎日毎日、俺の耳に入ってくるほど。これだけあからさまだと精神的にキツい物があった。宇田川剛久になって数日でもう限界に近かった。ぶちギレそうだった。
いや、ぶちギレた。
俺の中に残る宇田川剛久の習慣だったのだろう。それは最低な宇田川剛久らしい下卑たストレス発散方法だった。でも、宇田川剛久ではない俺の中にも同じ様な欲望があったので、安易に奴を否定出来ない。ましてや、あの環境ではこうでもしないと生きていけなかったのだと思う。
宇田川剛久はその持ちうる権力と財力で女を飼っていた。そう、金で集めた様々な女をペットの様に扱いストレス発散をしていたのだ。
普通なら現代日本では考えられない様な世界だ。だが、宇田川剛久は最低な男だった。女の弱味を握り、蹂躙し、己のいい様に従わせていたのだ。
そして、ぶちギレた宇田川剛久となった俺もまた同じ事をする様になってしまう。

つづき「目が覚めたら何故かデブオヤジになってた2」へ


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