願望が現実に変わる時_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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願望が現実に変わる時

15-06-14 09:27

自分の抱いていた願望が現実に起こればどんなに幸せな事か、人は皆そんな夢物語を心の微かな希望を胸に日々生活をしている
現実しか無い世界で、しかし1人の男がそんな夢物語を現実の物にしてしまった

男の名は山森達生35歳、最終学歴三流大学卒、職歴多数、そんな男が次の会社に採用されたのは外資系の生命保険会社であった、当然山森達生の様な中途半端な男が採用されるのには裏があった、それは山森は大学時代の先輩同期後輩達を使いその者達の過去をネタに再就職先を斡旋差せるのである、だからこの不景気な世の中にも拘わらずに難無く再就職できのであった、山森達生がこの会社に採用され配属されたのが経理部であった、其処で山森は1人の女性の指導下に措かれた、山森達生を指導する女性の名は秋村和恵42歳、独身、大学を卒業し今の会社に採用され20年を超えるベテラン社員の1人で佇まいも穏やかで地味な感じのする女性であった、しかし山森達生はこの女性の面影を何処かで見た記憶が有った、しかしそれをどうしても思い出せないまま数ヶ月の時が過ぎたある日の休日の前日に久々にアダルトショップへと足を向けた、このアダルトショップの店長とは高校時代の先輩後輩の仲であり無論山森達生が先輩の方であった、後輩の店長が店の奥の部屋で何やら作業をしていた

「よっ!、元気か?暫く!」

山森の突然の訪問に後輩の店長が驚きを隠さなかった

「おー、久し振り!元気でした?」

店長は明るい表情で応えた

「まあな、何とか生きてるよ!」

「そうそう、達ちゃん、また職変えたんだって?」

店長は明るく言った、山森達生の事を達ちゃんと呼ぶのも其れだけ親しい証でも有った

「まぁな、何せさぁ~ひとつに留まれない性分でさあ~」

山森達生は照れ笑いを浮かべ頭を掻いた

「でも達ちゃん、また関係者を脅して職を斡旋させたんでしょ?」

笑いながら言う店長に山森達生は軽く笑い

「人聞きの悪い事を言うなよ、取引だよ、取引!」

そう山森達生は店長の言葉通り、大学時代の関係者を過去の過ちを使い再就職を斡旋させていたのだ、相手方は金品を要求される訳でも無く又過去を公にされれば今の地位が無くなるのを恐れ職を直ぐに斡旋してくれるのである、山森達生には其れだけの情報を持っているのも事実であった

「でっ、今の会社はどうなのよ」

「どうなのよって、別に面白くも何とも無いぜ、毎日毎日パソコンに数字を入れて本社へ送信するだけの単純作業さ」

山森はあくびをしながら応えた

「佳いよな、其れで月のサラリーは最低でもこんなけ貰えるんだろ」

店長は指三本を山森に指し示し山森は笑った

「俺達はさぁ、一生懸命頑張ってもさぁ、様々な経費に金が流れて手元に残るのは雀の涙以下だぜ、だからいけない事も遣らなきゃ食っていけないって訳さぁ」

店長は嘆きながらパソコンを操作し始めた

「なぁに、また裏作ってんのかよ」

「違うよ、アダルト業界もさぁ、浮き沈みが激しいだろ、昔メジャーでも今は廃業してる所が有るんだよ、うちの店にもさぁ、そんな所の置き土産が有ってねそれを編集して捌くのよ」

「だから裏だろ?」

「違うよ、裏じゃないよ、別にタレントが出てる訳じゃないから、企画物を更に編集すると一本の作品に成るのよ」

「なる程ねぇ~、大変な仕事だね~」

山森達生は感心した

「ねぇ~達ちゃん、悪いこと言わないからさぁいい加減落ち着きなよ、何時までも続かないぜ」

店長の言葉が珍しく心に響き山森は軽く頷いた

「はい達ちゃん、これ遣るよ、好きだったよなSM物、これ今編集し終わったんだけどさぁ、なかなか良いぜ」

店長は出来上がったDVDを山森に差し出した

「そのモニターに出すから見てみない」

店長がパソコンを操作しモニターに画像が現れた、確かに写し出された男女の顔にはモザイクが掛けられていたが、少し薄くも感じた、そしてほんの少しだけだが女のモザイクが外れ素顔が露わに成った瞬間、山森達生は思い出した、心のモヤモヤが晴れた瞬間でも有ったのだ。

つづき「願望が現実に変わる時(2)」へ


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