家出少女 22_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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家出少女 22

15-06-14 09:30

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「家出少女 1」へ

星羅が家に連れ戻されてから数日後、
美月と春香の家に和代が訪ねてきた。

「星羅の物を引き取りに参りました」
この日は和代一人だった。
「星羅は、星羅ちゃんは何て?」
当時のことを知る春香が心配そうに訊いたが、
和代はわざと無視して封筒を差し出した。
「少しばかりですが、私達のお気持ちとして
お納めください」
封筒の中にはこの部屋の家賃半年分くらいの
現金が入っていた。
「こんなもの要りません」
「ちょっと、美月」
その金額に驚く春香と違って、
美月は和代に封筒をつき返した。
「それよりも星羅ちゃんを自由にしてあげてください」
「ああ、貴女が小山美月さんね。
初めまして。星羅の母です。
母といっても血は継ながってませんが。
ご安心ください。
あの子はいつだって自由なんですよ。
親の言うことなんか聞かないんですから。
そう言えば小山さんは今度ご結婚なされるとか。
羨ましいですわ。
うちの星羅なんてずっと家を出ていたくせに、
昨日なんか一変して
一生家にいる、結婚なんかしない、ずっとママと過ごすなんて
わがまま言って親を困らせるんですの。
本当あの子は自由気ままと申しますか。
小山さんももうあの子の変な遊びに
振り回されない方がよろしいかと思いますよ」
涼しい顔で和代は二人に最後の止めを刺した。
星羅とこの和代の関係がただならぬものであることは
星羅とベッドを共にした女ならば容易に想像ついた。
そしてもう彼女が自分達の前に姿を現さないことも、
二人は悟ったのだ。
勝ち誇ったように去っていく和代の背中を
二人はただ力の抜けた重い体で見送るだけだった。

つづき「家出少女 23」へ


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