トレンチコートを着て人が行き交う街に1人歩く女
女の名は、田川留美子43歳、一年前までごく普通の人妻であった
しかし松山貞吉と出会った事から田川留美子の人生は奈落の底に堕ちていった。
留美子は結婚して4年が経った
夫は優しく常に留美子を思いやり留美子も夫を思いやった
お互いがお互いを思いやる気持ちが強い程些細な事で歯車が狂い取り返しのつかない事態に陥ってしまう
留美子もまたその厄介な蟻地獄に堕ちた1人であった
夫の単身赴任が突然決まり夫婦間に小さなさざ波が起った会社勤めのサラリーマンであれば単身赴任は至極当然である筈だが留美子は愛すべき夫が居なくなってしまう衝撃に対応出来ず思わぬ行動を採ってしまった
夫が赴任先へ向かったその日に留美子は時折暇潰しに観る:人妻倶楽部:と云う掲示板にアクセスした
この掲示板は隙を持て余した人妻達が思いの嶽を赤裸だに書き込むアダルト掲示板の一つであった
留美子は其れを何時も人事として観ていたが、書き込まれている内容が今の留美子自身とリンクする事に気付き、様々な人妻達の淫らな欲求を観る内、一つの書き込みに目が留まった
留美子は其の書き込まれたアドレスをクリックし進んで行くと女性が霰もない姿で野外に連れ出され晒し者にされているアダルトサイトであった
更に進み動画をダウンロードすると女性が何人もの男達に犯され陵辱され歓喜の悲鳴を挙げる女性の姿に、留美子は体の中に雷が落ちた様な衝撃を受け、自分では気が付かないうちに会員登録を済ませてしまっていた
そして翌日、留美子は恐る恐るパソコンを観ると昨日会員登録したサイトからメールが送信されていた
留美子の心臓の鼓動が激しく成るのを感じながらメールを観た
其処には一つの動画が送られてきていた
其の動画を観ると留美子は短い悲鳴を上げた
「キャッ…」
動画には裸にされた女性が縄で縛られバイブで自分自身を慰めながら悶えながらメッセージを告げていた
「ァァァ…留、留美子さん、ハァンンン…ごぉぉぉ…ンンンン…登録クゥゥゥゥァァァァ…ありがとう…御座います…わたしッ…ァァァングゥァァァングゥゥゥ、あなたと同じーハァハァハァンンンン…淫乱な牝です…ハァァァ…早く、留美子…ァングゥゥゥ…さん…ヒィィィ…会いたいッ…ィィィ…ア、ア、ア、…ヒィィィ…逝きます…逝きます…ァァヒィィィ…」
女性が昇り積める時に留美子の携帯が鳴った、見知らぬ番号であったが留美子は携帯に出た
「田川留美子さんですね」
見知らぬ男の声であった
「留美子さんですね」
男の語尾が強くなった、留美子は唾を飲み込み返事をした
「…はい、層です、そちら様何方ですか?」
留美子の声が微かに震えた
「動画で観て貰えましたか?」
男の質問に留美子は答えを躊躇った
「動画、観られたんですね」
男の声に留美子は頷き返事をした
「はい、観ました」
留美子の声に男は軽く笑ったのが携帯越に判った
「感想は如何ですか?」
「…えっ、感想ですか?」
答えに留美子は戸惑った
「層ですよ、感想をお聞かせ下さい」
男は義務的に言った
「…感想と言われましても、余りなくて、何て言って佳いか」
留美子の言葉に男は少し口調がキツく成った
「田川さん、まさか冷やかしで登録された訳では無いですよね」
「えっ、いや、その…そんなつもりは無いのですが」
「層ですか、良く冷やかしの方が多くてね、もし冷やかしの場合でしたら、次の動画の様に留美子さんが同じ目に遭いますのでご注意下さい」
「次の動画ですか?」
留美子は男に聞き直した
「はい、もう一つ動画が添付されていますから、もし宜しければこのままでご覧下さい」
男の言葉に促されるままに留美子は添付された動画をクリックした
其処に映ったのはさっきとは違う女性が烈しくレイプされ様々な男達になぶり者にされ最後は裸のまま野外に連れ出され晒し者にされている姿であった
留美子は今まで観た事の無い未知の世界に身体が震えた
「留美子さん、判りましたね、私を馬鹿にすればこの女の様に成りますよ!」
男のドスの利いた声が世間知らずに近い留美子の心の中を抉り、そしてもう一つの感情が心の奥底から湧き出るのを留美子は感じた
留美子はこのサイト管理者の男に拠って今までの人生が音を立てて崩れ、もう独りのきっと知らなくても良かったもう1人の自分自身を観る事になった。
つづき「堕ちる女(2)」へ
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