家出少女 17_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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家出少女 17

15-06-14 09:34

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「家出少女 1」へ

ようやく午後6時・・・
「じゃあ、お疲れ様。お先に」
「あれ?小山先輩、今日行かないんですか?
皆飲みに行こうって。部長の奢りで」
さっさと帰ろうとする美月を千佳という後輩が引き止めた。

「あら、そうなの。んん~今日はパス。ちょっと用事があるの」
これと言って用事はない。
ただ一刻も早く星羅に会いたかっただけだ。
「ああ、デートですか?明日は遅刻してこないでくださいよ」
千佳がニヤニヤしながらからかう。
美月はすぐ顔に出る。
必要以上に顔を赤くして怒る。
「馬鹿なこと言わないでよ。えっと・・ただの用事です」
「うわあ、図星だ。いいなあ、先輩は。
結婚も決まってラブラブで。
私なんか最近彼とすれ違ってばっかり。
今日相談に乗ってもらおうと思ってたのに」
「へえ~そうなんだ。ごめんね。
今度また改めて千佳の相談に乗ってあげる。じゃあね」
「うん」
千佳は右手をいっぱいに広げて可愛くバイバイした。
その仕草に美月はドキッとした。
いつも慕ってくれる可愛い後輩。
今日はその後輩とSEXする姿を
想像して興奮してしまった。
無垢な可愛さが罪悪感を呼び起こす。
(本当私どうしちゃったんだろう)
それでも美月は星羅との激しい夜を求めて家路を急いだ。

♪♪♪♪♪♪~
(慎之介からだ。どうしよう)
一瞬迷ったが出ないわけにはいかない。
「もしもし」
「なあ、今からうちに来れない?
式のことでちょっと打ち合わせておきたいことがあって」
「・・・あっ、ごめん。今日はちょっと」
「仕事?遅くなってもいいけど。
なんなら今晩は俺ん家に泊まれよ」
「ううん、今会社の人達と飲みにきてるの」
「あ・・ああ、そうか。わかった。うん、悪いな、突然、じゃあ」
(断ってしまった・・・婚約者の誘いを・・・でも今日は)
美月は問題を先送りした。
いずれぶち当たるであろう大きな問題を。
行けば十中八九慎之介に抱かれることになるだろう。
でも今はそんな気分にはなれなかった。
いや、今晩は絶対にそれだけは嫌だった。
今自分が欲しているのは彼ではないのだ。

満員電車に揺られながら美月は気がきでなかった。
この路線で度々痴漢にあっていたからだ。
いつも恥ずかしくて何も言い出せないでいた。
でも今日はもっと恥ずかしい思いをしてしまう。
今日一日ずっと興奮しっぱなしで
下着がしっとりと濡れてしまっていたからだ。
そんな時に限って現れてしまう。
お尻をモゾモゾ触る手があった。
(きたっ!どうしてこんな時に?)
身を捩って逃れようとするも、
ぎゅうぎゅうづめの車内はそれほど体を動かせない。
その内手がスカートの中に侵入してきた。
ストッキングの上から股間をなぞる指が気持ち悪い。
顔を真っ赤にして後ろを振り向くも
誰が痴漢しているのか全くわからない。
手で必死に払い除けようとしても
平気で痴漢は弄ってくる。
図に乗ったその手は、いきなり
パンティの中まで侵入しようとした。
(ああっ、ダメ!そこは)
陰唇にまで指が届いた時、一瞬その手が止まった。
(ああ、バレた)
痴漢にも下着がしっとり濡れているのがわかったのか、
今までよりも大胆に指で弄ってきた。
(いやだ、誰か助けて!)
だが、恥ずかしさと怖さで声が上手く出ない。
ここまでされたのは初めてだ。
もう一度振り向くも皆平然とした顔をしている。
だがその内美月は恥ずかしさよりも
気持ち悪さでいっぱいになってきた。
昼間っからずっと疼きっぱなしだっただけに
アソコは通常より敏感になっている。
なのに、この痴漢の的外れなことといったら。
ごつい指でろくに濡れてもいないアソコを
強引に捏ねくり回すだけ。
星羅の指とは雲泥の差だ。
恥ずかしさから気持ち悪さになり、
うずうずしていたものがもどかしさに変わると、
終いにはその下手さに腹立たしささえ感じてきた。
そして思わずその手をグッと握ると
「この人痴漢です!捕まえてください」
と大きく捕まえた手を上げ叫んでいた。
振り返ると40代くらいの小太りのサラリーマンが
オタオタしながらうろたえていた。
それから近くの駅事務所で事情徴収みたいなことを受け、
家の最寄り駅の改札口を抜けたのは
すっかり遅くなってしまっていた。

駅を出て溜め息をついた頃になってようやく美月は、
まだもう一つ大問題が残されていたことに気が付いた。
(帰ったら、何て言えばいいのかしら?)
考えてみれば、昨夜疲れ果てたまま眠りに就いて以来、
二人とは全く会話をしていなかった。
今朝は寝坊をして、まだ寝ている二人を
起こさず慌てて家を出てきたのだ。
(ああ、どうしよう。一度きりって言ってたのは私の方なのに、
こんな時どう誘えばいいの?
『星羅、昨日は本当素敵な夜だったわ。だから今夜も・・・ねっ』
ええ~、言えない。無理無理。どんな顔して言っていいかわかんないよ。
『ああ~疲れた。ん?今夜はどうするの?またする?別にいいわよ』
ああ、やっぱ駄目。拒否されらどうするのよ?
もっとわかりやすく。
『もう~星羅ったら。今日ずっと疼きっぱなしだったじゃない~
昨日はああ言ったけど、この責任とってよね』
これじゃあただのエロ女だわ。
単純明快に。
『星羅、カモン!』
笑っちゃうわ。ムードも何もあったもんじゃない。
『昨日は楽しかったね。今日も3人でしようよ』
うん、これだわ。これでいきましょう)
3人の関係はあくまで星羅を中心に回っていた。
星羅と春香、星羅と美月。
昨夜も途中から3人プレイになったものの、
美月と春香はあくまで親友で、
お互いプレイの中のエッセンスといった要素でしかなかった。
二人にとってSEXの相手は星羅なのだ。
だからプレイの中では嫉妬心も生まれるし、対抗心も生まれる。
それがスパイスになって、より興奮を呼び起こすことを
美月は昨日の経験でわかっていた。
本心は自分だけを相手にして欲しいのだが、
逆を考えると怖くてこう言うのが一番無難だと弱気になった。
元々星羅と春香の間に自分が入り込んで、
しかも一夜限りという約束を自分から提示していたのだから。
「あっ、これ可愛い。あの子にピッタリかも」
帰り道の雑貨屋で素敵なネックレスが目に入った。
(プレゼントしてあげて、それから自然にっていうのもいいかしら)
もうここまでくれば恋する乙女である。
(そういえば春香も服をあげていたかしら)
「これ下さい。プレゼント用に包装して」
対抗心がメラメラと燃え上がる。
だがこの夜、美月の膨らむ期待と興奮は肩透かしを食らうのだった。

「ただいま~。あっ、春香。星羅は?」
「・・・」
ソファに呆然と座る春香は口を開いたまま焦点が合っていない。
「春香!」
「かえ・・・た」
「え?どこに帰ってきたの?どっか出掛けてたの?」
「美月~、星羅、家に帰っちゃった~」
春香が泣きながら美月の胸に飛び込んできた。
「ええ?!」

つづき「家出少女 18」へ


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