この話はつづきです。はじめから読まれる方は「お局苛め(1)」へ
玉枝は年末の大掃除を軽めに済ませ少し汗ばんだ身体をシャワーで洗い流す為バスルームへと行き、
汗で濡れた部屋着のブラウスを脱ぐ為胸元のボタンに指を掛けた時であった
訪問者を告げるチャイムの音が鳴り玉枝はバスルームから居間へと戻り壁に取り付けられたらモニター付きのインターホンを見た
モニターに映し出されていたのは3年後輩の松浦玲香であった
玉枝は玲香の訪問に少し違和感を覚えた、それは松浦玲香とは所属も違い特に親しい訳でも無く会社でも挨拶を交わす程度の仲であったからだ
その玲香が大きなボストンバッグを持ち玄関前に来ているのである
玉枝は少し躊躇ったが受話器型のインターホンを手に取り静かな声で応答した
「はい、山岡です」
玉枝の返答に松浦玲香が落ち着いた様子と声で答えた
「松浦です」
「どうしたの?」
玉枝の返答に玲香は答えた
「突然ご免なさい、山岡さんにどうしても相談したい事があって」
「相談、相談って?」
「インターホンではちょっと」
玲香の言葉に玉枝は壁に設置されたドアロックを解除するボタンを押した、玲香は玄関ドアが解除されたのを確認ると扉を開け中に入った、玄関には玉枝が出迎えていた
「突然すいません」
玲香が頭を下げた
「いえ良いんだけど、どうしたの?相談って?」
玉枝は玲香を居間に招き入れた、玲香は白を基調とした部屋にベージュ系のソファーに腰を下ろしボストンバッグを床に置いた
「コーヒーで良いかしら?」
玲香に背中を向け玉枝がキッチンの方へと歩いて行った、玲香は玉枝の後ろ姿を舐める様に上から下へと目線を動かし年齢の割に崩れていないボディーラインに少し嫉妬しそして目元を不気味に緩めた、玉枝はインスタントコーヒーを作り小さなテーブルに載せ玲香の前に置いた
「玲香さん、年末は親御さんの所には帰らないの?」
玉枝の言葉に玲香は軽く頷き差し出されたコーヒーカップを手に取り口へと運び音を発てずに啜った
「はい、結構前に父が再婚してその父も6年程前に亡くなって、母とは仲が悪い訳じゃ無いんだけど、少し放置してるんです」
玲香の言葉の言い回しに玉枝は少し苦笑いを浮かべた
「放置?」
「はい、放置です」
「ふ~ん放置ねぇ~、あのところで相談って何かしら?」
玉枝は玲香が訪れた理由の本題を切り出した
「そうですよね、ご免なさい、実は山岡さんに確認したい事が有って」
「確認したい事?、何かしら」
「田宮智史さんの事です」
玲香の言葉に玉枝は一瞬驚いた
「田宮智史さんの事?」
「はいそうです、彼の事どう思っているのか教えて欲しいんです!」
「田宮君の事どう思っているのかって云われても、特別何も無いけど」
玉枝は目線を下に少し落とし
「田宮君から何か言われたの?」
「いいえ、何も聞いてません、ただ」
「ただ何?」
「只、田宮さんの事を弄ばないで欲しいんです!」
「待って、弄ぶって?意味が判らないわ」
玉枝は笑顔を浮かべながら玲香に答えた
「しらばっくれないで!」
「えっ、意味が判らないわ!」
「私、昨日見たんです、山岡さんと田宮さんがホテルの廊下でキスしている所を」
玲香の言葉に玉枝は言葉が詰まった
「何か答えて下さい」
玲香は玉枝に詰め寄った、玉枝は頭をうなだれそして顔を上げ玲香に言った
「確かに田宮君に告白されてキスもしたわ、でもね彼にはハッキリと断ったの貴男には若い子が似合うってね、だから田宮君とは何も関係無いわよ」
玉枝は笑顔で答えた
「あの、田宮さんとの事はどうでもいいです」
玲香の言葉に玉枝は驚いた
「どうでもいいですって?松浦さん一体何が言いたいの?」
「判りませんか?」
玲香はソファーから降りると玉枝の方に捻り寄って来た、玉枝は上半身を仰け反りながら玲香から遠ざかろうとしたが玲香が迫って来た
「松浦さんっ!あなた何が言いたいの!!」
「玉枝さん、わたし前からあなたの事が好きだったの」
「好きって、女同士可笑しわ」
玉枝は玲香から逃れ様とソファーから身体を床に下ろし後退りした玲香は妖しい笑みを浮かべにじり寄った、そして玉枝を壁際まで追い詰め鼻と鼻が付くまで顔を近付けた
「その顔よ!その困った顔が好きなの」
「馬鹿な事言わないで!玲香さん、あなたちょっと変よ!」
「変?変ですか!女が女を好きになっちゃ駄目ですか」
「駄目って、私そう云う趣味無いから」
「趣味無いから?、へえ~そんな事言って良いんだ!」
玲香の思わせぶりな言葉に玉枝は身体を強ばらせた
「わたし知ってるんだから、玉枝さんがどんな性癖かわたし知ってるんだから!」
玲香の追い込む様な言葉に玉枝は恐怖した
「あなたに何が知ってると云うのよ!」
玉枝は虚勢を張ったしかし玲香は余裕の笑みを浮かべた
「玉枝さん、私ね、Sにもレズにも興味が有るの」
玲香の言葉に玉枝は身体を震わせた
「玉枝さん、貴女が封印していた本当の姿を解放して挙げるわよ!」
妖しく笑う玲香が玉枝に口付けをした玲香の口付けは全てを溶かす様な巧みな口付けであったそして次第にお互いの舌が絡まり始め玉枝は玲香の中に堕落していくのであった
つづき「お局苛め(3)」へ
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