ほとばしる欲情と迷走する魂 1_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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ほとばしる欲情と迷走する魂 1

15-06-14 09:48

「こら、おっさん!誰の女に手ェだしとんじゃ」
健次はグラサンを斜めに傾けて、
上半身裸の禿げ面の中年男性を鋭い目で睨みつけた。

「いやっ、これは、違う、この女から」
「ごめんね、おじちゃん。彼、怒ると手つけられないから」
男の下で寝そべっている千穂は憐れむように微笑んだ。
「ごちゃごちゃうるさいんじゃ。落とし前つけてもらおうか」
慌てふためく男性に胸から出したおもちゃのドスをちらつかせた。
「ひっ、ひィ-。こ、これで勘弁を」
財布から鷲掴みにした数万円を健次に差し出した。
「なんだ、これ?寄こさんかい」
健次は数万円と財布を取り上げ、札束を全部抜き取った。
「そんな~」
「あぁ?おっさん、ちゃんと写真にも写っとるで。
今日はこれで勘弁したるけえ~、早うイね」
中年男性は服もろくに着ないまま一目散に逃げていった。
「おお~、千穂。30万以上あるぜ。ヒャッホ-」
「ええ~、ウソっ。健ちゃんスゴ~イ」

「ああ~、ああ~、健ちゃん、気持ちいいよ~」
健次の怒張したイチモツが千穂を貫く。
「あのハゲおやじの焦った顔、スカッとしたぜ。なあ、千穂、んんっ」
健次はこれでもかとばかりに腰を突き出した。
「ああ~ん、奥に当たってるゥ。千穂は、はあ、健ちゃんの、ああんっ、
言う事なら何でもする。ああっ、イイ~、イイよ~」
斉藤健次と桜井千穂は同じ大学に通う3年生。
高校も同じで、もう付き合って3年以上になる。
彼らは危険な遊びに興じていた。
お金も欲しかったが、何よりスリルを楽しんでいた。
三流大学に入っても将来先は見えず、
不安な日常から逃げ出すかのように
こんな美人局を繰り返していた。

「千穂~」
キャンパスで自分を呼ぶ声に千穂が振り返る。
「おはよ、朱美」
同級生の有園朱美だ。
朱美も健次や千穂と同じ高校、大学と通っていた。
3人は長い付き合いの気心の知れた親友でもあった。
「昨日、メ-ル見た?」
「あっ、ごめん。返事するの忘れてた。大丈夫だよ。その日は空いてるから」
「そう、よかった。今日、健次は?」
「うん、午後からだって」
「そうなんだ」
朱美はそれとなく千穂の手を繋ぎ、嬉しそうに微笑んだ。
「ん?」
「ん、何?」
「いや、何か楽しそうだから」
「べ~つに。急ご」
朱美は千穂の手を引っ張るように駆け出した。
3人は知られたくない秘密を抱えていた。
健次と千穂は美人局をしていること。
朱美は千穂に親友以上の感情を抱いていた。
高校1年の出会ったその日から。

つづき「ほとばしる欲情と迷走する魂 2」へ


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