この話はつづきです。はじめから読まれる方は「ほとばしる欲情と迷走する魂 1」へ
カウンターで千穂は一人どうしていいかわからず、
グラスを口に運んでいた。
その横ではあの重さんが、大きなイビキとともに酔い潰れている。
「また来てね。ありがとうございました」
ママが扉の向こうで千穂達以外の最後の客を見送っていた。
千穂は悶々としたものを抱えながらも、
少し冷静になって男を見つめた。
(どうかしていたのよ、私。
不感症じゃないことがわかって浮かれてたんだわ。
不感症の原因になった男とまた寝ようなんて)
千穂は愛液で気持ち悪くなったパンティの位置を直そうと腰を捻った。
(私ったらこんなに濡らして・・・何興奮してるのよ。
またこいつに抱かれたかったの?
これじゃ完全に浮気じゃない。何故か未遂に終わったけど)
そんな悶々とした想いを巡らせていたせいで、
いつの間にかママが入口の扉の鍵をカチャリと
密かに掛けていたことまでは気付かなかった。
「ああ、ようやく落ち着いたわ。私も少し飲もうかしら」
「あのう、私、そろそろ」
千穂は立ち上がろうとするがママに肩を抑えられ再び座らされた。
「あら、まだいいじゃない。少し私も飲みたくなったわ。
もうちょっと付き合って。ここからは私の奢りだから」
「はあ、でも・・・」
千穂はバツが悪そうにチラリと寝ている隣の男を見た。
いつ起きるかわからないからだ。
この時には、もう一刻も早くこの場を立ち去りたかった。
そんな千穂の気持ちを察したのか、
ママは自分のボトルを持って千穂の隣に腰掛けて言った。
「朝までもうその男は起きないよ」
「えっ?」
千穂はママの自信たっぷりなその言い様に
何らかの意図が隠されているように感じた。
「あんたもバカだねえ。
こんなくだらない男に引っかかって。
常連客の悪口言うのもなんだけど、
本当ろくでもない奴だよ、こいつ。
あんたの他にも女何人もいるからね」
「いえ、私は、そういうんじゃないんで」
千穂は恥ずかしそうに片手を振って否定した。
「だろうね。あんた、こいつの女にしちゃ若すぎるからさ。
でも寝たことはあるんだろ?どんな関係かは知らないけど」
「・・・」
無言のまま困った顔の千穂に、
ママは酔っぱらった口調で矢継ぎ早に聞いてくる。
「ねえ、単刀直入に聞くけど、
こいつのSEXって最高に良いらしいね。
どう、あんたも良かった?
なんでもスゴイものを持ってるって」
「・・・」
千穂は恥ずかしそうにどう答えていいかわからず、
俯いたまま無言でいた。
その様子がすでに答えであることを
勘のいいママにはわかった。
「ふ~ん、良かったんだ。
良くって良くって、ヒーヒーいわされて、
こんな奴に溺れちゃったんだ」
これには流石に千穂もキレた。
「何なんですか?さっきから。
失礼なことばっかり。あなたには関係ないでしょ」
だが逆にママはこれ以上ない優しい目で千穂のことを見つめると、
ゆっくりとに話し始めた。
「そうね。私には一切関係ない。
私はこの男と寝たわけじゃないし、
あなたとも、今日初めてのお客さんでしかない。
でもね、こいつだけは許せないの。
何人もの女と遊んで、挙句の果て、
ぼろ雑巾のように捨てていく。
まあ、騙された女達がバカと言ってしまえばそれまでだけど、
私はそんなバカな女達を何人も見てきた。
職業柄こいつとは長い付き合いでね。
そんなバカな女達の中に、私の古い知り合いもいたんだよ。
彼女は昔から聡明で綺麗だった。
でも自殺したわ。
この男に捨てられて。
これは忠告。
若いから一時の快楽に溺れるのは誰にでもあるさ。
でも深入りしなさんな。
つらい目見るのはあんただよ」
優しい語り口に千穂はグッと胸を締め付けられた。
「すみません。生意気なことを言って」
「あなた、本当にいい子ね。
こっちこそごめんね。
何も意地悪を言うつもりはなかったの。
ただあなたがフラフラ、見ていて危なっかしかったから。
女の先輩として一つアドバイスをしてあげるわ」
「アドバイス?」
「そう。あなたがこれ以上この悪い男にのめり込まない方法。
試してみる?」
突然、千穂はキスをされた。
「んっ?んん?!」
女性にキスされたのは初めてだった。
高校生の時、ふざけててほっぺにキスされたことはあったが、
唇を奪われたのは初めてだった。
突然のことに気は動転したものの、嫌な気はしなかった。
それどころか女性の唇の極め細やかさや柔らかさに一瞬心を奪われた。
ママの手が優しく千穂の肩から腕を撫でていた。
そのうち舌が唇の隙間を割って入ってきた。
ウイスキーの味がほんのりとしたが、
千穂の舌に絡みつく軟体生物はその感触を
お互い楽しもうとばかりに巧みに誘導してくる。
ほんの数十分前まで隣の男との情事を期待して
アソコを濡らしていた千穂が、
男のキスとは明らかに違う
初めての感触にのめり込んでいくのに、
ものの十秒とかからなかった。
「新たな扉が、傲慢な男達の呪から解放してくれるのよ」
キスの合間に頭に響いた言葉で漸く千穂は、
このママがレズビアンなのだと認識した。
確かにその優しくも情熱的なキスは、
これまでの誰よりも甘く官能的で千穂を夢中にさせた。
目はトロンと下がり、呆けたような表情で
熟練のキスを堪能した。
まるで湯気でも上っていそうなほどほっぺが紅潮している。
蕩けるキスとはこういうキスだったんだと、
舌を吸われながら千穂は思った。
15分いや20分は経っただろうか。
ようやく柔らかな唇が粘っこい糸を引きながら、
名残惜しそうに離れた時、
手足をダランと垂らしてだらしなく座る千穂は、
まるで糸の切れた操り人形のようだった。
「あらあら、女の子がはしたない。
足を緩めて、可愛いパンティが丸見えよ」
ママがそう嗜めた瞬間、全身の力が抜けていた千穂の体が
突然ビクッと硬直した。
ママの指が緩く開いたミニスカートの中に伸び、
ストッキング越しにアソコをなぞったのだ。
「フフ、ストッキングの上からでも
ぐっしょり濡らしているのがわかるわよ。
もっと刺激が欲しいんじゃないの?」
熱く湿っているアソコに中指をグリグリと下着ごと
押しつけるようにしながら、千穂に意地悪く聞いてくる。
千穂は小さく頭を振りながら、力無く形ばかりの抵抗で応えた。
「嘘ばっかり。だってあなた随分前から興奮してたでしょ。
この男を見る目が物欲しそうに潤んでた。
ううん、もっと前から。
この男が入って来る前よ。
ずっと欲情した目をしてた。
当ってるでしょ?
だって私、魅力的なあなたをずっと見てたのよ」
ママは巧みに指でアソコを擦りながら、千穂の首筋に舌を這わせた。
「ダメ、あっ、恥ずかしい。こんな所で、ああっ、誰かに見られたら」
「大丈夫、店はもう鍵を掛けたから、誰も入ってこないわ」
「ああん、でも隣で・・・あああっ」
ママは既にストッキングの中に右手を突っ込んで、
シミができているパンティの上から
親指と中指でクリトリスやワレメを刺激していた。
「言ったでしょ。こいつは朝まで起きないって。
バカな男。いつも自分がしていることを
今夜自分がされただけよ。
ただ、いつもよりは量が多めだったかしら」
(ああ、そうか。何らかの薬でこいつ、ママに眠らされたんだ。
だから、急に私を口説いてる最中に眠ってしまったんだ。
いつもしているってことは・・・ひょっとして
薬で泥酔させた女性を無理やり?・・・
そしてこのママもグル?)
千穂は急に怖くなった。
やっぱり早く店を出ればよかったと、ひどく後悔した。
だが、もう後の祭りだった。
ママの指は直にオマンコを弄り始め、
その巧みなフィンガーテクニックの前には
小娘の思考能力など完全に停止してしまった。
「やああん、ああああ~、はあっ、はあっ、はあっ、やああああ~」
強烈な快感で千穂は頭がブっ飛びそうだった。
何か他のことを考える余裕などまるでなかった。
器用に動く熟練の指はクリトリスからヴァギナから、
同性ならではの扱い方で若い千穂を翻弄した。
「いいいっ!!いやあああああ~っ・・・・」
「いい?イクときはちゃんとイクって言わなきゃだめよ!」
「もうっ・・もう、イっちゃったよ~、はあ・・・はあ・・・」
「ダメじゃない。今度ははっきりイクって教えるのよ」
「あああ~、またっ、もうダメえ~、ああっ、あっ、あっ、あっ、あああ、いい~」
ママの腕に抱かれてカウンター席に座る千穂は、
同性の指で幾度も幾度も絶頂に達した。
もう何度目かわからないエクスタシーの後、
千穂はようやくママの軽いキスと共に
狂気の時間から解放されたのだ。
「思ったより可愛い声で啼くのね。
あなたの声すごく興奮したわ。
どう?この後、私の家で続きを。
もっとすごいことしてあげる。
男のことなんかすぐに忘れられるわよ」
千穂はママの腕にしがみつきながら、
体中痙攣させ、息も絶え絶えに
その甘い声を聞いていた。
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