ほとばしる欲情と迷走する魂 7_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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ほとばしる欲情と迷走する魂 7

15-06-14 09:50

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「ほとばしる欲情と迷走する魂 1」へ

「朱美ぃ~、もうダメかもしれない」
「えっ?どっ、どうしたの?」
千穂が泣きつくように朱美の胸に飛び込んできた。

今晩は一人暮らしの朱美のアパートに千穂が遊びに来ていたのだ。
朱美は心臓が飛び出しそうなほどドキドキしながら自分の気持ちを
悟られまいと必死に冷静さを装った。
「健次は応えてくれなかったの?」
千穂が朱美の胸の中で首を横に振る。
「じゃあ、何で?」
「・・・感じないの。何をされても感じなくなっちゃったの、私」
「えっ?」
あれからも二人は何度かSEXを試みたものの、
健次はいざとなったら勃たず、
千穂は健次の愛撫に全く感じなくなっていた。
余程切羽詰まっていたのか、
千穂は今迄のことを洗いざらい朱美に打ち明けた。
スリルを楽しむように美人局をしていたこと、
健次の目の前である刑事に犯されたこと、
そしてここ最近のSEXのことも。
「何それ?バッカじゃないの!許さない。
千穂を、女を何だと思っているのよ」
「ううん、健ちゃんが悪いんじゃないの。私が・・・」
「バカ!悪いのはアイツに決まってるでしょ。
自分の彼女にそんな危険なことをさせるなんて。
アイツは何一つ女のことわかってない」
朱美はそう言うと泣きじゃくる千穂をギュッと抱き締めた。
突然の力強い抱擁に千穂は驚いたような表情を浮かべた。
「大丈夫。千穂は不感症なんかじゃない。
女性の体はずっと繊細なんだから。
傷ついた心のままじゃ、当然のことよ。
だから千穂が引け目を感じることなんて、
これっぽっちもないんだから」
そう言って背中を擦る朱美の手つきが、
何時しか官能的なタッチに変わってきていることに
千穂は暫く気付かなかった。
「安心して。何も心配することないから。千穂には私がいる・・・」
千穂は何だか妖しげな手の動きに変な気持ちになってきた。
そっと目を閉じ頬が薄っすらとピンク色に染まる。
「千穂・・・千穂・・・可哀想な千穂」
優しいその手はわざと背中の性感帯をなぞるようにして這い回り、
キスをするような距離で柔らかな唇が耳元で囁かれると、
頭の中がボーっとしてきて、その心地良さに流されそうになる。
しかし、友情とも愛情とも判断できない背中の手が何時しか前に移り、
ノーブラのTシャツの上からずっしりと丸みを帯びた乳房を
優しく模るように擦りだすと、流石に千穂も焦った。
「あけ・・み・・?」
それでも朱美は相変わらずうわ言の様に耳元で囁いている。
「千穂・・・悲しまないで・・・貴女はすごく魅力的よ・・・千穂」
「はあ~」
悲しみに満ちた心を溶かすような繊細で優しい触り方に
思わず千穂の口元から甘い吐息が漏れる。
何が起こっているのか頭の整理がつかぬうちに、
千穂はあまりに甘美な時の流れに流されるまま、
抗うことさえ忘れてしまっていた。
そよ風のような優しい手の流れで
夢心地の世界を漂っていた千穂に、
突然、強烈な快感が閃光のように
頭の天辺まで身体を駆け抜けた。
「ああんっ!」
朱美の人差し指と親指が乳首を摘まみ上げたのだ。
同性にしか出来ないだろう絶妙な触り方と力加減で。
だがそれは逆に千穂を正気に戻した。
同性の親友と流石にこれ以上は出来ない。
自身がはっきりと上げてしまった喘ぎ声も、
気持ち良さより恥ずかしさが先に立った。
千穂は咄嗟に胸を両腕で覆い、
体を伏せるようにして朱美から離れた。
しまったという表情を浮かべる朱美は、
取り残された右手をバツが悪そうに後ろに隠した。
「・・・」
千穂は明らかに警戒した目で朱美を見た。
「えっ、あっ・・・と、冗談よ、冗談。
ほらっ、自信なくしてたでしょ。不感症だとかなんとか。
ね、だからちょっと試してみただけよ。
そう、そうよ。何?ちゃんと千穂感じるじゃない。
大丈夫よ。別に心配することないって。
それが言いたかっただけなの」
朱美は必死に取り繕った。
自分でも無理があるかなと思いながら、
もうそう言って誤魔化すしかなかった。
だが思いの外効果はあったようだ。
「・・・」
(あっ!確かに。実際朱美に触られてすごく気持ち良かった。
不感症どころか今迄にない感じだった)
千穂の警戒の目が一瞬にして三日月の様にへにゃっと崩れ、
にっこりと笑顔になった。
「もう、焦ったじゃない。急に変なことするから。
一瞬本気でそっちの趣味があると思っちゃった。
でもありがとう。確かに少し自信が持てたような気がする」
朱美は笑顔で感謝する千穂の顔を見つめながら、とても複雑な心境になった。

つづき「ほとばしる欲情と迷走する魂 8」へ


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