ほとばしる欲情と迷走する魂 5_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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ほとばしる欲情と迷走する魂 5

15-06-14 09:54

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「ほとばしる欲情と迷走する魂 1」へ

ガチャ
「兄ちゃん、恋人に感謝しいや。
お嬢ちゃんのオメコ、ええ具合やったわあ。

ホンマやったら二人共ブタ箱行きやってんけどな、
今日はそれに免じて見んかったことにしたる。
なあ兄ちゃん、恋人がええもん持っとってよかったなあ」
すっかり身支度を整えた男は健次の手首にかかっている手錠を外した。
失神していた千穂もようやく意識を取り戻したようだったが、
まだ体が怠くて、動けないでいた。
健次は憎い相手を一発でも殴ってやりたかったが、それはやめた。
どうせ敵わないのはわかっていたし、
それ以上にこの絶対的支配者には一刻も早く
この場から去ってもらいたかったからだ。
「兄ちゃん、これに懲りてもう悪さすんなや。
しょうもない仕事を増やすんやないぞ。
お嬢ちゃん、ほなな。
連絡先は教えれんけど、運良くまたどっかで会ったら
その時はまた抱いたってもええで」
そう言って男は部屋を出ていった。
「・・・・」
「・・・・・・・」
沈黙と重苦しい空気が部屋を漂う。
最初に口を開いたのは千穂だった。
「どうして・・・どうして何もしなかったの?」
「はあ?あの状況で何が出来るっていうんだよ。手錠で繋がれてたんだぞ。
おもちゃじゃない、本物の手錠に」
健次は少しキレたように千穂に言い放った。
「違う。その後。彼奴が帰る時」
健次は彼女の問いに、怒りのまま彼女にぶつけている自分を
グッと飲み込まざるを得なかった。
ようやく千穂は重い体を起こした。
「私あの男に犯されたんだよ。健ちゃんの前で辱めを受けたんだよ。
悔しくないの?憎くないの?」
「そ、それは・・・」
「健ちゃんならきっと彼奴をやっつけてくれると信じてた。
例えボロボロになっても、あの男に立ち向かってくれると思ってた。
私は刺し違えてでも彼奴を殺してやるつもりだった」
千穂は溢れる涙を流しながら真っ直ぐに健次を見つめた。
「な、何だよ。お前こそ、あのおやじに犯られて感じまくってたくせに」
千穂は健次の言葉に信じられないと言った表情を浮かべると、
唇を噛み締めさらに大粒の涙を落とした。
「わあああ、わああああん」
蹲り右拳で自分の胸の辺りを何度も叩いた。
「はあ~、泣きたいのはこっちだよ」
健次は溜息混じりに小さく呟いた。
それによって何とか被害者面したかったのかもしれない。
それほど二人にとっては衝撃的で重苦しい夜だった。
大泣きしていた千穂がピタッと泣き止み、顔を上げた。
「ええ、そうよ!感じたわよ。死ぬほどイカされたわよ。
それが何?悪い?だって当たり前でしょ。女ですもの。
アソコにイボイボチンポ入れられて感じるなって、
子供みたいに勝手なこと言わないでよ。
その前に男ならちゃんと守ってよ!」
千穂はベッドを叩くとすごい勢いで床に座っている健次の元に近寄り、
突然キスをした。
少しびっくりした健次だったがすぐさまその目からは生気が消え、
熱いキスをしようとする恋人を払い除けた。
「悪い。今は何もしたくないんだ」
「・・・・」
健次は戸惑っていた。
嫉妬、怒り、憎しみ、愛情、劣等感、いろんな感情が渦巻く中、
これまでの人生で一番興奮してしまった自分に。
再び二人を重苦しい空気が包んだ。
「千穂、誤解してほしくないんだけど、さっきはついあんな事
言ったけど、俺はお前のこと、許そうと思ってる。
ただ、自分でも混乱しててどんな行動してしまうかわからないんだ。
だからお互いしばらく会わないのも一つの方法だと思う」
健次の意外な言葉に千穂は呆然とした。
(許す?誰を?私が一方的に悪いことになってる?)
「・・・そうね。その方がいいと思う・・・」

つづき「ほとばしる欲情と迷走する魂 6」へ


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