この話はつづきです。はじめから読まれる方は「被虐牝・1」へ
耕造が試着室の扉を開け絵美子は平静を装い弥生のウエディングドレス姿を見た、眩く愛らしい弥生の姿に絵美子の瞳から涙の雫が零れた
「お母さん…」弥生は絵美子の姿を見て涙が零れた
「弥生ちゃん、採っても綺麗よ…採っても、」絵美子は先の言葉が続かなかった
「…お母さん…今まで…有り難う…御座います…」弥生は声を振り絞り出し、絵美子に近付き抱き逢った、絵美子はこの時覚悟を決めた、娘を守ると、例え自分がどんなに辱められようともこの娘だけは守らなければと心に誓った
「弥生ちゃん、まだ泣いては駄目よ、貴女には此から沢山幸せに成るんだから…」絵美子はこれが最後の幸せと噛み締め弥生を抱き締め泣いた、そして自らあの忌まわしい男、九鬼耕造の手に堕ちる定めと諦めそして自分が真性のマゾ女だと強く心に言い聞かせたのであった
その日の晩、夫一茂と弥生そして絵美子と3人で夕食を採り、深夜夫の目を盗みリビングで携帯を持っていた、絵美子は震える身体を抑え昼間耕造から渡されたメモ紙に書かれた携帯番号を震える指で携帯の数字を押した、何度か鳴る呼び出し音の後に耕造が携帯に出た
「やっぱり掛けて来たな」耕造の声が笑っているのが判った
「…もう、私の事は放っといて下さい、こんなおばさん相手にしても仕方ないでしょ!」絵美子は震える声を抑えながら耕造に訴えた
「おばさん、確かにお前はおばさんだよな、だがな普通のおばさんじゃ無いよな、俺が手塩に掛けて調教したマゾ女だからな」ケタケタ笑う耕造に絵美子は震える声を抑え言った
「お願いです、私の事は忘れて下さい!」
「忘れる?、絵美子、お前が俺の事を忘れられるのか?」
「当たり前じゃないですか!」
「面白い事を言うな、なら何故こんな夜中に電話を掛けて来た、俺の事など無視すれば済んだ筈だぜ」
「それは…貴男が…」
「俺がお前の家に行く言ったからか?」
「そうよ!」
「其れだけか?」
「当たり前よ!、それ以外に何が在ると言うの」
「ほお、なる程な、俺に家に来られちゃ困るからこんな夜中に電話を掛けて来たって云う訳だ、そうかい、」
「……」
「何を黙っている、俺に家に来られて困るだけ何だろ?」
「いえ…主人と娘に…」
「旦那と娘がどうした?」
「私の過去を知られたく無いのよ…」絵美子は携帯を握り締めた
「過去?、自分で言えよ!」
「…私が…貴男に調教されていた事を…主人や娘に…知られたく無いのよ!…お願い、もう放っといて下さい!」
「駄目だ!、絵美子お前は俺の一生のマゾ奴隷だ!、お前だって判ってるんだろ自分が真性のマゾだって云う事をよ!」耕造の言葉に絵美子は咽び泣き
「何故、何故なの、何故放っといてくれないのよぉ…」
「佳いか明日、お前の家に行くぜ!」そう言うと携帯は一方的に切られた
「待って、待って下さい!」絵美子が叫んでもツーツーツーと虚しい音だけが聞こえるだけであった、絵美子はリビングで立ち竦んでいた、深夜のリビング本当は恐ろしい男の出現である筈なのに何故か絵美子の躯の芯は熱く火照り始めていた
翌朝、絵美子は甲斐甲斐しく一茂と弥生の朝食の支度をしていた、キッチンからは湯気が上がり味噌汁とご飯、目玉焼きその他様々な惣菜を食卓テーブルに置いて行った、一茂と弥生が2人仲良く食卓テーブルに附き支度された朝食に手を付け始めた
「弥生、昨日のウエディングドレスどうだった?」一茂が新聞を読みながら弥生に声を掛けた、弥生はえっ、とした顔で絵美子の顔を見て言った
「お父さん、何言ってるの!、昨日散々私に聞いてたじゃない?」
「あっ、そうか?、父さん酔ってあんまり覚えてないんだ」一茂は照れ臭そうに頭を掻きながら新聞を畳んだ
「まぁ弥生、隆弘君と上手くやるんだぞ」一茂はしんみりと一言呟いた
「やだお父さん朝から、何よ急に」弥生は少し戸惑いながら答えた
「いやな、ほら父さん今日から1ヶ月出張だろ、それに結婚式の3日前にしか戻れないし、それにお前も後一週間もしたら隆弘君の下に行くんだ、だからな、まぁ、そう言うと事だ」一茂は照れ臭ささと寂しさを出しながら立ち上がり玄関へと向かった
「お父さん…」弥生が立ち上がった
「弥生ちゃん、お父さんを駅までおくって挙げなさい」絵美子は優しく微笑み弥生に声を掛けた
弥生は静かに頷き父一茂の後を追った、絵美子は2人を玄関まで送り出し小さく成って行く2人の姿が涙で滲んで見えていた、絵美子は朝食の後片付けを済ましバスルームへ行き身体を熱いシャワーで洗い流した、そういつ来るか判らないあの悪魔の様な九鬼耕造がこの幸せな家庭を破壊しに来るのだ、絵美子はシャワーに打たれながら自分に言い聞かせた(この幸せな家庭を守るのよ!)絵美子はシャワーで赤く火照った身体にハスタオルを巻き寝室に行きブラジャーとパンティーを身に着け身体を写す鏡に姿を写し出しブラウスとロングスカートを着た時チャイムが鳴った、チャイムは2度3度と鳴らされ絵美子は覚悟を決め寝室の壁に付けられたらテレフォン型のインターホンを手に取った、インターホンにはモニターが付いおりモニターに九鬼耕造の姿が写っていた
「はい…」絵美子は震える身体で声を出した
「俺の姿が見えてるんだろ」耕造は玄関に付けられたら小型レンズに顔を近付けた、絵美子は耕造の変わらない不気味な笑顔に背筋をゾッと差せるのと同時に身体の芯が熱くなるのを覚えた
「…今、玄関を開けます…」絵美子はそう言って受話器を置こうとした
「待て」耕造がくぐもった声で言った
「まさか俺を出迎えるのに服なんか着てないだろうな?」耕造の言葉に絵美子は声を詰まらせた
「図星か!、素っ裸で出迎えろ!」
「そんな事出来ないわ!」絵美子は咄嗟に答えた
「そうかい、出来ないか、仕方ないな」耕造はボストンバックの中からジャケットを出しレンズに向けた
「…それは…」絵美子が見ているモニターにDVDのジャケットが写し出され、モニターには絵美子が緊縛され放尿をしている姿が写し出されていた
「このバックの中に結構な数のDVDが入ってるんだぜ、帰りに1枚1枚ご近所に配りながら帰っても佳いんだぜ」耕造の卑劣な言葉に絵美子は従うしか術はなかった
「わかりました」絵美子は受話器をインターホンに戻しブラウスのボタンに手を掛けた
つづき「被虐牝・5」へ
コメント