言えぬ関係2_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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言えぬ関係2

15-06-14 10:06

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「言えぬ関係」へ

「なんだ、母さん帰ってたんだ。すぐに出ないから、まだ仕事中だと思ってたよ」
『んっ……ごめん、ちょっとバタバタ、、ぁん……してたから』
なんだか歯切れの悪い声である。いつもの母なら、もっとキビキビした口調で会話が進むはずなのに。

「母さん、なんかあわててない?声も変に高い感じだし」
『そ、そう?キッチンに……ぅん、ゴキ……ブリがいたから、ビックリしちゃって』
母の返事に、智明は納得した。アナウンサーとしては怖いものナシの母なのだが、女性らしく虫が苦手なので、いきなりゴキブリが現れれば、たしかに驚くだろう。殺虫剤を片手に騒いでる母の姿が想像できた。
『と、智明ぃ……な、何時くらい、にっ!帰ってくる……の?』
「本屋に寄っていくから、まだかな。夕飯までには帰るよ」
『そっ……そうな、の。気をつけ、ンッ、なさい……ね』
そこで電話は切れた。そんなに必死な口調で言わなくてもと、智明は苦笑した。
母には、まだしばらく帰らないと言ったが、智明は自宅へと急いだ。ゴキブリ相手に格闘している母の姿を見たかったからだ。
家に着き、玄関のドアを静かに開ける。そうじゃないと、キッチンにいる母に気づかれてしまう。
「あれ?」
玄関に母のパンプスがあるのは分かる。母が帰っているからだ。智明が不思議に思ったのは、母の隣に父の革靴も置いてあったのだ。まさか、体調でも悪くなったのか、営業中に事故でも起こしたのか。智明は母がいるはずの奥のキッチンに歩こうとした。
その時だった。智明の耳に聞き慣れた男女の声が、キッチンの手前にある両親の寝室から聞こえてきたのは。
「あっ、ぁん!あぁあっ……はっ、あはぁ……」
母の声だった。普段テレビで聞いているよりも、明らかに高い声である。声には抑揚があり、智明の耳を無意識に集中させていた。
智明は、なぜか緊張する手を震わせながら、寝室のドアをノックせず、わずかにひらいてみた。
智明の目に最初に飛び込んできたのは、カーペットに散らかされた衣類の数々であった。今朝の番組で見た母の白系のタイトスカート、ジャケット、さわやかな印象のブラウス。そして、洗濯のたびに見てきたFカップの清楚な刺繍がデザインされた黒のブラジャーに、同じ色のショーツ。
それに加えて、智明と一緒に家を出た父の服が、やはり上から下まで同じように散乱している。
カーペットから視線をあげたベッドには、両親が、母と父が裸のまま抱きあっていた。母の両足は大きく左右にひらかれ、仕事のために日焼けしていない白い太ももの付け根まで丸見えで、そこに覆いかぶさった父が荒々しく腰を突き入れている。
智明がセックスという行為を見たのは、それが初めてだった。


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