この話はつづきです。はじめから読まれる方は「姉の微笑み1」へ
島崎を酔わせるーー映子との時間を作るにはそれしかない。と考えたのは映子も同じであった。翌朝島崎は二日酔いで、食欲もわかない状態だったのでどうなることかと思ったが、夕方になると回復してきた。映子の行動は積極的だった。ビールを出してきてしきりに島崎にすすめた。
「姉貴が公認なら大威張りだ」と飲み干し、一時間もしないうちに限界を超えた。示し合わせたように私と映子の視線が重なった。
(早く二人になりたい…)
私の気持ちは燃えていたし、映子の目も輝いていた。
二人して島崎を抱えて布団に寝かせると、映子が囁いた。
「シャワー浴びてくるから、部屋で待ってて」
目が潤んでいるように見えた。
昨夜、ペニスを握られ、射精まで見られたことで私の気持ちには落着きがあった。部屋に入って、ベッドに腰掛け、考えた末、ジーパンを脱いで露出した。いきり立って痛くて堪らない。
(この恰好を見て映子はどんな顔を見せるだろう)
きっと驚くにちがいない。私は期待に胸をときめかせながら、反り返った自身の喘ぎに耐えていた。だが、驚いたのは私の方であった。部屋に現われた映子はバスタオル一枚纏った姿で、しかも私の横に座るなり、惜しげもなく眩しい裸身を見せたのである。
「約束だから…」と言ったが、まさか一糸まとわぬ姿までは想像もしなかった。さらに手慣れたように私の幹を握って微笑んできた。さすがにやや強張ってはいたが昨夜の『経験』がここまで踏み込ませたのだろうか。
「動くのね」
幹は映子の握った手をはね返している。
「感じるとずきずきする」
「かちかち…」
「お姉さん、見たい…」
映子はちょっと目を伏せてから頷いた。
「少しよ、ほんとに…」
ペニスから手を離し、仰向けになると、心持ち股を広げた。大きくはないが形のよい乳房が揺れた。私はベッドを下り、秘部の正面に座った。
まさに秘部…。私は息を呑んだ。真白な太ももの付け根に薄い、綿ぼこりのような煤けた色合いの陰毛。その中に図解でしかみたことのない性器があった。美しいとは思わなかった。割れ目の膨らみは黒ずんでいる。オットセイか何か、海獣の口を連想させる様相だった。
「恥ずかしい…」
映子が身を捩って呻くように言った。
指先で押し開くと、とろりと透明な液が溢れ出てきた。『濡れる』とはこのことだ。さらに開く。
「いや…」
言いながら体は逃げない。
内部が現れ、濃厚なピンク色の中に入口が見えた。私がそこに吸い付いたのは本能のような行動だったと思う。いつのまにか口をつけていた。
「あうう…だめ…」
映子がのけぞった。その反応をみて私の昂奮はさらに高まった。何と言う匂いだろう。微かに生臭いのに酔いしれてしまう。粘膜の比類ない柔らかさ。これが女の匂いなのか!
いつの間にか乳房をつかんでいた。
「いや!おかしくなっちゃう!」
ペニスが吠えていた。切迫した私は中腰になって映子の太腿を上げると割れ目に先端を当てた。状況を察知した映子は顔を歪めて首を左右に力なく振る。
「お姉さん、我慢できない」
「ちょっとよ、ちょっとだけ」
「うん、ちょっと」
頂点間近の昂奮状態で意味のないやり取りだが、その時は本気でそう思って答えた。
映子は布団を鷲掴みして身構えた。亀頭の半分ほどぬらっと挿り、
「あっ…」
映子の体がずり上がった。が、私にはもう抑えることはできなかった。そのままのしかかって重なった。
「ああ!だめ!痛い!」
「うう!お姉さん!」
狂ったように抱きついた。記憶が定かではないが、彼女も私を抱き締めていたような気がする。
入っている!滑らかなのに圧迫があった。確かな密着感の直後、燃えるような迸りと痙攣襲われた。
「江藤君!」
映子とのセックスはその一度きりである。以後も彼女と顔を合わせることもあったし、それまでのように泊まりにも行った。私としては当然なんらかの接触が出来るものと期待を秘めていた。だが、映子はいつもの『お姉さん』に戻っていた。
「江藤君、いらっしゃい」
何事もなかったような、やさしくて、明るい、たおやかな映子だった。彼女はなぜ私を誘ったのだろう。単純な興味だったのか。夢のような出来事は今でも私の心に息づいて、時に熱く甦って苛むのである。
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