堕ちた天使 1_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

ホームページ 戻る 

堕ちた天使 1

15-06-14 10:13

「お邪魔しま~すゥ」
初めて訪れる友達の家の玄関を恥ずかしそうに西尾真由は入ってきた。

「あがって、あがって。お母さ~ん、友達連れてきた。何かない?」
「あら、おかえり、扶美。いらっしゃい、どうぞあがって。扶美がお友達連れてくるなんて珍しい。えっと~・・・」
台所から出てきたのは、とても高校生の娘がいるとは思えないほど若く見える吉沢扶美の母、久美子だった。真由はその若さに驚きの表情をあからさまに見せ暫くその場に立ち尽くしていた。
「あっ、こ、こんにちは。西尾真由です。先週転校してきたばかりで、それで吉沢さんと仲良くしてもらって」
「ああ、いいから、いいから。早くあがって。うちのお母さん、すごく若く見えるでしょ。でももうこれでも42よ。それ相応に年とってんの」
「ナマ言うんじゃないの。もう!」
久美子は我が子ながら恥ずかしいと愛想笑いを真由に向けた。真由もニッコリと微笑みながら軽く会釈をし、扶美について行く様に久美子の横を通り抜けていった。
久美子はこのお人形さんのような美少女の笑顔にどこか違和感を覚えたが、特に深く
気にも留めなかった。

吉沢扶美は長身な高校1年生の女の子。モデルのような体型と美人顔でよく男子にもてたが、どちらかというと活発で姉御肌の本人は、男友達は多いものの付き合うまでには至っていない。
対して西尾真由は典型的な妹系ロリキャラ。お人形さんがそのまま大きくなったような美少女で性格もおとなしい感じの子だった。
転校してきて一人寂しそうに座っていたところを世話好きの扶美が声を掛けたというわけだ。
一見まったく違うタイプの二人だが、話してみると意外と気が合って、今日扶美の家で遊ぶことになったのだ。
一方、扶美の母久美子は家庭的な専業主婦。夫は真面目なサラリ-マンで、これといった不満もなく3人の家庭を守ってきた。一人娘も素直で明るく、日々幸せを感じていた。

「扶美、開けるわよ。今メロン切ったから」
久美子がメロンの乗ったお盆を持って娘の部屋の扉を開けた時、彼女の目に信じられない光景が飛び込んできた。ベッドの上に座る二人がキスをしていたのだ。
「!・・・」
思わず持っていたお盆を床にひっくり返してしまった。ガタンと大きな音にトロンとした目がゆっくりとこちらを振り向く。二人の顔はまだ余韻に浸っているように見えた。
ハッと我に返りようやく状況を把握した二人は驚きの表情に変わり、狭い空間の中3人は一瞬固まってしまった。
「貴女達、何してるの?」
最初に口を開いたのは久美子だった。
「ち、違うのよ、お母さん。あの、あれよ。単にふざけてただけで。別に深い意味はないの。ご、誤解しないで」
しどろもどろに言い訳をする扶美。だが真由は伏見がちに押し黙っているだけだった。
「真由も何か言ってよ。冗談だったって、ねえ」
「う、うん。そうなんです、おばさん。私達ちょっと悪ふざけが過ぎたって言うか、ごめんなさい。うっ・・・」
真由はその場で泣き出してしまった。久美子は真由が泣いているのを見て改めて心を持ち直し、冷静を努めた。
「わかったから。二人とも驚かせないでよ。変な事しないのよ。今日はもう西尾さんも暗くなる前に帰りなさい」
真由は泣き止むとベッドから立ち、扶美に手を振った。
「じゃあ、帰るね、吉沢さん。また明日」
玄関の所まで見送る扶美と久美子に丁寧にお辞儀をして真由は帰っていった。その際チラッと自分に向けられた視線に、どこかこの少女と初めて会った時の違和感のようなものを再び感じていた久美子だった。

つづき「堕ちた天使 2」へ


コメント
お名前:
気持ち:

コード:

お知らせ

なし

小説を検索