籠絡 ろうらく10_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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籠絡 ろうらく10

15-06-14 10:16

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「籠絡 ろうらく…」へ

見なれた風景がどんどん遠ざかって、木漏れ日の射す林道を1台の車が進んでいく。
その白いワンボックスカーの助手席にかおりは座っていた。

「よく見ると、いい女だな」ゆっくりとハンドルを切りながらOはかおりに話しかけた。
かおりの裸身をさらしたサイトの住人からの評判が良いこと、どぎつい反応が多いことなどを嬉しそうに続ける。
「自分のオンナ」と言ったのは許せない気がしたが、かおりにはOに反論することが無意味に思え、そのまま聞き流した。

車は林道をさらに奥に進み、洋風のコテージ郡がぽつりぽつりと見え始めた。別荘地に違いなかった。
シーズン外れの別荘地は人影もなく、閑散として淋しい。

「さぁ、ここだ。着いたぞ」
エンジンが止まると同時に車内に流れていた趣味の悪いBGMが鳴りむ。静寂が訪れた。
古びた和風造りの一軒家。Oがタグのついた鍵を開け、かおりの手を引いて入る。
掃除が行き届いて小ざっぱりとしていた。
Oと二人でこれからすることは分かっている。あの日以来、夫婦の性生活は途絶えた。悶々とする日が続いている。
Oとの交わりがなければ、平気だったかもしれない。だが…。
かおりは我が身にくすぶる淫靡な炎が再燃することを予感した。

部屋に入るなり、Oに抱きすくめられた。Oはむさぼるようにかおりの口を吸った。ほのかな煙草の匂いがする。
舌と舌が絡み合い、唇の裏側を舐められて、かおりは熱い吐息を洩らした。
乱暴に犯された時とは、ま逆の扱い方をされている。ブラウスのボタンが1つ1つ優しく外された。まるでそれさえも愛撫のように感じた。
かおりはOの変化に戸惑いながら、心を少し許した。

かおりは両手を後ろに回し、キャミソール姿で素直に縄を受ける。顔がほてり、上気しているのが自分にもよく分かった。
目隠しをされる。
はじめはOの性癖だと思っていたが、今はその性癖が自分にも存在していると思えた。縄に締め付けられる感触に心が揺れる。
そんな心持ちでいた刹那、襖の開く音がした。

『?! だれ?! いったい誰なの?!』全身の産毛が総毛立ち、緊張のあまり声が出なかった。

「さぁ、始めようか」かおりの後で、しわがれた声がする。
冷たい手がかおりの肩にかかり、ぐるぐると鎖骨の下を縄が這った。
「えっ、ち、ちょっと待って」動転したかおりの声を無視して、まるで蛇のように縄は巻きついて行く。

「さすが手際がいい」Oがもう一人の男を持ち上げる。
「いやいや、これは上物だ。男を知ってはいるが、まだまだ無垢な…。こういう女はめったにお目にかかれない」初老と思しき男が答えた。
後ろに縛られた手を起点にして、縄はかおりの豊かな胸をひねり出すようにカーブを描く。男の動きと連動して、高級なポマードの香りが鼻をかすめる。
「あっ、あぁ…」
胸を周回した縄が敏感になった乳首を挟み、ぐりんと巻きついた。麻縄の毛羽立ちが恨めしいほど、乳首にチクチクと刺さる。
「感じてますよ…アオヤギさん」Oが言いかけて、言葉を飲んだ。
「す、すみません」すぐにOは名前を口にしてしまったことに詫びを入れた。
「いいさ、すぐにわかることだ」アオヤギと呼ばれる男の声、かおりはどこかで聞き覚えのある声だと思った。
そんな会話の中、男の手は止まることなくかおりの熟れた体を縛り上げていく。

「縄に酔ってる…」アオヤギと呼ばれる男が言うとおり、かおりの肉体は不安とは裏腹に変化していた。
女の中心からとめどなく蜜が溢れてきている…そのことをかおり自身が誰よりも実感していた。

自らを恥じるかおりに、しわがれた声の主が「立ちなさい」と冷たく命じた。

つづき「籠絡 ろうらく 11」へ


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