倒錯愛_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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倒錯愛

15-06-14 10:17

妻・恵子38歳。
私・京介43歳。
妻と結婚をしてから10年経つ。子宝には恵まれず2人だけの、それなりに楽しい日々を送っていた。

私はウィークデイを仕事と接待に時間を費やし、妻は家事と趣味のフラダンスやヨガに時間を割いていた。
10年も経てばその間にお互い色々あった。声を大にしては言えないが私は浮気を数回した事があった。しかし、その度に妻の事が気になってしまい、なんとなくしらけてしまい相手と妻に悪い事をしたと自己嫌悪に陥る事があった。
私の知る限りでは妻が浮気をした事実は無いが、疑わしいタイミングや素振りはあった。妻も決してもてない方では無いと思うし、お洒落も好きだし何よりに外に出て人に会う機会が多いのだから不思議ではないのだが・・。

妻と私の夜の夫婦生活・・・つまりセックスは随分長い間無い。妻は自分から求めてくるタイプではないが、行為が始まると情熱的に私と愛し合った。
私自身も妻と距離を置いたわけでは無いが、少し時間が空いた後に何と無く誘うきっかけを逸してしまった。
そしてあるほんの些細な事から私の形を変えた愛情が産まれたのだった。
その日は接待の為にとある街のクラブにいた。席に着き、私の隣に腰を下ろした女性が何と無く妻に雰囲気が似ていたのだ。その女性はドレスに身を包み、胸元と背中を惜しげも無く晒していた。
「どうかしたんですか?」
無言で見つめていてしまった私を不思議そうに覗き込みながら聞いてきた。
「嫌、少し見とれていただけだよ・・」
「もう、上手なんですね・・」

私と一緒に来た取引先の人間が笑いながら割り込んできた。
「もぅ〜さすがですね~早くも口説きにかかってるんですか??紗江ちゃんだっけ?大事な人だから少し口車に乗ってあげてね」
紗江という子は笑顔でその男と会話をした後、急に私に話かけてきた。
「この後って・・どうするんですか?」
「いや、特に予定もしてないから帰るだけだよ」
少し突き放した風に言うと
「私、予定無いから少し飲みに連れて行ってくれませんか?」
「こりゃ驚いたな・・いきなり誘われるなんてね・・」
すると、メモに電話番号を書き私の手に握らせながら耳元に口を近づけて
「朝まで・・しませんか?・・クスッ」

日が変わった頃に店を出て取引先と別れた。タクシーに乗って帰ろうかどうしようかと考えているとポケットの中に先程手渡されたメモに気付いた。
一体どういうつもりなんだ・・。
丁寧な字で書かれた番号をプッシュした。2、3回のうちに繋がった。
「はい、もしもし?」
「ああ、さっき○○さんと一緒にいた・・」
「あっ徳永さん?今、丁度終わってお店出たところなんです。よかった〜電話かかってこないと思ってたんです。どこにいるんですか?」
「まだお店の近くだよ」
「これからって・・」
「空いてるよ」
「じゃあ、会ってくれますか?」
「いいよ。どこに行けばいいかな?」

私は紗江という名の26歳の女性とタクシーに乗り込みホテル街へと向かった。

「お店の中で見るのとまた違った雰囲気だね」
薄手のカットソーにGパンにヒールという姿を見て口にしてしまった。
「嫌いですか?」
「いや、嫌いじゃないよ・・で、どこに行く?もう少し飲もうか?」
「何言ってるんですか~・・早く2人きりになりましょうよ・・」
「本気かい?」
「私じゃあダメですか?」
そんなやり取りの後タクシーを拾った。
20分位走ると車は煌びやかな電飾の眩しいホテル街へ入った。
「この辺で止めて下さい」
紗江が運転手に声をかけ、車を止めた。

つづき「倒錯愛 2」へ


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