私は眞由美。現在43歳で妊娠8ヶ月になります。
以前はスナックをしていましたが、売り上げが悪くなり閉店し今の夫に…というより夫の一族に引き取られてしまいました。
1年前…。
「はあ~…。まずいな~…。今月も赤字だわ~。」
眞由美は閉店した店内で帳簿を見つめながら、ため息をついた。36歳でスナック勤めを始め、経験を積み40歳の節目で独立し、妹と今の店をオープンした。
1年目は、常連も多く売り上げも右肩上がりだったのだが、去年、妹が常連と不倫をし挙句の果てに駆け落ちしてしまった為、評判が一気に落ち常連も1人、また1人と去り今では1日0人という日が多くなっている。週末でさえ数人来ればいい方だ。
「あ!こんな時間だ!!帰って寝ないとバイトに遅れる!!」
眞由美は昼間もバイトをしながら、何とか店をやってはいるが長くは持たないだろうと思っていた。でもせめて45歳までは続けようと決めていたのだ。
だが家賃10万円を払うのも一苦労で、夫にも協力してもらってはいるが…夫は内心では店を辞めてくれ!!と思っている。
ある日のこと。
「こんばんわ~!」
「あら~!!いらっしゃい!涼子さん!」
近くのスナックのママの涼子が遊びに来たのだ。年下だが眞由美よりもママの経験が長く、色々と世話になっている。
「最近どう?」
「あははは…。やっぱ…ね~?」
「あ~…、まだダメみたいなんだ?」
「なかなか噂は消えないし…私も男とやりまくってるって噂もあるしね…」
「気にしない方がいいって!!そのうち噂も消えるから」
11時だったが平日で客も来ないので店を閉めて、涼子と色々と話をしていた。すると涼子が
「ねね!家賃っていくらなの?」
「え?10万だよ?どうして?」
「噂なんだけどね?ここの大家さんって…家賃を安くしたりしてるらしいよ?」
「えええ!本当に?」
「だって、2軒先の店があるでしょ?あそこのママが大家さんとホテルに入って行くのを見た人がいてね?」
「うん」
「で、それからあそこの家賃が3分の1になったって!」
「えええ?それって本当なの?」
「現に、そこの店の子にも聞いたら本当だって!信じられないでしょ?こっちは頑張って働いてるのに!体で…って、ねえ?」
「う…うん。」
「?まさか…。だめよ?そんな事しちゃ!負けよ!負け!」
「しないわよ~!そんな事~」
その話はそこで終わったのだが…。涼子が帰った後、眞由美は自宅に戻り布団の中で、さっきの涼子の話を思い出していた。
(1回寝るだけで3分の1か…。確かに、そうなるとかなり助かるけどな~…。!!いけない!忘れよ!!)
眞由美は無理矢理、考えをもみ消し眠りについた。
つづき「一族の蜜壺2」へ
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