まちがい電話(5)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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まちがい電話(5)

15-06-14 10:22

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「まちがい電話」へ

晴美は亜紀子を抱きしめ泣き崩れた、テレビの前に座るもう1人の女の子がその光景を黙って見ていた
「晴美ちゃんのお母さん、あの子はどこの子なんですか」

塚本が晴美の母親に尋ねた
「はい、この子は伏見典子と言います」
「伏見…典子…まさか、デコムの社長の子供ですか?」
塚本の言葉に晴美も母親も頷いた
「何故、こんな事をしたんですか!?」
母親は身体を小さくさせ申し訳なさそうに言った
「私が全て悪いんです、私が全て悪いんですぅぅぅ…」
母親が泣き崩れた塚本は頭を掻き最悪な事に成っていなかった事に安堵した、晴美は少し落ち着き我が子の亜紀子と誘拐して来た典子を隣りの部屋に寝かし就けに行った、そして母親と晴美は何故こんな事をしでかしたのか塚本に説明し始めた、晴美は高校生の時、父親の仕事の都合で最北端の港町に引っ越しした其処で父親は家業の漁師を継いだ、そして今から3年前の1月に海難事故で亡くなった、その当時晴美は田所明信と云う男と付き合っていた、その男は父親の漁師の手伝いを良くしてくれていたそんな時、釣り客で良く来て呉れていたデコムの会長と息子の社長と知り合い晴美親子に内緒でデコム会長と社長に取り入り会長の娘と付き合うように成り晴美を捨て会長の娘と結婚し婿養子に入った
「あの日、デコムの会長と社長が突然来て鱈釣りに来たんです、鱈釣りの予約が入っていなかったんですが、他に客も居ないし、波は穏やかでしたから、父さん船を出したんです」
晴美はぽつりぽつりと説明した
「船を出してから2時間位してから家に連絡が来たんです、父さんの船が沈んだって…そしてあの男が突然来て、会長と社長が死んだのは漁師の責任だって言って、その前に私ら出来る限りの賠償はしたんです!其れなのにあの男は…」
晴美は泣き崩れた、母親の説明では色んな所から金をかき集め賠償金を払ったかが後に残ったの借金だけ、そして去年自己破産した、そして自分たちを追い込んだのは田所明信、今のデコムの社長、其奴に復讐したい一心で今回の誘拐事件を思い着いたと塚本に説明した、そして翌日塚本は影井親子と誘拐した典子を車に乗せ警察に出頭して事件解決した。

つづき「まちがい電話(6)」へ


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