気を付けて。(序幕)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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気を付けて。(序幕)

15-06-14 10:23

私は今年で高校2年生になる未知鷹 涛(みちたか なみ)。
身長159cm、体重は勿論秘密。顔立ちはとくに目立たない
普通の子..、でも私には体重以上の秘密があるの。

それは..お兄ちゃんが大好きってこと..。
単なるお兄ちゃん好きではない。
女として、男の兄が好きなのだ..。

お父さんやお母さん、況してやお兄ちゃん本人だって
私のこの気持ちに気付いている者はいない。

けど、最近になってある事件が起きてしまったのだ。

……お兄ちゃんに、彼女が出来た。

「ふぁ..眠いー..もう少し寝ても大丈夫だよね..」

いつも通りやってきた朝に、布団から出れない私が呟く。

『おぃ、そんな呑気なこと言ってる場合か?』

扉の方から突然そう言われた私はビクッと驚いた後、
声の主を見詰めた。

「お、お兄ちゃん…勝手に入ってこないでよ!
せめてノックくらいして!」

『いや、ノックしたから。返事しねぇ方が悪いんだ..』

「む、…それでも!返事がないなら…っふにゃ!?」

『はい、さっさと起きる。』

「いった…何すんの馬鹿!!布団引っ張らなくてもいいじゃんっ!」

グズグズして、一行に起きない私を見かねたお兄ちゃんは
強引にも布団を引っ張り、私は呆気なくベッドから転がり落ちた。

そして悲劇は続く。

『直ー、彼女さんが迎えに来てるわよー!!』

『ん?、あぁ..わかった!今行くー!』

またあの彼女..毎日迎えに来てるみたい..

床に転がる私をほっぽったまま、お兄ちゃんはさっさと
彼女の元へ向かってしまった。

そして、今日は両親が1週間ほど出掛けに出る日だ。
私が学校の支度を終え、家を出る頃には両親も楽しみだと言って
出掛けて行った。

私だけが憂鬱みたい..
お兄ちゃんはもう彼女と色々しているみたいだし..
夜中、壁越しに聞こえる電話では愛してるよ、なんて
甘い台詞を吐いていた..

今日もまた、お兄ちゃんのことを考えているだけで、
学校での1日が終わってしまった。

『ただいまー。』

ぐったりしながら、玄関の扉を開け靴を脱ぐ一連の作業を終えると。
リビングから話し声が聞こえた..お兄ちゃんがきっと
テレビでも見ているんだろう..そう思う私の考えはとても甘かった。

リビングの扉を開け、テーブルに腰掛けていたのは..
お兄ちゃん….。そして、その彼女の2人だった。

私の何かがプツンと切れた。

つづき「気を付けて。(その1)」へ


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