堕ちた天使 14_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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堕ちた天使 14

15-06-14 10:27

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「堕ちた天使 1」へ

幸子はそれまで自ら閉ざしていた思いをゆっくりと言葉を選ぶように話し始めた。
「私、その人に・・・体を許したっていうか、・・・ある事をきっかけに
勢いもあって抱かれたんだ。秘かに想っていたし。でもその人、
本来私のことなんて全く眼中になくて・・・」
「・・・」

扶美は親友の気持ちを考えると、いたたまれない気持ちでいっぱいだった。
「私が勝手に片想いしているだけ。だから、あの人はこれっぽっちも悪くないの。
想いを伝えられなくても、肌を合わせられるだけでも私は幸せ。
あの人のためだったら何でも出来る」
「・・・」
「でも・・・実はその人には好きな人がいて。それはわかってる。
理解していたつもり。勝手に私が尽くしているだけだと。
でも・・・橋渡しの助っ人を頼まれちゃって。ハハッ・・・流石の私も参っちゃった」
幸子はそこまで言うと、哀しそうに笑っていた顔が俯きみるみる涙が零れ落ちた。
溢れ出る感情を抑えきれず、思わず扶美にしがみつき本音が口を出る。
「うう~、本当は・・・本当は優しい言葉をかけられたい。私だけを見てて欲しい。
ああ~ん、ああ~ん」
「・・・」
扶美は初めて見る幸子の弱々しくも心からの叫びに愛しさを覚え、
いつしか強く抱きしめ返していた。
この子を守ってあげたい、幸せにしてあげたい、そんな気持ちだった。
「ぐすっ、ありがとう。ごめんね。私こんなこと言うつもり全然なかったのに。
扶美の前だと素直な自分になれちゃう」
幸子は少し落ち着いたのか涙を手で拭って笑顔がこぼれた。
「ねえ、今日は一緒の布団で寝よう」
「うん、いいよ」
扶美も笑顔で応えた。
二人は同じ布団の中で向かい合わせに横になった。
「何も言わず話だけを聞いてっていうことだったから、ただ黙って聞いてたけど、
本当にそれだけでよかったの?」
心配そうに扶美は聞いた。
「うん、もう大丈夫。話したら何だかすっきりしちゃった。
これでまた明日から元気な自分に戻れそう。
それにしても扶美は優しいなあ。本当に好きな人とかいないの?」
「う~ん、なんかピンとこないんだよね。周りの男共見ても。
少女マンガのような出会いなんて本当にあるのかなあ。全く信じられないんだけど」
二人は夜遅くまで布団の中でお喋りをしていたが、いつの間にか
眠り込んでしまったようで、ふと扶美が温かい風を胸の辺りに感じて
うっすらと目が覚めたのは静まり返った夜中だった。
だがそんな静まり返った闇夜に艶かしい息づかいが胸に聞こえた。
ハア、ハア、ハア
扶美は意識こそ夢から覚めたが瞼だけはそのまま開くことが出来ないでいた。
それは何か見てはいけない光景が眼前に広がっていそうで、
目を開けるのが恐かったのだ。
さらに追い討ちをかけるように下半身の方で何か蠢いているように感じた。
ハア、ハア、ハア
(えっ?えっ?えっ?)
「うん~っ」
微かに艶かしい声が胸元の辺りから聞こえた。
(やだ!サチ、もしかしてオナニーしてるの?)
一気に扶美は目が覚め、そして硬直してしまった。

つづき「堕ちた天使 15」へ


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