堕ちた天使 8_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

ホームページ 戻る 

堕ちた天使 8

15-06-14 10:34

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「堕ちた天使 1」へ

いつもの夫婦のベッド。だが今その上には女が二人。そこだけ時がゆっくりと流れているようだった。
果たしてこれは現実なのか夢なのか、それすらわからなくなるぐらい久美子の意識は、暗く深い闇を彷徨っていた。
既に下着は全て脱がされている。

若い娘の前で40過ぎの裸を晒す恥ずかしさはあったが、久美子はそれすら忘れてしまうぐらい真由の愛撫に酔った。
いや、それは愛撫と言うのだろうか。
官能的なキスで頭の中が真っ白になった後、久美子の全身に広がっていったのはまるで上質なエステを施されているようなソフト過ぎるタッチだった。
リビングでの挑戦的な愛撫とも、感情むき出しで暴力的な噛みつきとも違う。
それは感じるというよりも、癒やされるといった感覚。
熟れ頃の体にとっては頼りないぐらいの愛撫に、久美子は肩透かしを食らったような気がするのと同時に、その表情には安堵の色が見えた。
(ああ~、とても心地良くて安らぐわ。こんな気分になったの何年ぶりかしら)
夢心地の時が久美子を包む。
だがすでにこの時、彼女の肉体は真由の術中に嵌っていることに久美子は気付いていなかった。
真由の唇、舌、指は生まれたての赤ん坊の肌のように、プニプニと柔らかい。
その上、吸い付くように肌理細やかで、久美子の肌にしっとりと馴染む。
一つ一つの愛撫は何も特別なことをしているわけではない。
羽毛で全身を掃くように撫で回す手つき。
肌に性感帯が描かれているかのようにポイントを外さず、啄ばむように少しずつ移動していく無数のキス。
敏感な所では執拗なまでにじっくり時間をかけて蠢く舌。
特別なテクニックではないが、しかしどれだけテクニシャンな男でも決して真似出来ない女性特有の代物。
それらを総動員され、久美子は全身温かく優しい空気がそよぐような感覚にうっとりと酔いしれた。
だがそれだけではなかった。これらの愛撫が優しければ優しいほどボディブロ-のように感覚は蓄積され、久美子の性感は徐々に徐々に高まっていったのだ。
「あんっ、うっ?・・・はあ~ん」

つづき「堕ちた天使 9」へ


コメント
お名前:
気持ち:

コード:

お知らせ

なし

小説を検索