堕ちた天使 2_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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堕ちた天使 2

15-06-14 10:38

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「堕ちた天使 1」へ

(あの子達、確かに舌まで入れていたわよね。決して冗談でするようなキスじゃ
なかったような)
久美子は寝室であの光景を思い出していた。娘とその友達が女性同士で熱いキスを
している光景を。

「ん?どうした?今日はやけに気が入ってないじゃないか」
夫の達夫は懸命に腰を振りながら妻の態度に怪訝な顔をした。
「んっんん~、気のせいよ。はあ、別に何でもないわ」
久美子は達夫の腰に手を回し、集中しようと目を閉じた。
46歳になる夫との夜の生活はだいたい月1~2回程度になっていた。特にそれを
不満と思ったこともないのだが、どちらかというと最近は久美子の方が積極的に
なることの方が多かったのだ。
「ああ、イクぞ、久美子、いいか?いいか?」
達夫は腰を小刻みに素早く振り、最後の興奮を爆発させるように久美子を強く
抱きしめた。
「ああ、私も、ああ、あなたあ~」
「おっ、おお~」
久美子の奥深く固くなった肉棒を打ちつけ達夫は果てた。久美子は悪いと
思いながらもイッた振りをするしかなかった。
眠りに就いた夫の広い背中を眺めながら、娘の事を相談出来ずに一人思い悩む
久美子だった。

ピンポーン
「お早うございます」
「扶美ィ~、西尾さんいらっしゃったわよ~。早くしなさい」
最近、真由は扶美と一緒に登校するため、朝吉沢家に出向いていた。久美子は
あの事は無かったことと思うようにしている。単なる仲の良い友達、それが
ふざけ過ぎただけ、まさか自分の娘が同性愛などとは思いたくなかったのかも
しれない。
「それにしてもおばさん、毎朝いつ見ても若くて綺麗ですね」
突然、真由が扶美の支度を待っている間、久美子をじっと見て言った。
「えっ、やだ、西尾さん、突然何言い出すの。綺麗だなんて。でもお世辞でも
嬉しいわ」
「いえ、お世辞なんかじゃありません。本当いつも素敵です」
久美子は夫からも最近はそんなこと言われた事がないので照れ隠しをするように
扶美の部屋の方に向かって叫んだ。
「早くう~、西尾さんを待たせるんじゃないわよ」
だから久美子は気付かなかった。彼女の体を舐める様に見つめる真由の目の奥に
沸々と燻っている炎を。

その日は夏休みの暑い平日だった。
「あら、西尾さん、今日は一緒じゃなかったの。扶美なら遊びに出掛けちゃったわよ」
「ええ~、そうなんですか。その前におばさん、お茶一杯貰っていいですか?
喉がカラカラで。それとお手洗い貸して貰っていいですか?」
真由が汗だくで玄関にへたれこむように入ってきた。
「ええ、もちろん。さあ上がって。扶美は居ないけどゆっくりしていって」
真由がお手洗いから戻ってくるとリビングに氷の入った冷たい麦茶が用意されていた。
「扶美とは約束してなかったの?私しかいないけどとりあえずそこに座って
ゆっくりしていって」
久美子は折角来てくれた真由に気を使ってそう促した。
「すみません。じゃあ、お言葉に甘えて。扶美ちゃんと昨日連絡取れなくて」
久美子も暇を持て余していた。話し相手が出来て丁度良かったと思った。真由は
マシンガンのように楽しくしゃべり続けた。久美子も娘以外の若い子の話を聞いて
自分まで若返ったみたいで楽しかった。それまで勢い良く捲くし立てていた話が
ふと途切れ、真由が真剣な面持ちになった。
「おばさん、実は話しておかないといけないことがあって」
「ん?なあに」
「おばさんも見たでしょ。私と扶美ちゃんがキスしているところ」
ドキッとした。もうその事は核心に触れぬまま見なかった事にしようとしていたのだ。
実際もう随分前の事のように久美子は忘れていた。
「まさか今もあんな事?」
「・・・ごめんなさい。私もどうしていいか本当にわからなくて。最初は軽い遊びの
つもりだったのに。扶美ちゃんもきっとそうだと思うんです。どんどんお互い
歯止めが利かなくなって」
久美子の心臓はもうバクバク鳴っている。
「はっ、歯止めが利かないって・・・」
「えっ、あっ、違うんです。キス以上はしてません。誓ってもいいです。ただ
扶美ちゃんも私も気持ちが抑えられなくなってきそうで怖いんです。おばさんに
こんな事告白するのも本当は止めて欲しくて・・・」
そこまで言うと真由はスッと立ち上がった。
「ちょっと、お手洗いに」

久美子はドギマギしてうろたえるばかりだった。
(落ち着いて。ここは保護者の私がしっかり彼女達に言い聞かせなければ)
リビングに入ってきた真由に振り向くように中腰になって話しかけようとした時、
それはいきなり起こった。真由が素早く近付いてきたかと思うと、上から両手で
久美子の頬を包み柔らかい唇で口を塞いだ。何が起こったかも理解出来ず体が
硬直する。その間に素早く温かい舌が歯の間を割って入り込んできた。
(えっ?)
次の瞬間には絨毯の上に押し倒されていた。
「んっ、んんん~」
今迄味わったことの無い柔らかな感触。甘い女の子の匂いと胸を押しつぶす
柔らかく豊満な自分と同じバスト。久美子は今自分の身に何が起こったのか、
ようやく理解した。
「ちょっ、ちょっと止めなさい。どういうつもり?」
全力で顔を背けてキスから逃れる。だがすかさず首筋から耳にキスされ舌を這わされ
身体に電気が走ったようにビクンっとなる。
「あっ、ちょっ、止めて」
その隙に真由は無言のまま再び顔を両手で掴み、強引にこちらを向かせ唇を重ねた。
強引さとは裏腹に重ねたそのキスはあくまで優しく丁寧で柔らかかった。頭がまだ
動転していることもあったのか、一瞬心を奪われそうになる程甘美なキスだった。
(ああ~、ダメよ、こんなこと)
舌を絡ませ、蕩けそうになる程情熱的なキスの相手は、夫でもましてや異性でも
ないのだ。同性の上に娘の同級生なのだ。ごく一般的な常識、倫理観の中で
過ごしてきた久美子にとってそれは考えられないことであった。


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