車。
3人の男達は、ゆっくり走らせるメルセデスの車中から、ひとつの家の様子を窺っていた。
「世田谷の一等地に古い風格ある平屋…。手持ちのキャッシュで数百万はあるんじゃないかな…」
「ああ、他にもカネ目のものはあるだろう…。表札は…、磯農家か…」
「余り聞かない苗字だな…。まあいい、今夜決行しよう」
夜。
庭に忍び込んだ三人は、まず縁側の和室に侵入した。
初老の夫妻が寝ていた。
「声をたてるな。騒がなければ命は保障してやる」
驚いた老夫婦にナイフをちらつかせる三人。
震える夫婦を縄で縛り、手ぬぐいで猿轡をかませた。
その部屋に金目のものは何も無かった。
三人の男は、廊下を隔て反対側の部屋に突入した。
小学校高学年の男女と3歳位の男の子が寝ている。
簡単だった。ガキたちを寝たままの状態で縛って猿轡。
小学生のガキ二人は途中で気がつき恐怖のあまりお漏らしをした。
子供部屋に金目のものは無い。
男三人はさらに隣の和室に侵入した。
三十路前後の夫婦が寝ている。
夫が目を覚ました。
「声をたてるな。騒がなければ命は保障してやる」
男達はまたナイフをちらつかせ夫を黙らせ、縛りあげた。
その時、鼾をかいて寝ていた夫人が目を覚ました。
「誰!?、あんたたちは!」
男達は立ち上がった夫人にナイフを向けた。
「サダエ、抵抗しちゃいけない。彼らの言うことを聞くんだ…」
夫が諌めた。
「どういうことなの?、タカちゃんは?、一雄たちは?、母さんは?…」
へなへなと座り込む夫人。
「大丈夫だ。縛り付けてあるが命は助けてやる。お前が言うことを聞けばな…」
男の一人が夫人の頬にナイフを当てた。
「さ、サダエ…」
「正雄さん…」
見つめ合う夫婦。
「カネを出せ」
男の一人が定番の台詞を言った。
震えた手でがま口をまさぐる夫人。千円札が一枚と小銭が数枚落ちてきた。
「ふざけんな!、札束、いくつかあるだろ。こんな立派な屋敷なら」
男が怒鳴る。
「さ、札束?…、無理です、そんな…。大家族で貧乏なんです。夫も父も安月給で…」
夫人の本当っぽい物言いに、押し入った男達は愕然とした。
「どうする、本当みたいだぜ。撤収するか?」
「何の収穫もなしにか…」
「うむ…。いや…、こいつを収穫としよう」
男が夫人の襟首を掴み上げた。
「そうだな、なかなかに熟れた、いいオンナだ」
夫人は男達の会話の意味を悟り愕然とした。
惨劇。
縛られ猿轡をされた老夫婦、子供三名、そして夫人の亭主が、男達によって居間に引き連れられた。
そして最後に、手だけ縛られた夫人が、男にナイフをつきつけられ入室。
男の一人が低い声で演説を開始した。
「我々は怒っている。貧乏なくせにご立派なお屋敷に住まうお前らに対してだ。おかげでとんだ無駄骨を強いられた。その清算を、このご夫人にやってもらう。目をかっぽじってよく見ておけ」
ナイフが夫人のパジャマのボタンを一気に切り飛ばした。
前がはだけ、夫人の豊満な乳房が開帳された。
戦闘開始の合図だった。
男達は一斉に夫人を押し倒した。
「い、いやあああ!」
パジャマが破り剥がされ、ずり降ろされたショーツが宙を舞う。
凄絶な陵辱劇が始まった。
男達は夫人を組み伏せると、ある者は唇を、ある者は乳房を、ある者は下半身を、激しく弄った。
夫人は必死に抵抗した。
しかし屈強な男三人を前に、無駄だと悟った。
なすがままになるしかなかった。
涙が沸いてきた。
縛られ身動きできない他の家族は、この痛ましい状況を止めるすべがなく、ただ見ているしかなかった。
夫人は性的な刺激を認識ぜざるを得なかった。
家族の前。せめて毅然としていよう、反応すまい、と心に誓った。
しかし、それは無理だった。
夫人はもう半年近く夫と性交渉がなかった。
子育てやら仕事やら忙しかったし、家は昔ながらの和室ばかり。
ゆったり夫と声を上げて愛を紡ぎ合う環境には程遠かった。
知らずに性欲が高まっていたのだ。
そんな夫人に暴漢三名による、要所への舌責め、手責めは強烈に過ぎた。
「ああ!、ああ!、ああー!!」
夫人は無意識下で、おおきな喘ぎを始めてしまった。
抑えよう、動くまい、と思っても、腰がわななき、声が漏れるのを制御できなくなっていた。
(ああ…、正雄さん、ごめんなさい…)
夫人の両足が開いていった。
「ふっへっへ…、奥さん濡れ濡れだぜ…。しゃあないな、入れてやるか」
一人の男が夫人の上から割って入り、自分のモノを夫人の濡れた入り口に突き当てた。
そして体重をかけ一気に埋め込んだ。
「くあああー!」
夫人は仰け反った。久しぶりの男のモノの感触。電流が身体の中を駆け巡った。
男は激しく上下運動を行った。他の男達も乳房に腋に舌を這わせる。
「うは、あはん、あうう…」
夫人は自分を見失いつつあった。
男達の動きにシンクロし、腰が脚が、勝手に妖艶に暴走するのを止められなかった。
それでも遠くなる意識の中で、夫への、そして家族への懇願を示した。
「ああ…、正雄さん、許して…、ああ…、父さん母さん、一雄若音、見ないで…、タカちゃんに見せないで…」
家族は呆然とこの凄惨な光景を看取るしかなかった。
(サダエ…、すまない…、自分の家にカネがなかったがために…)
夫人の実の両親、網兵と鮒は苦悶した。
(これが性…、お、お姉ちゃん…、しっかり…)
弟の一雄と妹の若音は、学校で習い始めた性教育の具体を目の前にし、衝撃を受けていた。
(ママ…、ママ…)
まだ三歳の息子タカは、幸いにも状況がよく判ってはいなかった。
(ああ、愛するサダエ…、すまない…、君のことを放っておいたから…、我慢しなくていいよ、もう…)
夫の正雄は犯され悶絶する妻に有様の責任を自覚していた。
「うう、いいぜ、締まる…、中に出してやるぜ…」
「ああ!、ああ!、だ、だめ!、中には出さないで!」
男の固い膨張を感じた夫人は、悶絶しながらも、懇願した。
しかしそれも無駄だった。
「うーおー!!」
男の雄叫びと共に、激しい土石流が自分の子宮に衝動したことを夫人は認識した。
同時に、再度電流が全身を駆け巡り、海老のように反り返った。
「うあああああ!」
逝ってしまったのだ…。こんな状況で…。
居間に居た全ての人間が、人間の性という真実に驚きを隠せなかった。
「あううう…、はううう…、うはははあああん…」
夫人は余りに情けなく恥かしい、我が身の所業に羞恥の極みに達し泣き呻いた。
しかしサダエの受難はまだ続く。
残りの二人の男からも、同様に、ありとあらゆる恰好で犯され、噴かされ、そして出され逝かされたのだ。
…
男達がようやく引き上げた。
「あ…、あ…、あ…、あう…」
全身汗と精液で汚辱された夫人は、尚も喘ぎが止まらず、身悶えしていた。
自力で縄を解いた夫は、両親と兄弟息子を解き、妻の元に駆け寄った。
「サ、サダエ…」
「正雄さん…」
二人はがっしと抱き合った。
磯農家はこの夜の出来事を無かったことにし、記憶を封印した。
悪い夢を見たのだ、と。
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