ソリティア − 第4章_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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ソリティア − 第4章

15-06-14 10:47

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「ソリティア − 第1章」へ

ソリティア-第4章

依頼人ご夫妻の倦怠に刺激を与えるため---いやもしかしたらご主人の変態的な欲求を満たすだけかもしれないが---の場所は銀座の中心を少しだけ外れた映画館。新しくはないが館内は比較的綺麗で、それぞれが独立した入場口を持つ三つの劇場から構成される映画館だ。

そして公開から時間が経過した作品では、レディスデーの水曜日以外は観客も少なく、時間帯によっては観客数も数人単位ということもある。 そんなことから、ご夫妻に提案した行動も困難なく遂行できる理想の場所と言えるだろう。

上映作品は、東電OLの殺人事件がモチーフになったもので、ネパール人容疑者のDNA鑑定の正当性が論点になっているものだ。 そして、最近ヴェネツィア国際映画祭で新人俳優賞をダブル受賞した作品のメガホンをとった鬼才と言われている監督の作品。 今回のご夫妻の依頼の有無に関わらず興味を持っていた作品である。

決行の木曜日を前にレディスデーの水曜日に劇場に足を運んだ。映画そのものに興味があったこともあるが、観客の女性たちの反応を観察したかったからだ。そして印象に残るセリフやシーンを覚え、木曜日に奥様を自慰行為に導くきっかけをイメージする為に。

水曜日の館内には数組のカップルを除けば、女性の二人連れとひとりで訪れる女性が思いの外多い。

主人公の女刑事のオナニーシーンやセックスシーン、特にトイレの個室や洗面所でのセックスシーンは奥様の想像を掻き立てるには最適だ。また、セリフの中のビッチ、淫乱、変態といった単語もシーンとリンクさせながら耳元で囁くことも効果がありそうだ。

来館していた女性の何人かを観察しながら鑑賞していたが、激しいセックスシーンでは指先で唇をなぞっている様子やブランケットのように掛けたコートの下で指先を奔放に動かしている気配を感じさせることもあった。

映画を鑑賞しながら依頼人のご主人にメールを送った。

「明日の様子見を兼ねて映画館に来ています。コートで隠しているため実際には指先の動きまでは確認できた訳ではありませんが、オナニーをしている風情の女性がいます。きっと、奥様の淫らな姿を堪能いただけると思います。

それでは、明日の7時にロビーでお目に掛かりましょう。服装はモンクレーのダウンにコーデュロイのパンツ、ラルフローレンのクルーネックのセーターを着ています」

「明日のことを想像するだけで、興奮と緊張でドキドキしています。よろしくお願いします」

メールを送信して5分も経たずに最終確認のメールが返信された。

つづき「ソリティア − 第5章」へ


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