議員秘書、大宮正義。
経産省大臣秘書室で一人執務する彼は、煩悶と戦っていた。
隣室、即ち大臣室からあられもない声が響いているのだ。
声の主は、小田内閣最年少かつ唯一の女性閣僚である大宮江里子経産大臣。
正義の妻である。
「あああ…、だめ…、うわあああ…、ああっ!、ああっ!ああっ!」
声が次第に大きくなる。
「むはああ…、い…、ああ…いい…、あああ…」
そしてついに。
「い、いや…、な、中はだめっ!う、うあああ…!、く、くわああああっー!!!」
いたたまれない絶叫の後、しばし静寂が戻った。
大臣室のドアが開きむさい男が出てきた。
「よお、秘書の旦那。よかったぜ奥方閣下は。うひひひ…。まあ俺も信義は守る。違法献金のことは記事にはしないでおくから安心しな。しかし、奥方閣下はけっこうスキモノだなあ。うひひひ…。締りもイイし、濡れ濡れだし、最高だね。じゃあな」
正義は男の声を背中に受け流し、大臣室に入った。
江里子はソファの上で、ほぼ全裸で、身悶えしながら泣いていた。
汗で全身がてかっており、唇の周りと秘部の毛には白濁した精液が付着している。
辺りにはショーツやストッキング、ブラが散乱していた。
まるで輪姦現場のような凄絶な光景で、これが日本の基幹官庁の大臣室とは信じられなかった。
「江里子…」
「ああ、あなた…。ご、ごめんなさい…、わ、私…、一生懸命、我慢したけど…、やっぱりダメで…、あの男に…、い、逝かされて…、く、悔しい…、情けない…、くううう…」
正義は江里子を確りと抱き支えた。
「何も言わなくていい。君は悪くない。悪いのはこの取引を許した僕なんだからね。さ、とり合えず顔を洗って下着を直そう」
大臣室に隣接する専用の化粧室で、江里子は身だしなみを一応取り作った。まだ涙が止まらなかった。
正義には、何故だか犯されたばかりの江里子が、とても妖艶に美しく見えた。
「中に出されたのかい?」
江里子は頷いた。
「まだあいつの液が中に残って…、気持ち悪い…。早くシャワーを浴びたい…」
正義はいたたまれなかったが、自分のハンカチを取り出し、江里子のストッキングの中、ショーツと秘部の間にこれを差し入れた。
「僕が、僕のハンカチが、江里子の大切なところを守ってる。そう思って、耐えて、五時からの会議の挨拶だけはやって欲しい。これは君の総裁選出馬宣言を兼ねるものだから。一気に天下を取ろう」
「あなた…、ありがとう…」
「いいかい、正しい政治をする大義の前では、誰かと性交渉したとかどうとか、些細なことだから。いいね、さっきのことなんか忘れるんだ」
「はい…。私、頑張る…」
「そうだ。流石、江里子は強いな」
正義は江里子の髪を撫でた。
このか弱く強く正しい女の子を日本のトップに据える。絶対に。正義は決意を新たにした。
コメント