私には4つ下の妹がいる。
妹は大人しくて気が弱く、友達とつきあうのも苦手で、妹が小学校に入学した時には、妹のクラスに毎日通うくらい心配だった。
その時私は小学五年生だった。
五年生という響きはまだ子供だけれど、精神は今とほとんど同じだ。
昼休みになると、私は友達を何人も引き連れて、妹のいるクラスに遊びに行く。
ある日妹は、「毎日こないでいいよ~!恥ずかしいんだから!!しかももう友達できたし」と言った。
私はびっくりした。
なぜか。それはもう途中からは妹のためではなく、妹のクラスの男の子___長太郎くん___目当てで行っていたからだ。
「えぇ?仲がいい子も出来たんだ~。けどまだ遊びいくよ~?」
「いいよこなくて!!あ、でもね、友達がお姉ちゃん達と遊びたいって言ってたな…」
「ほらね?じゃぁ明日の昼休みも遊びいきまぁす★」
よかった。これで明日もまた長太郎くんを見られる!
4つも下の男に惚れている自分が嫌だった。
相手はなかなかのイケメン。時々虚ろな目をしていて落ち着きを払っている。
バカみたいに走りまわる妹たちと同じ年だと思えなかった。
いつの日か、妹には見向きもせず、長太郎くんだけを目で追っている自分がいた。
そんなある日、小心者の私は友達に押されて、思い切って話しかけて見ることにした。
「ねえ、何して遊んでるの?」
え…?先に話しかけてきたのは長太郎くんだった。
「もしかして杏里さんは妹を見にきてるの?」
図星すぎて恥ずかしかった。と思ったが、それよりも、私を名前で呼んでくれたことが嬉しかった。
会話を長引かせるために私は話した。
「ん?何で私の名前を知ってるの?」
「いや、名札に書いてあるし。それに…」
「それに…?」
「…かわいいっんじゃなくて、気になる人の名前くらい…おぼえてるよ…」
私の後ろに立っている私の友達は後ろでこそこそ盛り上がっていた。
やったじゃん杏里!
積極性がいちばんだよ!
杏里いいなぁ!
後ろで騒ぐ友達を尻目に、私は嬉しくなかった。
可愛いって?私ぽっちゃりしててむしろブサイクなんですけど?
こんな私にそんなことをさらっと言える小学校ってどうだろう?
軽いやつなんだ。と思いたかったが、生まれてこの方一回も可愛いなんて言われたことなかった私は、やっぱり嬉しかった。
そこから彼とは何回か接触があった。
というのも、高学年の力を利用して、裏で手を回し、学年をこえてチームを作るときなどは私があの子と一緒のチームになるようにしただけのことだったが。
たくさん話した。
あやとりを教えるふりをして、手を触ったこともあった。
離れたくないとも思った。
しかし私は小学校を卒業した。
4つという年の差は、中学でも高校でも彼と引き離す。
けれどこんな私にも転機が訪れた。
高校で年上の彼氏が出来たのだ。
その人とは5ヶ月付き合ったのに、結論からいえば、キスしか出来なかった。
けれどその付き合ってる間は充実していて、彼氏は自転車で私を毎日家まで送ってくれた。
ある日の夕暮れ、私の家の近くの公園で私達はキスをしようとしていた。
「杏里ちゃん…キスしていい?」
「…いいよ…だれもいなかったらね」
「好きだよ…杏里…」
彼氏が私の頭を抑え、首筋に唇を近づけたその時
バサッ
何かが激しく落ちた音がした。
驚いてあたりを見回すと、
何とそこには…少し大人になった長太郎くんが立っていたのだ。
「えっ…長太郎く…?」
話しかけようとすると、「誰?長太郎って」
彼氏に強引にキスをされた。
「んっ…ふぃゃ…やめれ…….っ」
彼氏を振り払い、長太郎くんを追いかけようとするが、足の遅い私は、小6の男の子には追いつけなかった。
どうしよう、あの子が周りの人に「あいつの姉貴は高校で気持ちわりい事してたぜ」とかバラされないだろうか?
それで妹はいじめられないだろうか?
それも気にしていたがやっぱりそれよりも、好きな男の子に、2番目に好きな男の子とキスしているのを見られてしまった…という気持ちの方が強かった。
それとまた同様に、向こうからしたらなんとも思ってないのに、こっちばっかりが好きだなんてバカみたい という思いもあった。
それがきっかけとなり、その彼氏とも別れた。
結局はそのキスも、誰にも広まらずに済んだ。
それから何年も経った。
妹は高校に通いはじめた。
でもどうしても、長太郎くんを忘れられなかった。あの日の言葉……気になる人………
あんな子供に期待してしまう自分がいた。
ある日妹は私に言った。
「長太郎くんって、年上好きなんだって」
「え?何で今そんなこというの?」
「いや…今日噂で聞いて。なんか、かなわない恋らしいよ。
その想ってる人には彼氏がいるらしいね。
長太郎くんってさ、顔もいいしスポーツもできるし、バレンタインはカバンに入らないほどチョコもらうからさ。
選ばなければ、女なんて日めくりカレンダーでしょ?笑」
もしかして…
長太郎くんの想っている人って…私?
…..なわけないか。
ないよね。
うん、私ぽっちゃりだし。可愛くないし。
「ねぇ、聞いてた?」
「あっ?ごめん、何」
「だからー、ここ。いってみて!」
渡されたのは、手書きの地図だった。
「うん、いつかね」
「いや、今すぐ!!…おねがい!お母さんにはさ、お姉ちゃんは友達の家に行ったことにするから!」
ってことは、そこに泊まるの!?
あわてて服や洗面用具を持って行かされた。
残された妹は部屋で一人
「はぁ…私ったらお人好し…本当は私も狙ってたのになあ。長太郎くん」
つぶやくのだった。
車を走らせたそこは、森の中の小さなログハウスだった。
そこには確信している、あの人がいるんだ。妹にははっきり言われなかったけど、わかってる。
恐る恐る中にはいると、やっぱりいた。
「長太郎くん…」
「杏里さん、きてくれてありがとう」
長太郎くんはいきなりキスをした。
熱くてとろけそうなキス。
頭が白くなった。
「んっ…いきなりごめんなさい…んっ…僕はずっと…..ふぁ…杏里の言ったことを覚えて待ってましたよ…はぁはぁ….」
私が言ったこと…?なんだろう?
「んっっっ…覚えてないなんて、お仕置きですね….」
彼はジワっと湿ったバンツに指を這わせて激しくこすりあげる。
「んぁああああっ!あぁん!気持ちぃっっっ!!!!!!」
「小学校の卒業式の日、杏里さん、僕に、誰ともチューしちゃダメだよって言いましたよね?
本当に僕は、誰ともキスしてないんですよ?」
言い終わると、パンツの中に手を入れて、キツイあそこに中指をいれてきた。
「あああああああっ!!!痛いっっ!!!激しくしないでぇっ」
痛いという言葉に気づいたのか
「僕のためにとっておいてくれたんですよね。んっ、杏里、エロくてきれい…
僕が何故今日呼び出したかおしえてあげましょうか。」
話しながら、手を休めた長太郎。
「実は僕…ガンなんです。医者によると、もってもあと一ヶ月らしいんです。
….まだ僕、18ですよ?
死にたくないです…うっ、やりたいことを紙に書いて、クラスのみんなに見せたんです。その中に、僕が、杏里さんをお嫁さんをもらうってかいたんです。
そしたら、実現させてくれたんです。気のきいた妹さんが」
一気に言われすぎて、理解出来なかった。
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