憧れた秘密の世界への扉を開く男と女の物語1_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

ホームページ 戻る 

憧れた秘密の世界への扉を開く男と女の物語1

15-06-14 10:54

 恭平が奈美と再会を果たしたのは2人がかつて働いていた勤め先を恭平が退職してから10年後のことであった。奈美は恭平が辞める1年ほど前に退職し別の職場に移ってからはほとんど会う機会もなくなりメールのやり取りも次第に無くなって音信不通となっていった。

かつての奈美は離婚直後で幼子2人を抱えながらも明るく快活な性格もあり職場で人気のある女性で、恭平も密かに想いを寄せていた。しかし、奈美は後輩のバイト仲間である一回り年下の学生バイトと付き合いだしバイトを辞めた後も交際は続いていた為、恭平は2人は結婚して幸せになったのだろうと思っていた。
 その奈美と恭平が再開したのは偶然の事であった。恭平は仕事が休みで日頃よく行くレンタルビデオ店でDVDを何枚か借り、いつも通り帰宅しようと駐車場に向かう途中で奈美を見かけたのである。一瞬、奈美であるか判断できなかった恭平であったが、思い切って声を掛けると奈美は驚いた表情で振り向き10年前と変わらぬ屈託の無い笑顔で振り向いたが、奈美の顔は涙に濡れ顔は少し上気し目は真っ赤であった。奈美が立っていた場所から車が1台走り去って行き、その車を彼女は恨めしそうな目で見つめていた。いや、睨み付けていたというべきか一瞬物凄い形相に見えたほどであった。
 車が走り去った後、奈美は涙を拭きつつ恭平の近くに歩み寄ってきて再び笑顔で再会を喜んでくれた。恭平は立ち入ったことを聞く訳にもいかず、簡単な挨拶を済ませ世間話をした後でどちらからとも無く夜も遅かったものの久しぶりに会った興奮もあってか、近所のファミレスに場所を移して少し話をしようということになり恭平の車を止めている駐車場に向かった。車に乗り込んでいざ出発しようとしたものの恭平は奈美の表情が硬く、眼にも再び涙を溜め何かに必死に耐えているように見えて気になって車を発進させることを止め静かに奈美に話しかけ何があったのかを聞いてみたくなった。
 恭平は言葉を選びながら「奈美さんどうしたん?何かめっちゃ辛いことでもあったん?いきなり馴れ馴れしいかもしれんけど、凄く気になってね。話しにくかったら別に無理にとは言わんけど…」と語りかけると奈美はジっと正面を見たまま恭平にこう言った「聞いて貰えたら凄く楽になれそうな気がするけど、正直普通の話しじゃないから…心配やねん。恭平さんは私の10年前の姿しか知らんから。その後の10年の間に色々とあって…恭平さんも知ってる彼と店を辞めた後2年ぐらいで別れて、それから子供達とも別れて暮らし始めてからこの数年の間に自分でも信じられんくらい変わってしまって私も、私の環境も…。当時の私やと思って聞いたらきっとビックリすると思う。それに場合によっては軽蔑されるかも知れん…」と言葉を選びながらも一気に話し始めた。

 
 「ちょうど彼氏と別れた位に、子供の養育のことや進学のことなどで前の旦那と話し合って、結局週末以外は元旦那の家で子供達は暮らすことになって、職場と家とを行き来してるだけの生活になって段々と生活にハリがなくなってきてた頃に職場の同僚の女性達から友人達と家飲み会をやるから参加しない?って誘われて、ずっと一人で生活してたから良い機会やと思って簡単に参加を了承してしもうて、でも、その飲み会が普通じゃなかったんよ…。飲むのは飲むけど真の目的は欲求不満解消で夫婦や不倫カップルや単独の男女が一戸建ての家のリビングや1階や2階の部屋という部屋に分かれてひたすらHしまくるっていういわゆるスワッピングって言うか、乱交って言うか…もうとにかく凄い所に来てしまったって思ったけど、久しぶりに痛飲して完全に酔っ払ってしまって、なんやよう分からんうちに2人の男性に2階に連れて行かれて、2階の部屋の一つにあったベッドの上に寝かされて…私もお酒でテンション上がってたせいもあったし、正直人恋しかったっていうのもあって2人組が服を脱がせようとしてきたのを静止せずに受け入れてしもうて、結局翌日の朝まで2人組み以外にも何人かの男と関係を持ってしまってん。最初は後悔もあったけどHなんて全く彼氏と別れてからして来んかったし、家に週末居っても子供達は中学になってからは帰ってこなくなったし、一人で居るよりは寂しさも紛れるやろうって思ってそれからは週末毎に集まって乱交したり、そこで出会った男と仕事帰りにあってSEXしたり、出会った人が参加してる別のサークルみたいなのに誘われて出たりしてどんどん深みに嵌ってしまって…。」
 「恭平さんにさっき見られた車の人。今、一応回りの人からは付き合ってるって思われてる人で、色々な人と色々なSEXを経験しているうちに彼と出会って…。彼…超ドSなんですよ。よう殴られたり、叩かれたり、蹴られたりするんです。辛いんですけどどうしても止められなくて…別れたいんですけど怖くて言い出せなくて…。さっきも車の中で散々叩かれて、後ろの席で犯されて、終わったらとっとと降りろみたいに言われて放り出されて。そこを恭平さんに見られたんです」
 「自業自得ですよね?別にサークルやパーティーに出た事を後悔してるんじゃないんです。今でもその当時の人達とは付き合いがありますし、私の事も心配してくれてて彼氏に言って別れさせてくれるとか言ってくれるんですけど、トラブルになると嫌やから自分だけで何とかしようとしてるんですけど上手くいかなくって…」と時折思い出しながら話してくれた。

 恭平の10年前の印象では奈美は子持ちとはいえ、男性関係には真面目でどちらかというと初心なほうに思えていたし、性に関しても慎重で堅実な印象を受けていた。今彼女から聞いた話は恭平にとっては刺激的過ぎる話であったが、このままにしてはおけないという気持ちが強く芽生えていた。恭平は奈美の連絡先とメルアドや勤め先を聞き、自分の事も教え、これから連絡を取り合いながら、是非力になりたいと申し入れていた。奈美は迷惑になると遠慮がちであったが、恭平に押し切られる形で了解した。その日は奈美の自宅のアパートまで送って行き、数日後の再会を約束して別れた。恭平はかつて好意を寄せた女性の境遇に同情もしていたし、秘密の告白に興奮もしていた事もあり奈美に強い関心をもっていた。奇しくも、恭平が借りるレンタルビデオの内の何本かはAVであり、そのほとんどが複数プレイや輪姦モノであった。恭平はリアルな世界の本物に魅了され始めていた。ましてや嘗て恋心を抱いた女性の性的嗜好が同好のものであると知れば尚更である。今後、恭平は奈美を通じて妖しい世界への扉を開けて行くことになるのである。


コメント
お名前:
気持ち:

コード:

お知らせ

なし

小説を検索