同愛4(参)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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同愛4(参)

15-06-14 10:59

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「同愛」へ

いやや、あかんよぉ。
なんで?
なんでなん?

なんで、うちのお股がこないに反応してん?あり得へん。
そんなん、普通あり得へんやろ?
可愛い言うてくれたから?
この人に可愛いなんて言われてしもうたからなん?
そら、嬉しいよ?
めっちゃ、嬉しいよ?
でも、でも。

ちゃうやん?
普通は格好いいとか、男らしいとか。
あり得へんよ、可愛いなんて。
なのに、あり得へんのに。
うちの体、こないに反応しよる。
この人の言葉に心臓までが火を吹きそうや。
隠れたい、逃げたい、消えてしまいたい。

うちはアホみたいに狼狽える。
目の前の男の人に醜態を晒す。
だから、そんなうちのアホみたいな姿を見て、目の前のこの人は笑うた。

でもな、爆笑やない。
もちろん、失笑でもない。
なんや、めちゃくちゃ綺麗な顔で微笑んでくれたんや。
それから、うちの頭をくしゃくしゃに撫でて、優しくうちの頬にキスしよった。

あり得へんやろ?
普通、こんな反応、あり得へんよ?
だって、男がいきなり女の格好して待っててんよ?
気持ち悪い思うやん?
でも、この人は違った。
違ったんや。
この人はうちの事、優しく抱き締めて耳元で囁いてくれた。
俺の為にありがとう…って、甘い声色で。

はん、ほんまキザったらしい男や。
なにが、俺の為に…や。
なんで、自分の為やって分かるん?
違うかもしれへんやん?
なんかの、罰ゲームかもしれへんやん?

なのに、この人ときたら。
なんで…なんで、分かるん?

せやから、うちは力無く頭を下げた。
肯定の意味で。
貴方の為に可愛い格好をして来ました、って。
そしたら、この人。
うちの事を抱き抱えて、プレハブの事務所まで連れ込みよった。
それから、うちをソファーに寝せて、事務所の鍵を閉めて、カーテン…は、最初から閉まっとったけど。
なんや、うちを押し倒して、じっと見とる。
さっきより、強く真っ直ぐな視線でうちの目を見とる。
顔が持たんかった。
数秒でうちは顔を反らした。
だって、格好良すぎるやん。
そんな、真面目な顔されたら、誰だって反らしてまうよ。
そしたら、この人はまたうちの頬にキスをしよった。
でも、今度はそれだけでは終わらん。
首筋や鎖骨、それにびっくりして前を向いたうちの唇にも長くて熱いキスをした。
それでな、そのキスがほんまに熱ぅて熱ぅてな、うちはよぉ訳が分からんようになって。

不覚にも、大好きですなんて言うてしもうたんや。

つづき「同愛4(四)」へ


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