モーメント・オブ・トゥルース − 儀式 第4章_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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モーメント・オブ・トゥルース − 儀式 第4章

15-06-14 11:00

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「モーメント・オブ・トゥルース − 序章」へ

聖地に向かう駅の1番線か3番線ホームになる。どちらでも構わないが習慣で1番線ホームに向かう。朝のラッシュアワー以上に人で溢れかえっている。

ふたりで出掛ける時には下着を着けないというルールを忠実に守る奴隷M子は人の多さに驚いたのか身を固くする。

同じ電車に乗った数日前にはさほど混んでいなかったものの何人かのサラリーマンに偶然を装って胸を触られていた。ホームに面する側のドアの脇に立たせていたが、駆け込み乗車してきた何人かのサラリーマンは彼女の胸元を確認すると、電車の揺れとは異なる方向ですらバランスを失う仕草を見せていた。意図的に肘を突き出すように。

そんな記憶が蘇ったのかも知れない、朝のラッシュ以上の混雑だと身体の前後左右が密着する可能性が高く、そんな経験をさせるには時期尚早と判断した。

そんなことを考えていると人の流れが1番線から3番線に動く。アナウンスにより同じ路線の他の駅で線路に人が立ち入ったことを知る。

流れに逆らい1番線への階段を降りる、先を急いでいないことも理由であるが、それ以上に出来るだけ多くの視線に奴隷M子の胸元を晒したいと考えたからだ。横に並んで見ているとブラに束縛されないFカップの乳房は歩調に合わせ激しく上下し、階段を昇る何人かの視線が注がれるのを感じた。

1番線のホームに停車中の車両はがらがらだった、2番線に停車する外回りに詰め込まれて行く人たちが気の毒に感じるほど。車両の連結部に近い3人掛けのシートに座り、今日の計画を伝える。

「今日はオタクの聖地に行って反応を見たいと思ってるんだ」

電車で通過してもあまり降りることもなく詳しい訳ではないし具体的にどこにというアイディアもないが、大通りを歩けばなんとかなると考えた。

やがて運行への安全確認が取れたとホームのアナウンスが聞こえ、聖地に向かう内回りの電車が動き出す。並走する電車への人の大移動があったせいか平日のラッシュとは思えないほど車内は空いている。だから周りの乗客の視線の動きや表情がより確認しやすいように感じる。

ふたつ目の駅で乗り込んだサラリーマンの驚きに続く細やかな喜びを感じたような表情、その次の駅で乗り込んだいかにも真面目そうなOLの好奇心に溢れた視線が印象的だ。

特にOLの視線や表情には蔑みや悪意の表情がまったく感じられず、どちらかと言えば純粋な興味、あるいはブラを着けないブラウス姿でいる勇気への羨望、確率は低いだろうが同性への興味もあるのだろうか?と感じるほど好意的な優しい視線や表情だった。

後で聞くと、この女性の視線が印象的で見られていることをかなり強く実感したようだ。

このふたりを初め無防備な胸元に気付いた数人を確認できた内回りの電車は聖地へ続く駅に到着する。

駅構内から改札に掛けてはまだ明るく、この聖地の住人をステレオタイプ的に具現化した雰囲気を持つ男たちの視線の動きを感じる。すれ違い様であっても瞬時に見極める能力を持っているのだろうか?あるいは早い段階から獲物として捉えすれ違う瞬間を待つのか?と感じるほどの俊敏さだ。

奴隷M子自身は、そんな様子に気付いている節もなく、すれ違う相手の視線より初めて訪れた場所の目に写る光景そのものを楽しんでいるようだ。

駅からのメインストリートは思った以上に薄暗い、これでは対向する歩行者には奴隷M子の姿はシルエットとして捉えられるだけだろう。これなら明るい店舗に入り込んだ方が得策だろう。

「そこの本屋に入ってみようか?」

ビル全体から聖地らしいオーラを発する本屋だ。特に上層階は未成年者立ち入り禁止フロアだから丁度いいだろう。

フロア奥のエレベーターのボタンを押し上層階から降りてくるエレベーターを待つ。途中のフロアで停止したことから、かなりの確率で中に人がいるはずだ。

奴隷M子の背後に立ち、両手首を腰の後ろで掴む、自ずと胸元は前に突きだされ、ブラウスを押し上げるほど突起した乳首や乳房のシルエットすら伺えるはずだ。

程無くエレベーターの扉が開く、意図的に扉の真正面に立つ奴隷M子は視界の中心で捉えられるはずだ。

エレベーターの中にいたのはふたりの男だ。ひとりはアキバのオタクを具体化した風貌で大きなリュックを背負った上なぜ?と聞きたくなるような大きな紙袋を持ち、もうひとりは高校の地学か公民の教師といった雰囲気を持ち黒のショルダーバッグを斜めに掛けている。

ふたりとも扉の正面に立つ邪魔な女に一瞬迷惑そうな表情を見せる。その表情は、女の胸元に視線を移した瞬間に驚きと喜びにと変わる。エレベーターを降りたふたりに変わりエレベーターに乗り込むと、ご丁寧に扉が閉まるまで見送る始末だった。

「早速、熱い視線を浴びたな、どんな気分だ?」

扉が閉まると奴隷M子の感想を聞く。

「恥ずかしいです。おふたりともお気付きになったようで表情が変わりました」

「すごい動体視力だったなふたりとも。おれも驚いたよ」

そう言いながらブラウスの生地を突き上げて自己主張する両方の乳首を指で転がした、未成年者立ち入り禁止フロアで更に注目を集めるために。


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