同愛4(弐)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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同愛4(弐)

15-06-14 11:01

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「同愛」へ

あー、あの人が来よる。
臨時やけど町内少年サッカークラブの監督さんやからな。
なーんや、眠そうな顔しとる。
でも、練習が無い日も一応、町内の人達と話し合いをせなあかんらしいからなぁ。
ほーんま、ごくろーさんや。

へへっ、しかし、ラッキーやったな。練習無い日もあの人と会えるなんて。
昨日、親父に聞いた通り朝からプレハブ事務所に来よった。
待ち伏せ成功や。

一応、設立した親父の顔を立てて息子のウチも練習には出とるけど、ほんまサッカーなんて興味無いんやウチは。
直ぐに辞めるつもりやった。
やったのに。
あの人が監督で、あの人と会う内に。

あ~っ、かろうじてポニーテールは死守したんやけど…。
あぁ、あかん。
緊張しよる。
お股がなんかギュって緊張しよるわ。

落ち着け。
落ち着くんや、自分。
あいさつや。
あいさつだけすればえぇねん。
さりげなく。
さりげなく、こんにちはや。

…と、くそぅ。
無駄にでけぇなこの人。
気付いて無いし。
ウチの存在に気が付いて無いし。

ちっ、このデカ助めっ。

こら、こっちや、こっち向け。
こっちや言うてんやろ、このデカす、あっ。
目が。
目が合ってもーた。

あ、と、えっ、なんや、なんやったけ。

う~、あかん。
恥ずかしい。
なんや、全部見られとるみたいや。

そないじっーと、見らんといてぇやぁ。
恥ずいわぁ。
う~、火が出とる。
顔から火がボウボウや。

どーしよ。
変なんかな?

…やっぱ、あかんのや。
これはキモい思うとる顔や。
いつもの服で来れば良かった。
もう、もう、この人の目の前には現れられへん。
最悪や。
今日は最悪の…え?

…うそ。
うそや。
そんなん、うそや。

いやや。
やめてよ。

あかんよ。
そんなん言わんでよ。
あかんて。
ウチ、そんなん言われたら…。

どーしよ、なんでや、なんで可愛いなんて…。

もしかして、この人はわかっとるん?
もしかして、この人は見えとるん?

いややっ!?
あかんよっ!?

見られとる。
ウチの心の中、見られとる!?

恥ずい…。
どーしよ、昨日の変な妄想とか。
いつもする時のやらしい想像とか。

うぅ、違う。
見えとらん。
偶然や。

ただこの人はお世辞で可愛いって言うとるだけや。
だって、あらへんもん。
ウチが可愛いなんて、あらへんもん。

でも、なんでや、お世辞てわかっとる。わかっとるのに、っあ!?
おま、お股が…

つづき「同愛4(参)」へ


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