我が姉_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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我が姉

15-06-14 11:04

無心こそ我が安寧の至り。
3つ歳の離れた姉は我が儘だ。昔から良いとも悪いとも沢山の、それはもう大量多量の悪戯をされて、その度にわんわんと泣かされてきた。そんな気苦労の多い弟である俺の悟り。

何も考え無いこと、何も反応をしないこと。
これこそが、あの自由奔放、悠々自適で自己中、身勝手、他人泣かせであり、それでいて綺麗で可愛くてエロくて…じゃなくて、悪魔で鬼な姉と付き合う上でのコツである。要は何事にも無視を決め込めば、俺にはおのずと平和な日常がやって来るという訳なのだ。
「ねぇねぇ、雪斗~、雪斗ゆきとユキユキ~っ♪」
なので、寝起きでも風呂上がりでも無い筈なのにブラとパンツ一丁の姉を目の前にしても俺は無心を決め込む。
「お姉ちゃんの一生のお願い!お姉ちゃんに…おこづかいちょうだい?」
ちなみにこの姉の一生は子どもの頃から数えて優に百人分を超えている。
「あのね、お姉ちゃんね、欲しい服があるんだけどね、今月いろいろ出費があってね?だからね、お姉ちゃんね、いまお金無いのしょぼーん…」
ガックリと項垂れる姉の柔らかい髪がさらりと流れる。流れた髪からフワッと良い匂いが香ってきて一瞬ドキッとする。が、俺は無心で手に持ったマンガを見続けた。
「…しょぼーん」
無心になれば、何事も万事解決。さらば、我が儘な姉に振り回される日常。
「……ん?」
そう思った瞬間だろう。持っていたマンガの上部を細く綺麗な指にがっちりと掴まれ、有無も無く、シュッと俺の手から、それが引き抜かれる。そして、ズバンッという音と共に俺の420円相当の娯楽が壁に叩き付けられた。
「お姉ちゃんね、ちょー可愛い服見つけたの!でもね、ちょーちょー可愛いの!ちょーちょーちょー!だから、早くしないと他の誰かに買われちゃうかもしれないの」
今の出来事が無かった様な様子で俺に語り掛ける姉。目をキラキラと輝かせて、スラッとした手をにょきっと俺の方に差し出している。
「だからぁ、雪斗~、雪斗ゆきとユキユキ~♪お姉ちゃんにおこづかい、ちょーだい?」
親から支給される月一の小遣い。弟5000円に対して、姉2万。理不尽に通り越して罪だと思うのだが、一向に改善の兆し無し。それでもバイトでまかない、それなりにやってきた弟、俺。
「ちょうだいちょうだいちょーだい!くれなきゃやだ!やだやだやだ!ちょーだーい~っ!」
弟の部屋でじたばたと下着姿で駄々をこねる女。これが、俺の血を分けた姉である。

つづき「我が姉 2」へ


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