ストックホルム・シンドローム〜プロローグ〜_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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ストックホルム・シンドローム〜プロローグ〜

15-06-14 11:04

「はぁ〜…今回もダメかぁ…」
美沙は恨めしそうに妊娠検査薬を見つめた。

「なんだよ、朝から溜息なんて。仕事行く前から気分が下がるだろ。」
そう言うと寝巻姿の優也はテレビをつけた。
「だってさぁ〜。由紀んちなんてすぐにデキちゃったのにさぁ…」
「人は人だろ…ウチはウチ。こういうのは授かりもんだろ?焦ったってしょうがさいさ。」
美沙の愚痴をさえぎるように優也は諭す。

二人は子供にこそ恵まれないが、それ以外は何不自由ない満ち足りた新婚生活を送っていた。
美沙は28歳。専業主婦だ。優也とは以前の会社で知り合い、そのまま寿退社した。
「今日は取引先の接待で遅くなるからな。」
「ええ〜…またぁ!?そんなこと言って浮気でもしてるんじゃないでしょうね!?」
美沙は口を尖らせ優也を見やった。
いつもと変わらない平穏な朝。

そんな二人の会話を遮るようにテレビから緊急速報のアラームが鳴った。

「△□刑務所から3名の囚人が脱獄。うち2名は確保。残り1名の行方を追っている。」

つづき「ストックホルム・シンドローム〜侵入〜」へ


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