変愛3
この話は続きです。はじめから読まれる方は「変愛」へ 居酒屋に着くと由起子さんは先に店に入っていて、個室で僕を待っていた。 「お待たせしました」 でも薄暗い照明の下でうつ向いて不安げにしている由起子さんもきれいだなと思った。 僕が席に着いて口を開こうとした時、それを制するかのように先に由起子さんが話出した。 「島田君、ごめん。今日の昼間の事、忘れてもらうことできないかな?」 「…」 何となくそんな話もあるかなって思っていた。 「由起子さん、それは無理です。あんな事を簡単には忘れられないです。それに凄く気になっている事があるんです」 「…何?」 「昼間の『ゆうた』って僕じゃなくて弟さんの事ですよね。由起子さん、弟さんと何があったんですか?」 「それは…言えない。言ったら島田君は私を軽蔑すると思うから」 「え…」 「もしかしたら島田君は私の事を嫌いになるかもしれない。聞かない方が良いと思うよ」 「僕、由起子さんの事が好きで、由起子さんの事をもっと知りたいんです。ダメですか?」 「私が昼間あんな事をしてしまったから、島田君興奮しているんだよ」 「違います!僕は由起子さんの事が本当に好きなんです!」 「でも話を聞いたら引くと思うよ」 「引かないって約束します」 そこまで言うと由起子さんも諦めたようで、一度大きな息を吐いて喋りだした。 僕は由起子さんの言葉に集中した。 「私と裕太は小さい頃から本当に仲良くて、裕太はいつも『由起ちゃん、由起ちゃん』と言って私の後をついてきてたわ。でも裕太が16歳になった時、癌を患ったの。元気がなくなっていく裕太を見るのは本当に辛かったけど、毎日お見舞いに行ってた。ある日、裕太がとても思い詰めた顔をしていた事があって、『どうしたの?』って尋ねたら、『童貞のままで死にたくない。由起ちゃん、セックスさせてくれないか?』って言ってきたの。正直どうしていいか分からなかった。でも裕太の望みを少しでも叶えてあげたかった。だから私、手でしてあげる事にしたの。裕太にも私自身にもマッサージだと言い聞かせて。裕太は凄く喜んでくれたの…気持ち良さそうにしている裕太をみるのは私も嬉しかった。島田君、つまらない話で! 僕は大きく首を横に振った。 「いいえ。続きを聞かせてください。でもその前に折角の居酒屋ですから、何か頼みましょうか?」 僕たちはビールを頼んだ。届くまでの数分間、僕たちは全く会話しなかった。 ビールが届くと二人とも無言で一気に半分ほど飲み干してしまった。 「あそこから先の話は私もお酒でも飲まないと喋れそうにないから」 「続き話してもらえますか?」 由起子さんは思い出すようにまた話し始めた。 「裕太も最初は手でしてあげても喜んでくれていたけど、次第に慣れてしまったみたい。しばらくするとまた『セックスがしたい』って言い出したの。私、本当に悩んだ。でもやっぱりセックスはできないから、口でしてあげる事にしたの。体を舐めて掃除するんだって理由をつけて。」 由起子さんは淡々とした口調だった。 「私もそんなに経験があったわけじゃないないんだけど。裕太に喜んで欲しかったんだよね。そして裕太も喜んでくれた。頭ではこんな事姉弟でしていいわけないって分かってはいたんだけどね。裕太が可哀想って思う部分と気持ち良さそうにしてくれている事が嬉しかった部分と両方あったな…島田君、話はまだ続くけどまだ聞く気ある?」 「…聞きます」 僕は凄くショックを受けたが同時にこれまでに無い位に興奮していた。 由起子さんは更に話を続けた。 |
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