トライアングルラブ 30(結花)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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トライアングルラブ 30(結花)

15-06-14 11:07

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「トライアングルラブ」へ

 今日も美佐子先輩のところにお見舞いに行く。
夜這いの夜以来、先輩と打ち解けたって感じ。最近では体調も随分良くなって笑顔を見せてくれることも、増えてきたように思う。
そんな元気になっていく先輩を見ていると、益々先輩に惹かれていっている自分に気付く。

(二股はいけないよね)そう心に言い聞かせながら、毎日お見舞いに行く。それが私の最近の楽しみだ。だって最近幸子、なんか変。
毎日部活で顔を合わせてるのに、デートの誘いにも乗ってこない。会話も在り来たりな事だけで、ちっとも楽しくない。未だに美佐子先輩の
見舞いにも行ってないし。
「せんぱ~い、元気してた?」
「病人つかまえて、元気してたはないでしょ」
「だって先輩、最近すごく体調良さそうだし。もうすぐ退院なんじゃないの」
私はベッドの横の椅子に座って、持ってきたお菓子を一人食べ始める。
「それなんだけど、今度の金曜日に退院してもいいよって先生に今日言われたの」
「え~本当に。やったあ。良かったじゃない。あっそうだ。それじゃあ金曜日の日、先輩ん家で全快パーティー開こうよ。幸子も誘ってさあ」
先輩は私の提案に少し苦笑いしながら困った顔をしていた。
「よしてよ。そんな大そうな入院じゃなかったんだから。こっちが恥ずかしいよ。それにサチが来てくれるとは思わないけど」
確かに考えてみると、幸子は一度も見舞いに来なかったんだし、退院したからといって来るとは限らない。でも私には
最近の幸子とのギクシャクした関係をパーティーで払拭したいという思いもあったのだ。
「一応誘ってみる。それでも来ないって言ったら、その時は二人で楽しくパーティーしようよ。私が一生懸命盛り上げるからさ」
先輩は片手でさりげなく隠した顔を窓の方に向けた。顔を隠したその隙間から見える表情はうっすらと笑みがこぼれているようだった。

プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル
(本当幸子、最近電話でなくなったなあ。一応メール送っとこう)
『今度の金曜日美佐子先輩が退院するから、先輩ん家で全快パーティーを計画してるの。幸子もおいでよ』
だが、幸子は結局来ないということだった。(まあいいか~。まだ幸子ひきずってるのかな~)

「美佐子先輩、退院おめでとう」
パーン、パーン
クラッカーの音が部屋に鳴り響き、紙吹雪を撒き散らした。
「ふふふ、ありがとう。本当結花には感謝してる。私がこうして復帰できたのも、アンタのおかげなんだから。あれ、でも体調こわすことになった原因も結花だったよね~。まあいいか」
「あはははは」
「うふふふふ」
私達は二人っきりだけど楽しく盛り上がった。私が用意してきた即席カラオケで楽しくデュエットもした。いつしか二人は酔っ払って、
コタツに入りながら寝入ってしまった。しばらくして目が覚めると先輩はまだ涎を垂らしながら眠っていた。

「せんぱ~い~、風邪引きますよ~。退院したばっかなんだからお布団で寝ましょ」
私はよく寝ている先輩を抱え寝室に連れて行った。布団を敷き、二人して横になった。
(先輩の寝顔、すごくかわいい。ダメ、もう自分を抑えられない)
私は病室の再現のように先輩の唇にキスをした。先輩は相変わらず起きない。
(先輩、美佐子先輩。好き。結花もう止まらないの。今気持ちよくしてあげるから)
そう心で呟きながら、先輩の乳房を服の上から優しく揉んだ。
「んん~」
と先輩の目がパチリと開いた。私はかまわず股間の方にも手を伸ばしていく。だがその手をガシッと掴み先輩が行く手を阻んだ。
「ダメよっ」
その先輩のきつい口調は私の一切の行動を固まらせるのに充分だった。それ程先輩の意志のこもった一言だった。
「どうして?どうしてダメなの?私、美佐子先輩のことが好きになっちゃったんだもん。どうしようもないの。
私、先輩のこと気持ちよくしてあげれる。この間よりももっと気持ちよくしてあげるから。お願い、今は幸子の事忘れて」
私は泣きそうな顔で必死に訴えた。それこそ自分の気持ちが溢れてしまいそうなくらい、必死で美佐子先輩に訴えた。
「・・・ダメよ。この前も言ったように私はサチを裏切れない。私のサチへの思いはそう単純じゃないの。正直、結花のこと、
少しずつ好きになっていってる自分もいるわ。でも私にとってサチはもっと特別なの。だから、この間の夜は一度きりの愛。
貴女が愛すべき人は私じゃない」
私はそれ以上なにも言えなかった。ただ布団の中で泣くしかなかった。美佐子先輩はそんな私をそっと撫でてくれていた。

つづく「トライアングルラブ31(美佐子)」へ


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