この話はつづきです。はじめから読まれる方は「トライアングルラブ」へ
「久しぶり、麻紀。ごめんね。ずっと来なくて寂しかった?」
私は自殺した昔の恋人麻紀のお墓に向き合っていた。ここに足を運んだのは
いつ以来だろう。麻紀を忘れるために敢て来なかった。
「貴女のこともう忘れようとしてたんだけど間違ってたみたい。忘れようとすればするほど私どんどん嫌な女になっていっちゃう。
貴女もあの世から私を見て呆れてたんでしょうね。だから忘れようなんて諦めた。だって現に私達あんなに激しく愛し合ったんだもん。
本当のこと言うとね、麻紀が自殺して私貴女に嫉妬したわ。だって貴女は私のこと死ぬほど愛することができたんだから。私は貴女を失った時、死ねなかった。
そこまで愛に生きられなかった。羨ましかった。そして今、また私羨ましく思う人がいるの。どうしたらあんなに人を愛せるの?その人の寝顔を見ていると昔の自分に戻れそうに思うの。どうやら私、その人のことが好きみたい。この間眠っているその人にキスしたの。心臓がドキドキした。
私その人にひどい事しちゃったのに、こんな気持ちになるなんて。自分でもどうしていいか分からないの。だって私には幸子って恋人がいるのに。同時に人を好きになったことなんて無かったから。麻紀、私どうしたらいい?」
麻紀ならこんな私を見て何て言うだろうか。叱るだろうか。それとも優しく
慰めてくれるだろうか。
「予感だけど、また来ることになるかも。それまで寂しいだろうけど、待っててね」
キャンパスで偶然ばったりと幸子に会った。珍しいことではないが、今は出来れば
会いたくなかった。
「えっと、あっ、今から大講義室。幸子は?」
「わ、私も。って大講義室2のことよ。ゆ、結花は今日、部活出るの?」
「あ~っと、今日も美佐子先輩のところにお見舞いに行くから・・・」
「そ、そう。・・・」
「あの~っ!」
「あの~っ!」
同時に話を切り出そうとしてお互い言葉につまった。幸子が譲ってくれた。
「幸子まだ美佐子先輩のお見舞い行ってないでしょう。一度行ったほうがいいと思う」
「・・・ごめん。まだ行く勇気が無いの。気持ちの整理が出来たら必ず行くから」
どことなく幸子の様子がおかしかった。何か私同様、避けている様な
「うん。きっとよ。幸子の話って?」
「ううん、もっもういいの。大した事じゃないから、それよりミサに宜しく言っといて」
幸子はそそくさと自分の講義室に入っていった。幸子の態度に首をかしげつつも
私も講義室に入った。
放課後、今日も部活を休み、美佐子先輩のお見舞いに行くことにしている。が、今日は
ある物を取りに自宅へ一旦帰る。ふと見ると校門に幸子が立っていた。
「結花、やっぱりちょっとだけ話がしたいの」
「ごめ~ん、今日は急いでるから。明日夜どこか食べに行こう。その時、聞くから」
幸子の不安そうな顔が少し気になったが、明日聞けばいいと思い、急いでキャンパスを
後にした。自宅に着くと急いでシャワ-を浴びた。そして押入れから黒い棒のような物が
付いたパンツを取り出した。そう、ペニスバンドだ。それをカバンに入れ準備OK。
(美佐子先輩、私考えたんです。生きる力って何ですか?ずばり欲望です。食欲、物欲、
睡眠欲、そして性欲。今夜は結花が先輩に夜這いをかけさせてもらいます。そして先輩に
女の喜びを思い出してもらいます。結花がもう「死にたい」なんて言わせません。
「死んじゃう」って言ってもいいけど。んふふふ)
つづく「トライアングルラブ 27」へ
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