美紀子2
この話は続きです。はじめから読まれる方は「美紀子」へ 「山本さん、女としての私のレベル、チェックしてもらえませんか?」 定時時間が近づいてくると、私は年甲斐もなく気持ちが高ぶり、それこそ一分おきに時計をチェックしていた。 程なく時間となり、私は美紀子と打ち合わせしていた居酒屋に向かった。 その居酒屋は事務所のメンバーも利用している事もないらしく、しかも個室になっており、照明も暗めで自然と私の気持ちも高ぶった。 軽く酒を飲み、テレビの話や芸能人のスキャンダル話などダラダラ話していたが、一時間もすると会話も途切れだした。 「…で、何があったの?」 美紀子はビクッと体を固くし、うつむいてしまったが、少しの沈黙の後、ボソッと話出した。 「実は…旦那が私に興味を持たなくなったみたいで」 「そりゃ結婚して一年もたてば落ち着くもんでしょ?」 「それもそうなんですけどね。でもね…」 「セックスの回数が週三回から二回になったとか?」 「そんな中学生じゃないんだから、『夫婦生活』なんて言わないでセックスと言いなよ!」 酔いも手伝って強気な事を言う私。 「うわっ、やらしい!でもお酒飲むとエッチな気分になりますよね〜でセックスなんですがそんな回数が減ったとかではなく、セックス自体が無くなってしまいまして…」 「それは早いな〜何か思い当たる事無いの?」 「旦那が工場務めで夜間シフトも増えてしまったので生活の時間帯がズレてしまっているのも一つあるかなと」 「でも休み前とかにうまく時間調整すればなんとかなる話じゃないの?」 「そっちの問題はそうなんですけど。もう一つの方が重たい話なんです…」 「言ってごらんよ」 「私、山本さんの命令口調好きだなぁ〜でもう一つの方は今旦那の実家に入っているじゃないですか。で、夫婦の寝室というのが義妹の部屋と隣あっているもので、セックスの時に大きな声を出さないように自分なりにこらえていたんです。そしたらある晩、セックスの最中に旦那からボソッと耳元で『マグロ女としてもつまらん!』って言われまして…『体型も好きじゃない』って。何か全否定されたみたいで。その晩以来、パッタリです…」 「なるほどね。不満が蓄積していたんだな。セックスの相性はどうだった?」 「普通だったと思いますよ」 「ミキティはちゃんとイケていたか?」 「…答えなくちゃダメですか?」 「ちゃんと答えて」 「無いです」 「お互いに不満が溜まってきていたんだよ。でも声はまだしも体型っていうのはこたえるよな…前にも言ったけど俺みたいにミキティみたいな女がタイプっていうヤツもいるわけだから、気にしないのが一番だとは思うけどね」 「前に言ってくれた時も嬉しかったけど、やっぱり言われると嬉しいですね。タイプかぁ〜」 美紀子は顔を赤らめていた。そして何か考えこんでいた。 そして意を決したようで口を開いた。 「山本さん、お願いしたい事があります」 「何?」 「山本さん、女としての私のレベル、チェックしてもらえませんか?」 うまい言い回しだと思った。私はすぐに意味を悟り美紀子に問いかけた。 「…後悔はしない?」 「…はい」 「…いつ?」 「できれば今夜」 「了解。じゃ店出よう」 「はい」 美紀子の顔をじっと見つめる。私の好きな黒目がちな瞳がしっとり濡れていた。 つづく「美紀子3」へ |
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